英政府、ワグネルをテロ組織に指定へ 支援など違法に

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イギリス政府は5日、ロシアの民間軍事組織「ワグネル」をテロ組織に指定する案を議会に提出した。ワグネルに所属したり、支援したりすることが違法となる見通し。

指定されれば、ワグネルの資産はテロリストの資産に分類され、接収が可能になる。

イギリスのスエラ・ブラヴァマン内相は、ワグネルは「暴力的で破壊的な(中略)ウラジーミル・プーチンのロシアの軍の道具だ」と述べた。

また、ウクライナやアフリカ諸国でのワグネルの活動は「世界の安全保障を脅かしている」と指摘した。

「ワグネルはクレムリン(ロシア大統領府)の政治的目標のためだけに、不安定化を招く活動を続けている」

「彼らは単純かつ明快にテロリストだ。今回の禁止令は、イギリスの法律としてそれを明確にするものだ」

ワグネルはロシアのウクライナ侵攻で重要な役割を果たしてきたほか、シリアやリビア、マリといったアフリカ諸国でも活動している。

また、ウクライナでの民間人の殺害や拷問など、さまざまな犯罪行為を指摘されている。

アメリカ政府は2020年、ワグネル戦闘員がリビアの首都トリポリ周辺に地雷を設置したと指摘した。

今年7月にはイギリス政府が、ワグネルが「マリと中央アフリカ共和国で処刑と拷問」を行ったとした。

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ワグネルをめぐっては、今年6月に創設者のエフゲニー・プリゴジン氏によるロシアの軍トップに対する反乱が失敗に終わって以来、先行きが見えない状況だ。この反乱はベラルーシの仲介により1日で終了した。

8月24日には、プリゴジン氏とワグネル幹部らが乗っていた飛行機が墜落。全員の死亡が確認されたとされる。プリゴジン氏は故郷のサンクトペテルブルクに埋葬された

BBCのフランク・ガードナー安全保障担当編集委員は、ワグネルは6月の反乱とプリゴジン氏の死により、深刻に弱体化していると指摘。法律で支援などが禁止されれば、さらに資金繰りが厳しくなるだろうと報じた。

また、ウクライナ国民などがイギリスの法廷で、巨額の損害賠償請求を行う法的根拠にもなると説明した。

「政府がようやく行動」と野党

イギリスの「2000年テロリズム法」では、テロ行為に関わるとみられる組織を禁止する権限を内相に与えている。

この法律では、そうした組織が活動を広げるための集会を開くことや、人々が組織の目的に対して支持を表明すること、旗やロゴを掲示することなどの支援活動が刑事罰の対象となる。有罪となれば、最長14年の禁錮刑、あるいは5000ポンド(約93万円)の罰金が科せられる。

今回の禁止案を議会が認めれば、ワグネルはイギリス国内で、パレスチナのイスラム武装組織ハマスや、ナイジェリア拠点のイスラム武装組織ボコ・ハラムと同等の扱いを受けることになる。

イギリス政府は数カ月にわたりワグネルをテロ組織に指定するよう、議員らから圧力をかけられていた。

最大野党・労働党のデイヴィッド・ラミー影の外相は今年になって、ワグネルは「ウクライナや世界各地での残虐行為に責任がある」と述べ、禁止するよう求めていた。

ラミー氏はソーシャルメディアで今回の禁止案を歓迎。「これはずっと遅れていたことだが、政府がようやく行動を起こしたことは歓迎すべきだ。今こそ政府は、プーチンを侵略罪で起訴する特別法廷の設置を求めるべきだ」とつづった。

イギリスの外務省はすでにワグネルに制裁を科しており、プリゴジン氏を含む幹部の資産を凍結している。

しかし、議会外交委員会のアリシア・カーンズ委員長(保守党)は7月、「制裁では不十分だ。イギリスはワグネルを、そのありのままの姿であるテロ組織として禁止するべきだ」と指摘していた。

外交委はまた、イギリス政府が「驚くほど自己満足的」であり、「ワグネルが欧州を超え、特にアフリカ諸国を掌握していることへの理解が著しく欠けている」と批判する内容の報告書を発表している。