子宮頸がんの死亡数、HPVワクチン接種した若い女性でゼロに 英研究

若い女性が注射を受けるイメージ写真。シャツにネクタイという制服姿の若い女性が、左そでをまくっている。医療用手袋を付けた手が脱脂綿と注射器を持って、そでまくりをした腕を消毒している

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ソフィー・ハッチンソン保健担当編集委員

子宮頸(けい)がんを予防するワクチンによって、英イングランドではこれまでに約200人の命が救われてきたことが、医学誌ランセットに掲載された分析で明らかになった。

イングランドでは2008年に、学齢期の女子に対するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種が始まった。今回の研究では、それ以降、子宮頸がんによる死者数が急激に減少したことが示された。

この研究は、この種のものとしては初となる。それによると、2020~2024年の間、20~24歳の女性では子宮頸がんによる死亡は記録されなかった。5年にわたってこうした状況が続いたのは初めてだという。

ワクチン接種がなかった場合には、約23人が死亡すると予測されていた。

研究を主導した、英ロンドン大学クイーン・メアリー校のピーター・サシエニ教授は、「1回の接種で特定の種類のがんをほぼなくすことができると考えるのは驚くべきことだ」と述べた。

英イングランドの20~24歳の女性の5年ごとの子宮頸がんによる死者数の推移を示した棒グラフ。2000~2004年は25人、2005~2009年は16人、2010~2014年は27人、2015~2019年は5人、2000~2024年はゼロ人となっている。出典は医学誌ランセットに掲載されたピーター・サシエニ氏とミレナ・ファルカロ氏の論文

研究ではまた、12歳または13歳でワクチン接種を受けた子どもたちは、30歳になる前にこの病気で死亡するリスクがほぼゼロになっていることも明らかになった。

HPVワクチンの接種キャンペーンが実施される前は、この年齢層では毎年約20人の死亡が記録されていた。

全体として、子宮頸がんは依然としてイギリスにおける女性のがんで14番目に多く、毎年3300人が診断されている。

皮膚同士の密接な接触によって広がるウイルスであるHPVが、これらの症例の99%で原因と考えられている。

大半のHPV感染は問題なく消失するが、一部は異常な細胞変化を引き起こし、数年後にがんにつながる可能性がある。

研究チームは、より多くの人がHPVワクチンを接種し、接種済みの人々が年齢を重ねるにつれ、この病気による死者数は今後も減少し続けると予想している。

この研究に出資したイギリスのがん研究団体「キャンサー・リサーチUK」は、この結果を「驚異的な節目」と表現した。一方で、イングランドでのワクチン接種率が推奨水準を下回っていると警告した。

同団体のミシェル・ミッチェル最高経営責任者(CEO)は、「HPVワクチンは子宮頸がんを発症前に防ぐうえで極めて有効なことは分かっている。そして今回、この研究結果が初めて、ワクチンが命を救っていることを示した」と述べた。

「ワクチンを強く支持する」と子宮頸がん経験者

アレクサンドラ・レッグさんは、イングランドでHPVワクチンが導入される直前に学校を卒業した。

2021年、結婚式の計画をちょうど進めていた30歳の時、レッグさんは子宮頸がんと診断された。

「その言葉を聞いたときのことは覚えているが、うまく息もできなかった」と、レッグさんは話した。

「とても動揺して、あらゆることが頭をよぎった。本当に大変だった」

治療では腹部のリンパ節を摘出したが、子宮頸部の一部を残すことができたため、妊娠の可能性が残された。

それからわずか1年後、アイヴィーちゃんが誕生した。ミドルネームは、「奇跡」を意味するマーヴェラと付けた。

ブルーベルの咲いている屋外の地面に、女性と子供が座っている。共に白いトップスと淡いブルーのジーンズを着て、カメラの方を見て微笑んでいる

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画像説明, レッグさんと3歳になったアイヴィーちゃん

レッグさんは「この(妊娠中の)9カ月間は、いつでも彼女を失う危険があったので、本当に怖かった」と話す。

もしHPVワクチンを受けていれば、今よりはるかにトラウマの少ない人生だっただろうとレッグさんは語り、対象者に接種を受けるよう促した。

「私はこのワクチンの強い支持者だし、アイヴィーが十分な年齢になったら、彼女も真っ先に列に並ぶことになる」と、レッグさんは付け加えた。

死亡減少は「氷山の一角」

ロンドン大学のサシエニ教授は、ワクチン導入以降の死亡数の減少を「氷山の一角」と表現する。

「接種を受けた世代が年齢を重ねるにつれて、子宮頸がんから救われる命はさらに多くなるだろう」

「この最新研究は、より多くの人々を病気から守るため、HPVワクチン接種率を高く維持することがどれほど重要かを示している」とも、同教授は述べた。

しかし英健康安全庁(HSA)の最新のデータによると、全国のワクチン接種率は推奨水準を下回っている。イングランドでは、2024~2025年に15歳までにワクチン接種を受けた女子は76%と、世界保健機関(WHO)が子宮頸がんの撲滅に必要としている90%を大きく下回っている。

キャンサー・リサーチUKのミッチェルCEOは、「接種率が最も低いコミュニティーにリーチする重点的な活動を通して、政府と医療体制が早急に対処することが不可欠だ」と述べた。

イングランドでは、HPVワクチン接種が展開されている一方で、25~64歳の女性は依然として子宮頸部検診を受けるよう勧告されている。

2019年以降は男子もHPVワクチンを接種しており、これにより肛門、陰茎、咽頭および口腔のがんの予防が進むとともに、ウイルスを女子へ感染させるリスクも低減する。

イングランドの保健省は、この研究が「HPVワクチン接種の並外れた影響力」を示していると述べた。

同省の報道官は、「より多くの若者がこの命を救うワクチンの恩恵を受けられるよう、地域の薬局を通じた追加接種キャンペーンの展開を含め、ワクチン接種の促進を進めている」と述べた。

また、まだ検診を受けていない女性に対し、HPV自己検査キットも送付していると付け加えた。