英ロッカビーでの旅客機爆破事件、容疑者がアメリカで出廷 検察は死刑求めない方針

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34年前に英スコットランド・ロッカビー上空で米パンアメリカン(パンナム)航空機が爆破され270人が死亡した事件をめぐり、爆弾を作ったとしてアメリカで拘束された男性が12日、裁判所に出廷した。検察は法廷で、死刑の求刑はしない方針を明らかにした。

米司法当局は、アブ・アギラ・マスード容疑者について、リビアの諜報員だとし、1988年のパンナム機爆破で主要な役割を担ったとしている。

同容疑者はこの日、青みがかった囚人服を着て、マスクで白いひげを覆いながら、足を軽く引きずって米ワシントンの連邦地裁の法廷に現れた。

ロビン・メリウェザー判事が3件の罪状を読み上げ出すと、マスード容疑者はこれを遮り、「弁護士と話をするまで話せない」とアラビア語で述べた。

判事は、マスード容疑者が裁判での代理人を確保するまで、正式な起訴手続きを延期するとした。

同容疑者は、公選弁護人による無料弁護を断り、現在、弁護士を探している。判事は、容疑者の権利だとしてこれを認めている。

この日、マスード容疑者はいかなる認否もしなかった。また、今月27日の勾留審問までの拘束が命じられた。

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マスード容疑者は、航空機を破壊して人を死なせた疑いなど、複数の容疑がかけられている。どの容疑も起訴を経て有罪とされれば、終身刑、死刑、または最高25万ドル(約3400万円)の罰金に処される可能性がある。

検察側は12日の公判で、死刑ではなく終身刑を求める方針を示した。犯行当時には、死刑が法的に不可能だったと考えられるためだとした。

米司法省は2020年12月、マスード容疑者に対する容疑を初めて発表した。検察当局は、同容疑者が1973~2011年にリビア情報機関で、爆発物専門家などさまざまな役割を担っていたと主張した。

マスード容疑者は、リビアでムアンマル・カダフィ政権が崩壊した後、同国の当局に拘束された。その際の事情聴取で、パンナム機爆破に使われた爆弾を作ったことや、飛行中に爆発するようタイマーを設定したことを認めた。それが、米当局の訴追の根拠となった。

マスード容疑者はまた、アメリカへの「攻撃を成功させた」として、2人の共謀者と共に、カダフィ氏から感謝されたとも主張した。

ただ、こうした自白については、政権崩壊で混乱し法制度が十分に機能していなかった時期に、強要された可能性があるとの懸念も多く出ている。

この日の法廷には、パンナム機爆破事件の犠牲者の家族も何人かいた。

夫ジョンさんを亡くしたヴィクトリア・カモックさんは、アメリカでの訴追は犠牲者家族にとって「大きな一里塚」だと記者会見で述べた。

スコットランドとアメリカの当局は11日、マスード容疑者がアメリカで拘束されたと発表していた。どのように拘束に至ったのかは不明のままだ。先月下旬には、同容疑者はリビア・トリポリで民兵組織に誘拐されたと報じられた。

マスード容疑者は、この事件に絡んでアメリカで訴追された最初の人物となっている。

2001年には、オランダで開かれたスコットランドの特別法廷で、アブデルバセト・アル・メグラヒ元服役囚が、パンナム機を爆破したとして有罪判決を受けた。これがこの事件での、これまで唯一の有罪判決だ。元服役囚は一貫して無実を主張した。

メグラヒ元服役囚は禁錮27年の刑を言い渡され収監されたが、がんと診断された後の2009年、スコットランド政府の温情的な措置によって釈放。3年後、リビアで死去した。

「正義の追求に時間の制約なし」

パンナム機爆破事件では、ボーイング747型機がロッカビー上空を飛行中に爆発し、乗客243人、乗員6人、地上の住民11人(家族4人を含む)が死亡した。

死者は21カ国の人々で、アメリカ人が190人、イギリス人は43人だった。イギリスで発生したテロ事件で、最も死者の多い事件となった。

スコットランド司法当局トップのドロシー・ベイン法務長官は12日、米ワシントンに来週行き、検察当局者と会うとする声明を出した。

ベイン氏は、マスード容疑者の訴追を「法的な突破口」と呼び、「正義の追求に時間的な制約はないことを示している」と述べた。