英首相、「死ぬのは80歳以上」とロックダウンに反対か 元顧問の単独インタビュー

ボリス・ジョンソン英首相の元上級顧問、ドミニク・カミングス氏がBBCの単独インタビューに応じ、ジョンソン首相の新型コロナウイルス対策を批判した。インタビューの中でカミングス氏は、感染が拡大していた2020年秋ごろ、ジョンソン氏は「死ぬのは80代以上が大半だ」として、規制強化に消極的だったと述べた。
カミングス氏がテレビの1対1のインタビューを受けたのは初。BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長に対し、ジョンソン氏から「国民保健サービス(NHS)がひっ迫しているという話はもうたくさんだ」というメッセージを受け取ったと主張した。
また、経済を壊すくらいなら新型ウイルスが「国中を洗い流して」しまう方がいいと、ジョンソン氏は思っていたと述べた。
首相官邸はこのインタビューに対し、ジョンソン首相は「国民の命と生活を守るために、最高水準の科学的助言に従って必要な措置を取ってきた」と声明を発表した。
官邸の報道官はさらに、「3回にわたる全国的なロックダウンでNHSがひっ迫するのを政府は防いできた」と述べた。
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カミングス氏とのインタビューの内容は多岐にわたった。ジョンソン氏については、昨年パンデミックが始まった頃、エリザベス女王との週1回の面会を続けようとしていたとも述べた。カミングス氏はその際、女王が新型ウイルスに感染すれば死ぬ可能性があると首相に警告しなければならなかったという。
一方で、昨年3月に始まった1回目のロックダウン中に、ロンドンから400キロ以上離れた北東部ダラムの両親の家まで車を運転して行ったことについては自身を擁護。しかし、こうした行動の理由を全て「白状」したわけではないと認めた。その中には、ロンドンの自宅の「警備上の懸念」もあったという。
カミングス氏は5月に、下院科学技術委員会で7時間にわたり、政府のパンデミック対策を痛烈に批判した。
しかしその後、一部の発言について証拠を提示していないとして批判を受けている。
「だめだ、だめだ、だめだ」
イギリスでは、昨年3~6月に行われたロックダウンで一時的に感染者が減ったものの、秋には増加に反転。政府内では次の対策の協議が始まった。
カミングス氏によると、カミングス氏と政府科学首席顧問のサー・パトリック・ヴァランス、イングランド主任医務官(CMO)のクリス・ウィッティー教授の3人は、9月半ばの時点で規制を強化するよう求めた。この点について、サー・パトリックとウィッティー教授はコメントを控えている。
しかし、ジョンソン首相はこれに対して「だめだ、だめだ、だめだ、そんなことはしない」と返したという。
首相は「一部メディアや保守党から」制限を強化しないよう言われていたほか、かつてコラムニストとして在籍していた英紙デイリー・テレグラフを「自分の本当の上司」として「常に参考にしていた」と、カミングス氏は語った。

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昨年10月13日には、イギリスで1日の死者数が100人を突破。最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は短期間のロックダウン「サーキット・ブレーカー」の導入を呼びかけたものの、政府はこれに応じなかった。
BBCに共有されたワッツアップのメッセージによると、ジョンソン首相はこの時、「新型ウイルスによる死者のデータに少し動揺した」と述べている。
一方で、死者の年齢の中央値は男性が81~82歳、女性が85歳だと述べ、「これは平均寿命より長い。コロナにかかって長生きしろということだ」とつづったとされる。
「60歳以下で入院している人はほとんどいないし(中略)入院してもみんな生き延びているようだ。NHSがひっ迫しているという話はもうたくさんだ。我々は計算をしなおした方がいいと思う(中略)この国には80歳以上が最大300万人いる」
その後、ジョンソン氏は「つまり、全国的なロックダウンはしなくていいということだ」と書いたとされる。
しかしジョンソン首相は10月31日、イングランドで4週間のロックダウンを行うと発表。NHSを守らなければ、死者が「1日に数千人に達する」可能性があると述べていた。
女王との面会
パンデミック初期を振り返ったカミングス氏は、ジョンソン首相が当時93歳だったエリザベス女王との週1度の面会を、パンデミック中も続けようとしていたと話した。
昨年3月18日には、首相は「私は女王に会いに行く(中略)それが毎週水曜日の予定だ。くそったれ。行って女王に会うんだ」と言ったとされる。

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カミングス氏はジョンソン首相に、「この官邸には自主隔離している人たちがいる。あなたも私も新型ウイルスにかかっているかもしれない」と返したという。
「女王に会うことはできない。会いに行ってうつしたらどうなる? 行けないのは明白だ」
インタビューでカミングス氏は、「それから『もしあなたから女王にウイルスをうつして、女王が死んでしまったらどうする? そんなことはできない。そんなリスクは冒せない。狂気だ』と言った。首相はそれまでそんなことは考えていなかったのか、『そうだな、行けない』と答えた」と語った。
首相官邸は、2人の間にこうした会話はなかったとコメント。バッキンガム宮殿はコメントしていない。
ダラムへの長いドライブ
カミングス氏は昨年3月27日、1回目のロックダウンが始まった4日後にCOVID-19を発症。その際、息子の面倒を見てもらうため、自動車に妻子を乗せ両親や姉妹のいる北東部ダラムまで400キロ以上を運転した。
ダラムでは両親の所有する農場のコテージに滞在していたが、4月12日(イースターの日曜日)には、農場から車で30分ほどのバーナード城を訪問している。カミングス氏はこれについて、ロンドンまで車で戻れるかを試すためだったと話している。
一連の行動が明らかになったのは昨年5月のことで、野党や世間から強い怒りの声があがった。政府はロックダウンに伴い、不要不急の長距離移動を禁じていたため、二重規範だとの批判も出た。
今回のインタビューでカミングス氏は、バーナード城に行ったのは「運転できると思えるか」試すためだったと語った。

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また、妻が新型ウイルスで体調を崩す前にダラムに行く決心をしたのは、ロンドンの自宅に警備上の懸念があったからだと話した。
カミングス氏は昨年5月に、首相官邸の庭で一連の行動に関する取材を受けている。クンスバーグ記者がなぜこの時に「100%真実ではない」話をしたのかという質問をすると、カミングス氏は「この件についての対応は間違っていた」と認めた。
「私がすべきだったのは、ただ辞任して何も言わないか、家族と話して『全てについて白状しなくてはならない』と告げることだった」
政府は「パンデミックからの回復に集中」
このインタビューでクンスバーグはカミングス氏に、主張の証拠を示すよう繰り返し尋ねた。
それに対しカミングス氏は、公聴会があれば自分の主張も裏付けられるだろうと語った。
首相官邸の報道官は、「パンデミック開始以降、ジョンソン首相は国民の命と生活を守るため、最高水準の科学的助言に従って必要な措置を取ってきた」と述べた。
「ジョンソン政権はヨーロッパで最も早くワクチン接種事業を開始し、一時帰休プログラムで何百万もの雇用を守り、3回にわたる全国的なロックダウンでNHSが疲弊するのを防いできた」
「政府は現在、パンデミックからの慎重な回復に完全に集中している」
今回のインタビューは7月20日午後7時からBBC2で放映される(イギリスのみ)










