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米抗議デモ参加者射殺、無罪評決に反発広がる 大統領ら自制求める
米ウィスコンシン州で昨年、警官暴力に抗議するデモ参加者に発砲し3人を死傷させたとして、殺人罪などに問われた少年(18)に無罪評決が言い渡されたことを受け、アメリカ各地で抗議デモが起きている。米大統領や被害者家族は市民に自制を求めている。
カイル・リッテンハウス被告(18)は、昨年8月25日にウィスコンシン州ケノーシャの路上で3人に発砲した。うち2人が死亡、1人がけがを負った。
殺人罪で有罪となれば、終身刑が科せられる可能性があったが、陪審団は19日、全ての罪状について無罪評決を言い渡した。
世間の注目を集めたこの裁判は、アメリカを分断させた。今回の無罪評決は複数の都市で抗議活動を引き起こした。
ジョー・バイデン米大統領をはじめとする政治家や被害者家族は、市民に自制を求めている。
オレゴン州で暴動
リッテンハウス氏に撃たれて負傷したゲイジ・グロスクロイツ氏の家族の弁護人は、「いま必要なのは正義であり、さらなる暴力ではない」との声明を発表した。
バイデン大統領は、ホワイトハウスの外で記者団に対し、「法の支配に沿って、平和的に意見を示すよう皆さんに求める」と述べた。
冷静な対応が求められる中、オレゴン州ポートランドでは約200人が窓ガラスを割ったり、物を投げるなどしたため、警察は19日夜に暴動の発生を宣言した。
イリノイ州シカゴやニューヨーク州でも抗議活動が行われたが、これまでにアメリカで起きた広範な暴動に比べると比較的控えめなものだった。
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ケノーシャでは昨年、警官が黒人男性のジェイコブ・ブレイク氏を銃撃したことを受け、路上で暴動が発生した。その2日後の昨年8月25日、当時17歳だったリッテンハウス氏はイリノイ州の自宅から、半自動ライフルを持ってウィスコンシン州にあるケノーシャへ向かった。市民の財産を暴動から守るのを支援しようとしたと主張していた。
リッテンハウス氏はケノーシャの路上で発砲し、ジョーセフ・ローゼンバウム氏(当時36)とアンソニー・フーバー氏(同26)を射殺し、ゲイジ・グロスクロイツ氏(28)を負傷させた。被告と死傷者3人は全員白人だった。
殺人2件と殺人未遂1件を含む5つの罪に問われたリッテンハウス氏は、正当防衛だったと主張していた。
被害者家族の反応
無罪評決が言い渡された時、ケノーシャの裁判所前にいたジェイコブ・ブレイク氏のおじは、「私たちはこれからも闘い続ける。平和的な活動を続けていく。自由の鐘を鳴らそう」と述べた。
リッテンハウス氏に射殺されたフーバー氏の家族は、「武装した民間人がどこの町にも現れ、暴力を扇動し、自分たちが作り出した危険を利用して路上で人を撃ってもそれを正当化できるという、受け入れがたいメッセージを発信している」と述べた。
現在リッテンハウス氏は非公表の場所にいると、同氏の家族のスポークスマンは米CBSに述べた。
「この状況下で勝者はいない。2人が命を落としたことを我々はよく理解している」
銃規制めぐる分断
今回の無罪評決は、支持者と反対派の双方からの強い反応を引き起こした。
人権団体・全国有色人種向上協会(NAACP)のデリック・ジョンソン会長は、無罪評決について、「白人至上主義と特権が我々の司法制度の中で果たす不誠実な役割を思い起こさせるものだ」とツイートした。
著名な公民権活動家のアル・シャープトン師は、この「常軌を逸した危険な」評決は、自警団が自分たちの力を主張するために暴力を行使することを助長するだろうと指摘した。
シャープトン師は声明で、「我々黒人の命は重要ではないと信じている人々の手で殺された黒人にとって、暗黒の日々が続く」とした。
今回の評決が今後起こりうる事件の裁判の前例となることを懸念する声も上がっている。
カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)は、「今のアメリカでは、法律を破り、軍事用に作られた武器を持ち、人を射殺し、その罪から逃れられる」と述べた。
トランプ氏らは正当性を主張
バイデン大統領は評決に「怒りと懸念」を覚えたが、「陪審員が決めたことだ」と述べた。
保守派は、リッテンハウス氏が武器を持つ権利を行使し、自分の身を守ったとしている。
ドナルド・トランプ前米大統領(共和党)は、支持者にメールで送った声明の中で、「これが正当防衛でなければ、正当防衛なんて何も存在しない!」と述べた。
複数の共和党議員は、リッテンハウス氏に議会でのインターンシップの機会を提供したいと述べた。
そのうちの1人、マディソン・コーソーン下院議員(ノースカロライナ州選出)はインスタグラムのストーリーで、「あなたには、自分を守り、武装し、危険で道徳的になる権利がある」と述べた。
「正しい評決を下した」
右寄りの米メディア、フォックスニュースの司会者タッカー・カールソン氏は、22日に放送予定のリッテンハウス氏の独占インタビュー映像を投稿した。
その中で、リッテンハウス氏は「陪審員は正しい評決を下した。正当防衛は違法行為ではない」と述べている。これは無罪言い渡し後に撮影されたものとみられる。
リッテンハウス氏はまた、もし自分が「重傷を負ったり、けがをしたり、死んだりしていたらどうなっていたんだろう」という「怖い」悪夢を見るとも述べた。