英ユニリーバ、ロシア人従業員のウクライナ戦争への徴兵許可すると 活動団体への書簡で

Published

食品・日用品大手の英ユニリーバは、ロシア人従業員がウクライナの戦争のために徴兵された場合、それを認める意向を示した。

ユニリーバには現在、約3000人のロシア人従業員がいる。同社は、従業員のウェルビーイング(人が健康で幸せな、良好な状態にあること)と安全を保護する理念を掲げている。

しかし、活動団体「B4Ukraine」への書簡で同社は、ロシアの徴兵法に従うと述べた。

ユニリーバにはロシアから事業を撤退するよう圧力がかかっているが、同社は状況は「単純ではない」としている。

「B4Ukraine」はロシア経済に打撃を与えるため、企業にロシアからの撤退を促している。ユニリーバは同団体への書簡の中で、「ウクライナでの戦争は、ロシアによる残忍で無分別な行為であり、絶対に非難する」と述べた。

また、同社には「従業員の安全とウェルビーイング(の保護)を含む世界的な理念」があり、ロシア人従業員3000人について責任があるとした。

一方で、「ロシアで活動する企業はどこも、従業員が徴兵された場合それを許可しなくてはならない法的義務があることを、承知している」と述べた。

ユニリーバの最高経営・サプライチェーン責任者を務めるレジナウド・エクリサート氏は書簡で、「我々は常に、事業展開する国のすべての法律を順守する」と語った。

同社の広報担当者は、これまでに徴兵された従業員がいるかとの質問には答えなかった。また、徴兵された場合にはユニリーバからの給与は支払われなくなるという。

書簡によると、ユニリーバは2022年にロシア政府に38億ルーブル(約59億円)の税金を納めている。これは2021年とほぼ同額だという。

ユニリーバのロシア事業の大半は、パーソナル・ケア用品や衛生用品だが、アイスクリームの販売も継続している。

<関連記事>

ユニリーバを含む西側企業は、ロシアのウクライナ侵攻開始以降、同国から事業を引き上げるよう圧力を受けている。

しかしユニリーバは、これは「一筋縄ではいかない」と指摘。事業を放棄すれば、その事業はロシア政府によって「横取りされ、運営される」ことになるとしている。

「ロシアが追加利益を得る可能性を回避し、従業員を保護する」ような事業売却の方法は見つかっていないという。

ユニリーバは、「望ましい」前途はないとしながらも、「厳しい制約」のもとで事業を継続することが現時点での最善の選択肢であるとしている。

しかし、「B4Ukraine」の一部の「ウクライナ連帯プロジェクト」は、ユニリーバの回答に「開いた口が塞がらない」と述べた。

活動家のヴァレリイア・ヴォシュチェフスカ氏は、「ある日はアイスクリームを作っていたと思えば、次の日には最前線で働くことになる。ユニリーバはなんと、従業員に多様な仕事を経験させていることか」と指摘した。

「従業員を守るためにこうしているのだとしたら、従業員を危険な目に遭わせるとはどういうことだと思っているのか。とても見たくない」

BBCロシア語とロシアの独立系サイト「メディアゾナ」が行った調査では、ウクライナでの戦争で少なくとも2万5000人のロシア人が亡くなっている。しかし、死者はさらに多いとする見方もある。

イギリスの情報機関は今年2月、ロシア兵4万~6万人が亡くなったとの推計を出した。アメリカ政府は今年5月、ウクライナ侵攻によるロシア側の死者が、昨年12月以降で2万人を超えているとの見方を示した。

また国連は、ロシア兵が強姦や、拷問、殺人といった戦争犯罪を各地で繰り返していると非難している。