イスラエル首相、司法への政府権限強化する法案を凍結 抗議の大規模デモやスト受け

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は27日夜、司法に対する政府権限強化を目指して成立を推進していた法案の議会審議をいったん停止すると発表した。首相が推進する司法改革に反対した国防相が解任されたのを受け、国内各地では週末から27日にかけて、数万人規模の大規模な抗議やストライキが相次いでいた。

ネタニヤフ首相は、「国民の分裂」を防ぐため、法案審議を停止すると発表した。首相は「過激な少数派」が国の分断を図っていると非難したほか、職務をボイコットして法案に抗議した国防軍の予備役も批判した。国内の騒乱に対する自らの関与には言及しなかった。

法案審議の即時停止を27日朝に呼びかけていたイザーク・ヘルツォグ大統領は、首相の発表を受けて、「正しい判断」だと述べた。

イスラエルの野党トップで前首相のヤイル・ラピド氏は、司法「改革」法案の審議停止を慎重に歓迎。「もしも政府が、中身のある公平な対話に臨むなら、この国は今のこの危機から前より強く、前より団結して抜け出せる。この危機を、共存していく方策を手にするための決定的な瞬間に変えることができる」と述べた。

野党は、政府との対話を再開する姿勢を示している。一方、ネタニヤフ首相が率いるリクード党と連立する右派「ユダヤの力」は、議会再開後に司法改革法案を成立させるという保証と引き換えに、審議停止を拒否するのをやめると述べた。

議会は4月2日から休会し、同月末に再開の予定。

ネタニヤフ首相は26日、ヨアヴ・ガラント国防相を解任。ガラント氏は前日、ネタニヤフ政権が裁判官の任命権強化などを目指して進める司法改革について、国内の対立悪化を懸念し、国会審議の中断を求めていた。

エルサレムではその後、ネタニヤフ首相宅の周りにデモ隊が集まり、政府に抗議。警察や兵士はデモ隊に放水車を使った。最大労組・イスラエル労働総同盟のアルノン・バル=ダヴィド議長は27日朝から、政府に抗議してゼネストを呼びかけた。空港作業員の組合がいち早くこれに呼応したため、テルアヴィヴのベン・グリオン空港からのフライト出発がただちに中止された。さらにその後、銀行や店舗が営業を中断し、病院の診療にも影響が出た。

エルサレム中心部の議会議事堂周辺では、政府法案を支持する勢力と反対する勢力が、共にイスラエル国旗を振りながら、激しく対立した。

ラピド前首相は、「この国の歴史上、最大の危機」と、ネタニヤフ政権を批判した。ヘルツォグ大統領は27日朝、「イスラエル国民の団結のため、責任ある行動のため、(司法改革案の)立法府審議をただちに停止するよう」求め、「イスラエル国民全員が見ている」と強調していた。

イスラエル建国以来最も右寄りとされる現政権は、裁判官任命の委員会に対して、決定的な権限を確保しようとしている。政権が進める法案が成立すれば、最高裁判断を議会が単純過半数で否決できるようになる。加えて、裁判所が首相を、職務不適格で解任しにくくなる。

ネタニヤフ首相は、政府が進める改革は裁判所による権限乱用を防ぐためのものだと主張。しかし、ネタニヤフ首相は収賄や詐欺、背任などの罪に問われて今なお裁判中なだけに、首相が推進する「改革」は自分を利するためのものだろうと国内で強く非難されている。首相は自らの罪状について一貫して無実を主張し、自分は「魔女狩り」の被害者だと主張し続けている。

ネタニヤフ政権が1月に発表した司法「改革」については、イスラエル国防軍の精鋭部隊をはじめ、国内のあらゆる方面から怒りと非難が噴出した。