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イスラエルとヒズボラ、停戦で合意とアメリカが発表 発効後もレバノンでは空爆の報告相次ぐ
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが、現地時間19日午後4時からの停戦で合意した。アメリカの当局者が19日に明らかにした。これに先立ち、イスラエルは同日、レバノンで展開するイスラエル兵4人がヒズボラの攻撃で殺害されたと発表し、レバノン南部を激しく空爆。この空爆では47人が死亡した。
今回の停戦合意は、イスラエルとヒズボラの衝突が継続することで、アメリカとイランの戦争終結に向けた暫定的合意が損なわれるのではないかと懸念される中で結ばれた。イランはヒズボラを支援している。
イスラエル軍は停戦が発効したことを認めた。しかしその後、同軍の報道官は、イスラエル部隊は「差し迫った脅威の排除を継続する」と述べた。
一方でヒズボラは停戦に至ったことを認めていないが、ヒズボラ指導者のナイム・カセム師は、「ヒズボラを排除しようとする計画は失敗に終わった」と表明した。
レバノン南部ナバティエの救助当局者はBBCに対し、停戦が発効した現地時間19日午後4時以降にも、少なくとも12回の空爆があったと明らかにした。
レバノン南部での戦闘
ヒズボラがレバノン南部でイスラエル部隊を待ち伏せ攻撃したと19日に発表したことで、両者の衝突は激化した。ヒズボラは誘導ミサイルでイスラエルの戦車3両を破壊し、ロケット弾と砲撃でイスラエル部隊を攻撃したとしている。イスラエル軍によると、死亡したイスラエル兵4人には、大隊長1人が含まれる。
レバノン保健省によると、停戦発効前のイスラエル軍の空爆で、女性や子どもを含む47人が死亡し、97人が負傷した。レバノン南部ナバティエへの攻撃では、ハルーフで9人、ハブーシュで7人、アル・ドゥウェイルで6人が死亡した。犠牲者には子ども1人が含まれるという。
レバノンの国営通信はこれに先立ち、18日の夜からナバティエ地区一帯で続いた爆撃について、現在の戦争で最も激しい攻撃の一つだと報じていた。
19日午後の停戦発表を受け、イスラエル軍のエフィー・デフリン報道官は、イスラエルは「差し迫った脅威の排除を継続し、ヒズボラによる違反行為に対応し、自国の民間人を守るために必要なあらゆる措置を講じる」方針だと述べた。
ヒズボラのナイム・カセム師は19日、「ヒズボラを排除しようとする計画は失敗に終わった。イスラエル軍は我々の土地の最後の隅々から撤退することになる」と述べた。
停戦の知らせに、避難生活を送るレバノンの人々は懐疑的な反応を示している。彼らは、イスラエルが和平に向けた合意を順守するのだろうかと、疑いの目を向けている。
レバノン人男性の1人はロイター通信に対し、「合意が結ばれたのはいいことだし、私たちは皆、合意を望んでいる。だが、イスラエルはそれを守らない」と話した。
「これまで何度合意してきたというのか。(イスラエルが)約束を守らなかったことは1度や2度ではない」と、男性は述べた。
米・イラン合意に含まれるレバノン戦線
レバノン南部での事態激化は、アメリカとイランの暫定的合意の行方が、必ずしもドナルド・トランプ米大統領の手中にあるわけではないことを改めて示した。
アメリカとイランの間の了解覚書には、アメリカとイランの停戦を延長することに加え、レバノンでの停戦も含まれている。しかし、現地ではそれが実現しておらず、トランプ氏がイスラエルを抑え込めていないと、イラン政府は非難している。
トランプ氏自身も、長年の盟友、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して異例の非難を展開し、この論争に拍車をかけている。トランプ氏はネタニヤフ氏について、ヒズボラとの戦いで無意味に民間人を殺害しているという意味の批判を重ねている。
ホワイトハウスはレバノン停戦は発効していると主張する。しかし、イスラエルの極右政治家のイタマル・ベン=グヴィル国家安全保障相は、複数のイスラエル兵が殺害されたことを受けて、「レバノンは焼かれなければならない。(中略)イスラエル人の母親が1人涙を流すごとに、レバノン人の母親1000人が嘆き悲しまなければならない」と力説していた。
これに対し、イランのアッバス・アラグチ外相は、イスラエルが「恒久的な戦争」を望んでいると非難したうえで、了解覚書に盛り込まれた約束へのいかなる違反の「責任はアメリカにある」と強調した。
トランプ氏が発表した暫定的合意は、双方が強硬派を抑え込み、自制を示すことを前提としたものだが、その兆しはほとんど見られない。
ネタニヤフ氏は、ヒズボラに対する軍事作戦を継続するよう国内で圧力を受けている。一方、イランの支援を受けるヒズボラは、イスラエルによるレバノン南部侵攻が続く限り攻撃を継続するとしている。
レバノンとイスラエルの協議再開へ
米国務省は、レバノンとイスラエルの直接協議が来週、ワシントンで再開されると明らかにした。「永続的な平和」の確保を目的とした協議だという。
こうした中、レバノン大統領府によると、ジョセフ・アウン大統領はマルコ・ルビオ米国務長官に対し、ワシントンでの協議を前進させるためには「イスラエルによるレバノン領土への攻撃」を終わらせる「包括的な停戦」が必要だと伝えた。
アメリカとイスラエルが2月28日にイランに対して戦争を開始したのを機に、戦いにレバノンが巻き込まれた。ヒズボラは、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師(当時)を米・イスラエルが殺害したことの報復として、イスラエルにロケット弾を発射した。
イスラエルはこれに対し、レバノン全土への空爆を開始し、レバノン南部の領土の約5%を占領した。ヒズボラの戦闘員をイスラエル北部と接する国境地帯から遠ざけることが狙いだ。
レバノン保健省によると、今回の紛争が始まって以来、女性や子どもを含む3900人以上が死亡し、1万1600人以上が負傷している。
今なお約100万人が避難を余儀なくされ、南部では数十のコミュニティーが完全に破壊されている。