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【解説】 米・イランの合意、重要な争点は未解決のまま……復興資金など難題も
ダニエル・ブッシュ・米首都ワシントン特派員
アメリカとイランは17日、戦争終結に向けた了解覚書(MOU)の内容を公表した。この覚書は、ホルムズ海峡を再開させるものであり、その他のほぼすべてについて最終合意に到達することを目指すとする取り決めでもある。
ドナルド・トランプ米大統領は、フランスで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議での長時間の記者会見で、これをアメリカにとっての大きな勝利と位置づけた。
両国はその後、この覚書が17日に電子的に署名され、すでに発効していると認めた。
しかし、米当局が記者団との電話会見で明らかにした新たな詳細は、トランプ大統領の主な目標である、イランの将来的な核兵器開発の阻止を実現する包括的な最終和平合意に到達するには、依然として双方に長い道のりが残されていることを示している。
トランプ氏は、この合意がイランによる核兵器の購入、開発、生産を決して許さないことを保証すると主張してきた。だが、電話会見で当局者が読み上げた合意文書の内容は、その水準には達していない。
代わりに、この停戦延長は、持続的な核合意を実現するため、敵対する両国が60日間にわたり高いリスクを伴う交渉に乗り出す契機となる。2015年に最初のイラン核合意に到達するのに、当時のバラク・オバマ米政権は2カ月を要した。トランプ政権はそれを、わずか2カ月で行えるのだろうか。
現時点では、この合意文書は、国際原子力機関(IAEA)の監督下で、イランが保有する高濃縮ウランを「希釈する」ことのみを約束している。アメリカの高官は17日、これをイランによる「重要な譲歩」と説明した。
しかし、それがどのように実現されるのか、またどのような日程で進められるのかといったすべての技術的な詳細は、依然として、署名後60日間の交渉期間の中で詰められることになる。
トランプ氏はまた、アメリカはイランにいかなる資金も提供しないと述べている。2016年にオバマ政権がイランに17億ドルを支払ったことを強く批判してきたトランプ氏にとって、これは重要な問題だ。
自身の政治的レガシーを念頭に、トランプ氏はこのイラン合意を、オバマ氏ものよりも優れたものとして位置づけることに強い関心を示している。そしてこの資金問題を、イランにより強硬な姿勢を取っていると主張する手段として用いてきた。
しかし今回の合意文書の文言によれば、アメリカはイランの復興に向けた「地域のパートナーと連携し、少なくとも3000億ドル(約48兆円)規模の、最終的かつ相互に合意された計画を策定する」とされている。
米当局者は、アメリカがイランに「1セントたりとも」支払う必要はなく、資金拠出も求められていないと説明した。だが、合意の実際の文言は曖昧(あいまい)で、交渉による戦争終結の一環として、アメリカが将来的に、イランに何らかの支払いを行う余地を残しているように見える。
これは、トランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領にとって重大な政治問題となる可能性がある。両者は、新たな「終わりのない戦争」を始めないと約束して、大統領選に臨んだ経緯がある。たとえ最終的にアメリカがイランに直接的な支払いを行わないとしても、反介入主義を掲げる「MAGA(アメリカを再び偉大に、の頭文字)」支持層は、この取り決めに異議を唱える可能性がある。
すでに批判は迅速に広がっており、米与党・共和党内からも上がっている。連邦議員らは、合意そのものと、それが内包する不確実性について、トランプ政権に説明と情報提供を求めている。
一部の共和党議員はこの合意に懐疑的な姿勢を示している。
有力な共和党上院議員の1人もこれを非難し、トランプ氏がイランに過度に譲歩し、見返りが不十分だと主張した。
ビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州選出)はXへの投稿で、「イランの核への野心は抑制されていない。また、イランはホルムズ海峡を脅かすことが有効であると学び、今後も間違いなくそれを手段として利用するだろう」、「これは過去数十年で最悪の外交上の失策だ」と述べた。
キャシディ氏は、先に行われた連邦上院の予備選でトランプ氏が支持した対立候補に敗れた。
重要な問題も宙に浮いたまま
その他の重要な問題も、この1ページ半の合意では軽く扱われている。
戦争開始時、トランプ氏は最優先事項の一つとして、イランがレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラのような代理勢力に資金提供することを阻止すると述べていた。これはアメリカと共に戦争を開始し、レバノンでヒズボラとの紛争を続けているイスラエルにとっても優先事項だった。
今回の合意に基づく敵対行為の停止は、ヒズボラにも適用される。しかし、合意はヒズボラについてほとんど言及しておらず、次の交渉段階でヒズボラを含む代理勢力への支援を放棄するよう、イランに圧力をかけられるのかは分からない。
またこの了解覚書は、トランプ氏とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が戦争開始時にもう一つの優先事項だと述べていた、イランのミサイル計画を詳細に扱っていない。
この合意が最終的な合意につながるかどうかは、依然として不透明だ。文書は両国に60日の期限を与えているが、必要に応じて延長可能ともしている。これは、両国がより包括的な合意に到達することについて、それほど強く楽観していない可能性を示唆している。
G7での記者会見ではトランプ氏自身も、イランとの持続的な和平の見通しについて確約を避けるような発言をした。
「もし60日でまとまらなければ、それでも構わない」とトランプ氏は述べた。「われわれは爆撃に戻る」。