ヴァチカンの裁判所、枢機卿に禁錮刑 不動産投資で横領

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ローマ教皇庁(ヴァチカン)の裁判所は16日、横領罪に問われた枢機卿アンジェロ・ベッチウ被告(75)に対し、禁錮5年6カ月を言い渡した。ベッチウ枢機卿は教皇フランシスコの元顧問で、かつては本人も教皇の候補とされていた。カトリック教会で教皇に次ぐ高位聖職者の枢機卿が、教皇庁の裁判所で裁かれるのは初めて。

2年半続いた裁判の判決によると、枢機卿は2013~14年、英ロンドンの不動産取得に関連して教皇庁の公費2億ドル超を、ファンドに投資。検察によると、ロンドンの不動産取得をめぐり教皇庁は1億4000万~1億9000万ユーロの損失を出したという。

教皇庁の裁判所はさらに、ベッチウ枢機卿が地元サルディニア教区で兄弟が運営する企業あるいは慈善団体に、公金を流用したり契約をあっせんしたりしたという罪状についても、有罪判決を下した。

ベッチウ枢機卿は2011~18年に国務長官代理を務め、教皇の実質的な首席補佐官として、教皇庁の公金を管理する立場にあった。

ベッチウ被告は横領や職権乱用などの罪状を、強硬に否定している。担当弁護士は、上訴する方針を示している。

教皇庁は2020年9月、列聖省長官だったベッチウ枢機卿が辞任したと発表。「ローマ教皇は、ジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ枢機卿が願い出た列聖省長官職からの辞任、および枢機卿として権利の放棄を認めた」とした。ベッチウ枢機卿はこれ以降、「枢機卿」の地位は保持するものの、次回の教皇選挙(コンクラーヴェ)では投票権を持たないこととなった。

長年取りざたされる教皇庁内の汚職疑惑は、歴代教皇の在位に影を落としてきた。フランシスコ教皇がヴァチカン改革を進めるなかで、どこまで抜本的対応をとれるかが注目されている。

ベッチウ枢機卿が有罪とされた公金横領は、ロンドンにある高級住宅地・繁華街のチェルシー地区にある不動産物件をめぐるものだった。高級デパート「ハロッズ」の倉庫だった建物を高級マンションに改築する計画があり、その事業に参加するため、ロンドン拠点のイタリア人金融業者ラファエレ・ミンチオーネ被告が運営するファンドへ、教皇庁の公金が支払われたとされる。使われた公金は、慈善活動などに使われるためのものだったという。

ミンチオーネ被告も16日、禁錮5年半を言い渡された。この不動産取引にかかわった別のブローカーも、禁錮6年の判決を受けた。

ベッチウ枢機卿はほかに、サルディニア出身女性に57万ユーロを支払った件についても有罪になった。この女性は、アフリカ・マリで誘拐された修道女の解放を手助けしているのだと枢機卿側は主張したが、検察側はこの女性が資金をぜいたく品や旅行に使ったとした。女性は禁錮3年9カ月の有罪判決を受けた。