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【解説】 米・イランは共に合意を「勝利」と主張、実際はどうなのか
アメリカとイスラエルの爆弾がイランに落ち始めてから100日以上が経過した現在、アメリカとイランの双方が勝利を主張している。しかしそれは、両国がどれほどこの紛争の出口を必要としていたかを示してもいる。
両国が17日に交わした合意によって公式に戦闘は終わったが、より困難な交渉は今まさに始まったばかりだ。
両国はこの合意を、それぞれ自国民に勝利として売り込んだ。だが、どちらも国民を完全に納得させられておらず、国内の批判勢力は譲歩し過ぎだと主張している。
BBCのペルシャ語ニュース編集長と、米ホワイトハウス担当記者が、両国の状況を解説する。
イラン:今後の交渉でも「勝利」のイメージを維持できるか
アミル・アジミ、BBCペルシャ語ニュース上級編集長
イランにとって、アメリカとの合意は停戦と同様に重要なものを提供する。すなわち、自国が降伏することなく戦争を生き延びただけでなく、それによってより強くなって戻ってきたと主張する手段だ。
当初からイランの中核的な目的は、必ずしも通常の軍事的な意味でアメリカやイスラエルを打ち負かすことではなかった。その目的は、イスラム共和国が無傷のまま存続し、その指導部がなお機能し、交渉上の立場が完全には崩壊していない状態で紛争から抜け出すことだった。
「了解覚書(MOU)」として知られるこの合意によって、イランはそれを達成したと主張できるようになった。
ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が署名したこの文書は、イランの核開発に関する交渉のための60日間の枠組みを定めるとともに、レバノンを含むすべての戦線での軍事作戦の即時停止、主権の相互尊重、ホルムズ海峡の再開、そしてイランの港湾を出入りする船舶に対するアメリカの海上封鎖の解除を定めている。
イランが即時に果たすべき義務は、重要だが、比較的限定されている。イランは、ホルムズ海峡を航行する商船の安全確保を支援すること(これは戦争前から長らくその状態だった)、核兵器を追求しないと再度約束すること、そして高濃縮ウランと濃縮計画の将来について協議に入ることに同意した。
一方で、アメリカの約束はより広範に見える。MOUによれば、アメリカは海上封鎖の解除を開始し、イラン産原油輸出に対する例外措置を発行し、凍結・制限されていたイランの資産を開放し、制裁緩和に向けて取り組み、さらに地域のパートナーと共に、少なくとも3000億ドル(約48兆円)規模のイラン復興・経済開発計画を推進する。
イラン国内の批判勢力の反応が、これまでのところ抑制的な理由の一つがこれだ。この覚書は、指導部がこの合意を勝利と主張するに十分な材料を与えている。イランの主権は認められ、封鎖の解除が予定され、制裁緩和が議題に上り、さらに復興資金が明示的に言及されている。
しかし、この沈黙が長く続く可能性は低い。イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師の最初の反応ですら、慎重にバランスが取られていた。同師は合意の進行を認めた一方で、それがイランの最高国家安全保障会議の責任において受け入れられたものだと明確にした。
最も困難な問題は解決されたのではなく、先送りされたにすぎない。高濃縮ウランの将来、その濃縮産業の規模、そして損傷した核施設の再建は、今後、強いプレッシャーの中で交渉されることになる。
イラン指導部にとってはこれが問題だ。国営メディアやイラン革命防衛隊(IRGC)、国会、そして強硬派らはこの数週間、イランがアメリカとイスラエルを打ち負かしたと支持層に訴えてきた。期待は高まっている。濃縮ウランや核インフラに関するいかなる譲歩も、すでに勝利が宣言された後に行われた妥協だと批判勢力に描かれる可能性がある。
一方で、まったく譲歩しないこともリスクとなり得る。もしイランが濃縮ウランや核計画の将来について譲歩を拒めば、交渉プロセスは崩壊し、停戦そのものも圧力にさらされる可能性がある。それは、イランが単に時間稼ぎのために覚書を利用したに過ぎないとすでに主張しているアメリカやイスラエルの勢力を強め、双方を再び戦争へと押し戻しかねない。
イラン側の交渉団を率いるモハマド・バゲル・ガリバフ国会議長は、これらの交渉を強硬な言葉で位置づけようとしてきた。同議長は国営テレビで「私は外交官ではない」、「しかし、どうやってアメリカに理解させるかはよく分かっている」と語った。
モジタバ・ハメネイ師の反応は、この課題をさらに難しくした。同師は声明で、自分は原則として「異なる見解」を持っていると述べつつ、ペゼシュキアン大統領が最高国家安全保障会議の議長として、イランとその同盟者の権利を守る責任を受け入れたのを受けて、この合意を認めたと説明した。
この表現は、合意を進めるために十分な距離まで近づきつつも、失敗した場合に全面的な責任を回避できる距離も保っている。イランの交渉担当者にとって、これは譲歩の余地を狭める可能性がある。彼らは、アメリカを満足させなければならない一方で、イランの最高指導者自身が完全には受け入れていない境界線を越えたように見せてはならないのだ。
ガリバフ氏の言葉は、アメリカと同程度にイラン国民にも向けられている。元IRGC司令官である同氏は、アメリカへの譲歩に深い不信感を抱く強硬派支持層に、この合意を受け入れさせなければならない立場にある。
2015年の核合意との比較は避けられない。アメリカでは、この覚書を、以前の合意である「包括的共同作業計画(JCPOA)」よりも悪いものだと位置づける向きもある。トランプ氏は最も困難な核問題を先送りしつつ、イランに制裁緩和と経済的利益を与える枠組みを受け入れたという主張だ。
しかし、イラン側の危険は別の形で存在する。強硬派は、政府と交渉団が2015年の「裏切り」を繰り返していると非難する可能性がある。当時のハッサン・ロウハニ大統領は、議員や保守系メディア、政治的ライバルから、イランの核計画をめぐり過度に譲歩したとして攻撃を受けた。
ペゼシュキアン大統領とガリバフ氏にとっての課題は、この停戦の枠組みを、反発が強まる前に政治的成功へと転換することだ。
イランは時間を得て、当面の軍事的圧力から解放され、大規模な経済的譲歩の見通しも手に入れた。また、アメリカが最も公然と求めていた結果、すなわち全面降伏を回避した。
しかし、最終合意はまだ確保されていない。覚書は短期的にはイランの立場を強化する。体制が生き残り、アメリカが目に見える形で約束を示したからだ。イランにとってのリスクは、次の60日間で、国内に売り込んだ勝利のイメージと、戦争の再発を防ぐために必要な譲歩との隔たりが露呈することだ。
イランは戦争の第1段階から、大方の予想よりも強い形で抜け出したが、次の課題はより困難かもしれない。自国の政治的支持基盤を維持し続けながら、譲歩が妥協、さらには敗北と見なされることを避けつつ、最終合意に到達しなければならない。
アメリカ:トランプ氏は「大きな勝利」と言うが……
バーンド・デブスマン・ジュニア・ホワイトハウス担当記者
トランプ大統領はイランとの合意を、アメリカにとっての「大きな勝利」だと称賛し、最終的にはイランが核兵器を得るのを阻止するという自身の包括的な戦争目標を達成するものだと位置づけた。
しかし当面のところ、より即時的な「勝利」は、ホルムズ海峡の再開によってもたらされた世界経済の再稼働だ。
紛争が長引き、ホルムズ海峡が実質的に閉鎖された状態が続く中、世論調査は一貫して、ガソリン価格の高騰と、それが国内での生活に意味するものに対し、アメリカ国民の不満が高まっていることを示していた。
経済に対する不満は、2024年に有権者がトランプ氏をホワイトハウスに戻した主な理由の一つだった。そのため、大統領が開始した戦争が自分たちの家計を傷つけているという認識は、トランプ氏にとって政治的に不利なものとなっていた。
そして、本人が11月の中間選挙の投票対象ではないとはいえ、この不安は共和党議員らにとって厳しい時期に重なっていた。議員らの多くは、ますます怒りを強める有権者や、長期化し膠着(こうちゃく)した紛争の見通しについて声をあげる有権者予備層に直面した。
こうした状況のなか、この合意はトランプ氏に立て直しの余地を与えた。政治的な同盟者らも、トランプ氏を、比較的短期間で紛争を終結に導き、自らが反対してきた終わりの見えない対外関与を回避した人物として描くことができるようになると期待している。
しかし、共和党内の一部議員を含め、この合意を批判する人々は、トランプ氏がすでに、譲歩し過ぎたと非難している。
この議論の核心には、イランが3000億ドルの復興基金の恩恵を受けるという約束がある。
「アメリカがイランに3000億ドルを支払うことはない。それはフェイクニュースだ」と、トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。「アメリカにあるのは成功と原油価格の低下、そして勝利だけだ」。
トランプ氏や政権幹部も、この資金がアメリカから直接拠出されるものではないと明言にしているが、それでも党内の一部で不安が生じている。
トランプ氏の有力な同盟者として知られるテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)は政治紙ザ・ヒルに、「我々を殺そうとする神権政治の狂信者に数十億ドルを与えるのは良くないと、歴史が教えている」と語った。「大統領は非常に誤った助言を受けていると思う」。
最近トランプ政権を批判しているにもかかわらず、なおMAGA(アメリカを再び偉大に、の頭文字)支持層に影響力を持つ保守派の論客タッカー・カールソン氏は、より率直に表現した。
カールソン氏は自分の番組のXアカウントで、「これはアメリカにとってかなり屈辱的な敗北だ」、「これは敗北だ」と述べた。
特筆すべきは、トランプ政権が、戦争目標のいくつかが優先されず、覚書でも言及されていないと、認めざるを得なくなっている点だ。
例えば紛争初期、トランプ氏は米軍が「イランのミサイルを破壊し、そのミサイル産業を地上から一掃し」、「壊滅させる」と誓っていた。
また、トランプ氏は3月に、アメリカは「イラン政権が国外の軍隊を武装させ、資金を供与し、指揮することができないようにする」と約束していた。しかし覚書は、イランと地域の代理勢力との関係には言及していない。
米政権は現在、この目標から遠ざかっている。J・D・ヴァンス米副大統領は18日、記者団に対し、アメリカはレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルに対して攻撃を控えることを「期待している」と述べた。
また、停戦は「やや混乱を伴う」ものであり、「小規模な衝突」が起きることは予想されるとも付け加えた。
この発言だけでも、イスラエルの安全保障への関与をアメリカ政治の不変の要素とみなす共和党員たちの間で、この合意は支持を得にくいものになるだろう。