ナゴルノ・カラバフからアルメニア系住民が多数避難 「民族浄化」の懸念も

Ethnic Armenians from Nagorno-Karabakh arrive at a registration center of the Armenian Ministry of Foreign Affairs, near the border town of Kornidzor, Armenia, 25 September 2023.

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画像説明, アルメニアの国境付近には避難してきた人々の長い列ができている(25日、アルメニア・コルニゾル付近)
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アゼルバイジャンが先週、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノ・カラバフを攻撃し掌握したことで、アルメニア系住民が難民となって続々と同地から逃れている。

ナゴルノ・カラバフには約12万人のアルメニア系住民がいる。そのうち6500人以上が、これまでに国境を越えてアルメニアに入った。

アルメニアのニコル・パシニャン首相は先週、最大4万人の難民を受け入れる計画があると発表している。

パシニャン氏は25日、アルメニア人に対する民族浄化が「進行中」だと記者団に述べた。

「まさに今起きている。国際社会に強く訴えようとしていた矢先なだけに、非常に不幸なことだ」

一方、アゼルバイジャンは、アルメニア系住民を「平等な市民」として再統合したいとしている。

国境付近に殺到

動画説明, ひっきりなしに銃撃、二度と戻れない覚悟……ナゴルノ・カラバフから避難したアルメニア系住民

アルメニア国境では、大規模な交通渋滞が発生している。

BBCはカラバフとの境界に近いアルメニア・ゴリス市に24日に到着した難民らに話を聞いた。

男性の一人は、「私は人生のすべてを祖国にささげた」、「こんなことなら殺されたほうがましだ」と話した。ヴェロニカと名乗った女性は、難民になるのは2020年の紛争に続いて2度目だと言う。

A man and his son crossing the border at a registration centre of the Armenian foreign affairs ministry, near the border town of Kornidzor

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画像説明, アルメニア・コルニゾルには多くの避難民が押し寄せている

市内の主要広場には大勢が押し寄せ、近くの劇場は赤十字の拠点に変えられている。

医師で難民支援団体の代表も務めるタティアナ・オガネシアン氏は、移動してきた人々が疲れ果て、栄養失調状態で、精神的に参っていると話した。「みんなショックを受けていて、薬がほしいと訴えている。青ざめている」。

高齢女性は、着ているセーターを指差し、自宅から持ち出せたのはこれだけだと言った。そばには松葉杖をついた息子がいた。

近くのコルニゾル村では、難民たちが事務手続きを進めていた。アゼルバイジャンの統治下で安全に暮らすことはできず、故郷に戻れるとは思っていないと、その人たちは口々に話した。

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アルメニア政府は24日の声明で、数百人の難民に政府資金で住宅が提供されたとした。しかし、流入する人々への対応について、明確な計画は示していない。

一方、カラバフの主要都市ステパナケルトでは、ガソリンスタンドが爆発した。現地の人権オンブズマン、ゲガム・ステパニャン氏はX(旧ツイッター)に、200人以上が重傷を負ったと投稿した。原因は不明。

アルメニア首都で反政府デモ

こうした中、アルメニアの首都エレヴァンでは25日、新たな反政府デモがあった。現地メディアによると、140人以上が逮捕された。

タス通信は、道路を封鎖したデモ参加者らを特殊部隊が拘束し始めたと伝えた。

反政府デモは、ナゴルノ・カラバフの危機に対する政府の対応を批判して、先週始まった。

パシニャン首相はアゼルバイジャンに譲歩しすぎたと非難されており、辞任を求める声も出ている。

首相は24日のテレビ演説で、アゼルバイジャンが「真の生活環境」と「民族浄化に対する効果的な保護の仕組み」を提供しない限り、ナゴルノ・カラバフにいる多くの人々が「祖国から追い出されるのを、外に出る唯一の方法と考えるだろう」と述べた。

また、アルメニア政府は「私たちの兄弟姉妹を愛情をもって歓迎する」用意があると強調した。

ナゴルノ・カラバフのアルメニア系指導者サムヴェル・シャフラマニャン氏の顧問、デイヴィッド・ババヤン氏は、同地域の住民は「アゼルバイジャンの一部としての生活を望んでいない。99.9%が、自分たちの歴史的な土地を離れることを望んでいる」とロイター通信に話した。

「私たちは悲しい民だ。私たちの運命は、アルメニア人とすべての文明世界にとっての恥辱として、歴史に残る」

「我々の運命に対して責任を負う者は、いつか神の前でその罪に答えなくてはならない」

住民に不安広がる

南コーカサスの山岳地帯のナゴルノ・カラバフは、国際的にはアゼルバイジャンの一部として承認されている。だが30年にわたり、アルメニア系住民が実効支配してきた。アルメニア政府に加え、同国の同盟国ロシアもこの支配を支援しており、ロシア兵数百人を長年配備してきた。

アゼルバイジャン軍は先週、ナゴルノ・カラバフを攻撃。少なくとも200人のアルメニア系住民と数十人のアゼルバイジャン兵が死亡した。ロシアの平和維持軍の隊員5人も死亡した。

アゼルバイジャン国防省は24日、大量のロケット弾、砲弾、地雷、弾薬など、多くの軍備品を押収したと発表した。

アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフの住民に安心感を与えようと努めているが、現実には不安感が広がっている。分離を主張するアルメニア系勢力が停戦を受け入れ、武装解除に合意して以来、支援物資が届いたのは70トンの食料1回のみとなっている。

アルメニア系住民の指導者らは、数千人が食料も住む場所もない状態にあり、地下室や学校校舎、野外で寝ているとしている。

Map of the Nagorno-Karabakh region in Azerbaijan, showing areas of the former autonomous region where Russian peacekeeping forces operate. The map also highlights some of the cities in the area and the Lachin corridor, which, though not a part of the Nagorno-Karabakh region, is to remain under the control of Russian peacekeepers to act as a connection with Armenia for ethnic-Armenian population in the region. Another map shows where Nagorno-Karabakh is located in the South Caucasus region of southeast Europe and Asia.