マスク氏が「トリリオネア」でなくなる ハイテク株急落でスペースXに打撃

銀色のフクロウの柄が入った黒いシャツと黒いブレザー姿のマスク氏

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画像説明, イーロン・マスク氏は今月初めに世界初のトリリオネアとなった(2024年撮影)
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フランシスコ・ヴェラスケス・ビジネス記者

米実業家イーロン・マスク氏は23日、所有する宇宙企業スペースXの株式公開によって世界初のトリリオネア(資産1兆ドル=約160兆円=以上の富豪)となってから2週間足らずで、その地位を失った。ブルームバーグのデータが示した。

ブルームバーグ・ビリオネア指数はこの日、マスク氏の資産を9570億ドル(約154兆8000億円)と評価。今月12日の1兆1100億ドル(約166兆5000億円)から減少した。

世界の株式市場では、人工知能(AI)の長期的な収益性に対する疑念の高まりを受け、テクノロジー株が全般的に急落。これにより、スペースXと電気自動車(EV)テスラの株価も急速に下げていた。

ただし、マスク氏は依然として世界一の富豪であり、その資産はなお、2位以下を大きく上回っている。

ロケット、通信、人工知能(AI)関連企業であるスペースXは12日にナスダックに上場。新規株式公開(IPO)では1株135ドルで売り出したが、取引は150ドルで始まり、同社の評価額は1兆7700億ドル超に上った。

マスク氏はスペースXの42%株式を保有しているため、同氏の評価資産は即座に1兆ドル超へと押し上げられた。

同社株はその後16日まで投資家に熱狂的に買われ、一時は225.64ドルを付けた。この時のマスク氏の資産は過去最高の1兆3200億ドルだった。

しかし、この上昇は長続きしなかった。

資本支出やAIインフラのコスト、そして高止まりする金利に対する懸念がテクノロジー株の売りを誘発し、エヌビディア、インテル、AMDといった急成長中の大手に特に大きな打撃を与えた。

しかし、調整の矢面に立ったのはスペースXだった。同社の株価は6月中旬のピークから30%以上急落し、約156ドル前後で取引された。

さらに、22日には1日で16%下げ、マスク氏の個人資産から推計2400億ドルが消失した。

23日には、テスラの株価も6%近く下落した。マスク氏はテスラの発行済み株式の約12%を保有している。

マスク氏の資産は極端に集中しているため、同氏のトリリオネアとしての地位は脆弱(ぜいじゃく)だ。

分散されたポートフォリオを持つ伝統的な富豪とは異なり、同氏の資産はほぼ完全に、スペースXとテスラの2社の株式に結び付いている。特に、スペースXはその約80%を占めている。

市場アナリストらは、高い評価を受ける成長企業にとって、IPO後の大きなボラティリティー(価格変動)はまったく標準的なものだと指摘する一方で、スペースX株については、期待と現実の間の激しい綱引きを反映しているという。

「スペースXのような株式の場合、多くの意思決定は感情や、宇宙探査や産業利用への大きな飛躍に対する期待に基づいていたかもしれない。しかし投資とは、これほど大きな数字が関わる場合であっても、冷静な目と忍耐をもって扱うべきものだ」と、AJベルの金融分析責任者ダニー・ヒューソン氏は述べた。

スペースXでは7月下旬にも、内部者が持ち株を段階的に売却できるよう、これまでの制限を解除する予定で、市場の圧力が継続する可能性がある。

しかしスペースXの株価が6%程度回復すれば、マスク氏の資産は再び1兆ドルを超え、同氏は世界初の「返り咲きトリリオネア」となる。