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英首相、軍の過去の同性愛禁止措置について謝罪
イギリスのリシ・スーナク首相は19日、同性愛者であることを理由に軍を除隊となったり、軍から排除されたりした性的マイノリティー(LGBTQ)の退役軍人に対する歴史的な扱いについて、議会で謝罪した。
イギリス軍では2000年まで同性愛は違法とされており、数千人の退役軍人が影響を受けたとみられている。
スーナク首相は、禁止措置は国家の「恐ろしい失敗」だったと説明。「多くの人がこの国に勇敢に奉仕しながら、最も恐ろしい性的虐待や暴力、同性愛嫌悪的ないじめや嫌がらせに耐えてきた」と語った。
この件に関する報告書は政府に対し、影響を受けた退役軍人に対する金銭的補償のほか、首相による公式の謝罪を勧告している。
昨年始まった「LGBT退役軍人に関する独立調査」は、イギリスで初めて同性愛者であることを公表した判事であるイーサートン卿が主導。1967~2000年に退役した軍人1145人から経験を聴取した。
イギリスでは1967年に同性愛が合法となったが、軍隊では引き続き禁止されていた。
報告書によると、英国防省は当時、この禁止措置は「任務の有効性と効率の維持」のために正当化されると述べていた。しかし報告書は、軍隊では「理解しがたい同性愛嫌悪の偏見方針」がとられていたと指摘した。
調査では、同性愛嫌悪やいじめ、脅迫、性暴力、「恥ずべき」身体検査、転向療法といったショッキングな経験が語られた。
また、最も近くて1996年ごろまでは、性的指向を理由に刑務所に送られたケースもあったとしている。こうした退役軍人の多くは、現在も犯罪歴が残っている。
さらに、完全に収入が途絶えたり、除隊とされたために年金請求資格がないとみなされたりしたケースについても、詳細に報告している。
その上で、報告書は政府に49件の勧告を提示している。それには以下が含まれている。
- 影響を受けた退役軍人に対する、全体で最大5000万ポンド(約90億円)の「適切な金銭的補償」
- 解雇・除隊時に返還させられた勲章の復活
- 年金受給権の明確化
- 特別退役バッジの贈呈
政府は、夏期休暇が終わり次第、これらの勧告に全面的に対応していくとしている。
人生が「奪われた」
エマ・ライリーさん(51)は1990年代に3年間、王立海軍の通信オペレーターを務めていた。同僚に自分が同性愛者だと話すと、それを理由に逮捕され、軍を追われた。
ライリーさんはBBCニュースの取材で報告書を歓迎すると話し、その内容が「迅速に」行われるのを望むと話した。
「我々のたどった歴史や経験、とてつもない痛みが認められ、謝罪を受け、組織的ないじめを蔓延(まんえん)させてきた軍と政府がやっと、LBGT+の退役軍人を支援する責任を負うことになると聞かされて、ほっとしている」
BBCは以前にも、このコミュニティーの退役軍人を取材し、禁止措置によってどのように生活が脅かされたかを聞いてきた。
キャロル・モーガンさんは、上官に自分が同性愛者であることを告げた後、1978年に軍を辞めさせられた。その後30年にわたって自分の性的指向を隠し続けたモーガンさんは、自分の人生が「奪われた」と語った。
王立空軍警察に所属していたケン・ライトさん(62)も、上官に同性愛者であることを知られ、職を失った。
ライトさんは、軍隊での地位を失ったことで、「自分の国に必要とされていない」と感じたと語った。
「国を守る機会を否定され、軍服を着る資格がないと言われた後、今日になって突然、和解を感じるには、相当な心の強さが必要だ」
「侮辱を35年間背負い続ければ、一生の傷になる」
「歴史的な謝罪」
今回の報告書は、同性愛者であることを理由に除隊となった軍人4人が欧州人権裁判所で勝訴し、禁止令が覆されてから20年以上が経過して発表された。
イギリスの退役・現役軍人やその家族を支える慈善団体「ロイヤル・ブリティッシュ・リージョン」は政府に対し、この報告書の勧告を全て受け入れるよう求めている。
同団体のチャールズ・バーン代表は、報告書とスーナク首相の「歴史的な謝罪」の両方を歓迎。国のために人生をささげてきた多くの人々が、「軍を去ることを余儀なくされたり、そうするよう圧力を感じたりしていた。この不当な扱いによってキャリアが破壊されたり、短縮されたりしていた」と述べた。
報告書の公表後、ベン・ウォレス国防相は下院で、政府と軍を代表して「深く謝罪する」と述べた。
「退役軍人コミュニティーに対し、皆さんに起きたことについて再び深く謝罪する。皆さんは西洋民主主義の寛容と価値観のために戦おうとしていたのに、我々は皆さんに対してそれを否定した。全く間違っていた」。
ジョニー・マーサー退役軍人担当相も、謝罪を歓迎し、LGBTコミュニティーにとって「素晴らしい瞬間だ」と述べた。