アゼルバイジャン、係争地で「対テロ作戦」開始 アルメニア系勢力に降伏要求

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アゼルバイジャンは19日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノ・カラバフで「対テロ」作戦を開始したと発表した。アルメニア人の分離主義者が降伏するまで作戦はやめないとしている。

アゼルバイジャン政府は、「違法なアルメニア軍事組織」に武器の引き渡しと「違法な体制」の解体を要求している

ナゴルノ・カラバフのアルメニア系住民は、停戦と、協議の開始を訴えた。しかし、この山岳地帯の征服を完遂することがアゼルバイジャン政府の狙いであることは、同国の最後通告から明らかだ。

旧ソ連構成国のアゼルバイジャンとアルメニアが領有権を主張するナゴルノ・カラバフは、国際的にはアゼルバイジャンの一部と承認されているが、アルメニア系の住民が実効支配してきた。

両国はソ連崩壊後の1990年代初頭に初めて戦争に突入した。

最後に戦闘を繰り広げたのは3年前で、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフとその周辺の複数地域を奪還。ロシア政府の仲介で停戦に合意し、ロシアの平和維持軍が状況を監視するようになった。

ナゴルノ・カラバフをめぐり、南コーカサス地方ではこの数カ月、緊張が高まっていた。

「民族浄化」目的の作戦と非難

アルメニアのニコル・パシニャン首相は、アゼルバイジャンが「民族浄化」を目的とした地上作戦を開始したと非難した。

しかし、自国の対応に不満を募らせた数百人のアルメニア人たちは、首都エレヴァンの国会前で警察と衝突。首相を裏切り者だと非難し、辞任を求めた。

アゼルバイジャンは、ナゴルノ・カラバフの中心都市ハンケンディ(アルメニアではステパナケルトと呼ばれる)の北約100キロにあるエヴラフ町で協議を開始する可能性があるとした。

2020年末以降、ロシアは3000人体制でぜい弱な停戦状況を監視してきた。しかし現在は、ロシア政府の関心はウクライナへの全面侵攻に移っている。

この山岳地帯には推定12万人のアルメニア系住民がいる。ロシアは自国の兵士が、最も危険な地域から住民500人弱を移動させたとしている。一方、アルメニア人の分離主義者は、計7000人の移動を支援したとしている。

この9カ月間、アゼルバイジャンはアルメニアとナゴルノ・カラバフを結ぶ唯一のルートであるラチン回廊を、効果的に封鎖してきた。

被害状況は

アゼルバイジャンは、ナゴルノ・カラバフで19日朝に地雷が2度爆発し、警察官4人を含む6人が死亡したことを受け、作戦を開始したとしている。

ナゴルノ・カラバフでは空襲警報が鳴り響き、同地域の中心都市では大砲と銃撃の音が聞こえた。複数の集合住宅が被害を受けた。ジャーナリストのシラヌシュ・サルキシャン氏は、自宅の隣の建物が攻撃を受けるのを目撃したという。

ナゴルノ・カラバフの当局によると、アゼルバイジャンの攻撃で5人が死亡し、女性や子供を含む数十人が負傷した。

同地域の防衛当局は、アゼルバイジャン軍が「ミサイルや砲撃で攻撃を行い、接触線全域における停戦に違反した」と述べた。同地域のほかの代表者も「大規模な軍事攻撃」があったと語ったが、その後の報道によると、砲撃の激しさは低下したという。

アゼルバイジャン国防省は、民間人や民間の建物は標的にしておらず、「合法的な軍事目標だけが、高精度兵器の使用によって無力化されている」と主張した。

アゼルバイジャンは、アルメニア軍がアゼルバイジャン軍の陣地に「組織的な砲撃」を行っていると非難。「アルメニア軍の武装解除と撤退を確保するため(中略)現地で反テロ活動を開始した」とした。

アルメニアのパシニャン首相は短いテレビ演説の中で、アルメニア軍は攻撃に関与していないと述べた。

ロシアや欧米などの反応

ロシア外務省は、アゼルバイジャンが攻撃を開始するとの警告を受けたのは、開始のほんの数分前だったとし、両国に2020年の停戦合意を尊重するよう求めた。欧州連合(EU)のトイヴォ・クラール南コーカサス特別代表は、「即時の停戦が緊急に必要」だとしている。

ロシア外務省とアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は共に、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領に同地域での軍事行動を即時停止するよう求めた。

南コーカサスで活動するコメンテーター、ローレンス・ブロアーズ氏は19日、ナゴルノ・カラバフのアルメニア系住民は回廊の封鎖によって弱体化していると指摘。アゼルバイジャンの作戦は「アルメニア人が居住する同地域を完全に奪還するために開始されたようだ」と述べた。

攻撃前には緊張緩和に期待感も

アルメニアのパシニャン首相は最近、ロシアが「自発的にこの地域から去りつつある」と述べていた。こうした中、アゼルバイジャンは同盟国トルコから強い支持を受けている。

アゼルバイジャンのヒクメット・ハジエフ大統領補佐官は、分離主義的なアルメニア系体制に「解体」を求めた。

「アゼルバイジャンは常に、憲法の下でナゴルノ・カラバフのアルメニア人の権利と安全を提供する用意があると言ってきた」と、ハジエフ氏はBBCに述べた。

アゼルバイジャンは、同地域における兵力増強を否定していた。18日には、赤十字国際委員会(ICRC)からの援助を、アルメニアからのラチン回廊経由と、アゼルバイジャンのアグダム道路の2ルートを使ってナゴルノ・カラバフに届けることを許可していた。

19日に攻撃が始まるまでは、緊張状態が和らぐかもしれないという期待感があった。

アゼルバイジャン国防省は、地雷によって破壊されたとする車両の画像を公開した。アルメニア系当局は停戦に違反したのはアゼルバイジャン軍の方だとしている。