アメリカ、対イラン石油制裁を一時停止 核査察受け入れに同意したと主張するもイランは否定

ダークスーツに赤いネクタイを着けたヴァンス米副大統領が、演台のマイクに向かって立ち、両手を広げて話をしている。後ろには星条旗が置かれ、イラン、カタール、サウジアラビア、アメリカの国旗が描かれた青い背景が見える

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ネイサン・ウィリアムズ、フランシスコ・ヴェラスケス

アメリカのJ・D・ヴァンス米副大統領は22日、イランとの戦争終結に向けた協議後、イランが核査察の受け入れに同意したとし、国際原子力機関(IAEA)との協議が「早ければ22日中にも」行われると述べた。しかしイラン側は、核査察官を再び受け入れることには同意していないと否定した。

スイス・ルツェルン州のリゾート地ビュルゲンシュトックで21日に始まった、アメリカとイランの戦争終結の最終合意を目指す協議はこの日、交渉の第1ラウンドが終了した。

イラン外務省は国営メディアに対し、イラン政府は核査察をめぐり「新たな約束はしていない」と述べた。

こうした中、アメリカは対イラン制裁の一部を一時停止した。イランは数十年ぶりに石油を米ドル建てで販売することが可能になる。

スイスでの協議で仲介役を務めるカタールとパキスタンは22日に共同声明で、交渉の第1ラウンドが終了し、アメリカとイランが「60日以内に最終合意に達するためのロードマップ」に合意したと説明した。

ヴァンス米副大統領は、今回の協議が「非常に良い土台」を築いたと述べた。

ヴァンス氏によると、両国の交渉団はホルムズ海峡の再開や、「地域停戦に向けた衝突回避」についても協議した。

米財務省が22日に開始した60日間の制裁免除措置は、長年にわたる対イラン禁輸措置の中核部分を崩す内容だ。こうした禁輸措置は歴史的にイラン経済を圧迫してきた。

この緊急許可により、8月21日まではイランの原油と石油化学製品の生産・販売・納入が認められる。

また、イラン産原油をアメリカへ直接輸出することも可能になる。

銀行取引や保険、輸送をめぐる制限も解除され、イランがこれまで原油を販売するために用いてきた複雑な取引網も不要になる。

核査察官の受け入れは

ダークスーツに金色のネクタイを着けたトランプ米大統領が、大統領執務室の椅子に座り、両手を広げて話をしている

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スコット・ベッセント米財務長官は、60日間の制裁免除と引き換えに、イラン政府が重要な海上輸送路であるホルムズ海峡の通航を維持し、IAEAの核査察官の再入国を認めることを約束したと述べた。

ヴァンス氏は22日朝にスイスで、核査察官はいつイランに戻るのかと記者から質問を受けた。

ヴァンス氏は、そのプロセスは「少なくとも今週中」に始まる見込みだが、査察官との協議は「早ければ今日(22日)にも行われる可能性がある」と答えた。

ドナルド・トランプ米大統領も、イランは「大規模な兵器査察の受け入れに同意することになる」とソーシャルメディアに投稿した。

しかし、イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官は国営通信IRNAのインタビューで、イラン政府は核査察をめぐり「新たな約束はしていない」と語った。

バガイ報道官は、国連の査察官との取り組みは、「イラン議会と最高国家安全保障会議(SNSC)が定めた既存の手続きの下で」行われると主張した。

IAEAは核視察について即座にコメントしなかった。

イランの核関連施設は、昨夏のイスラエルとの12日間に及ぶ戦争で米・イスラエルに爆撃され、イランはIAEAの立ち入りを停止した。

その翌月にはIAEAが、イラン国内に残っていた査察官がイランから引き揚げたと発表した。

グレースーツ姿のシャリフ氏が右手でマイクを持って立ち、向かって左に紺のスーツに青いネクタイを着けた米副大統領が、向かって右にカタール首相が立ち、シャリフ氏を見ている。パキスタンとカタールの首相は手をつないでいる。後ろにはイラン、カタール、サウジアラビア、アメリカの国旗が描かれた青い背景が見える

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画像説明, スイス・ルツェルン州のリゾート地ビュルゲンシュトックでの米・イラン協議に臨んだ(左から)ヴァンス米副大統領、仲介役のパキスタンのシャバズ・シャリフ首相、カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アル・サーニ首長兼外相

2015年にイランとアメリカ、中国、フランス、ロシア、ドイツ、イギリスの6カ国は、IAEAによるイランの核関連施設への査察を可能にする核合意を結んだ。

しかし、トランプ氏は大統領1期目の2018年、「悪い取引だ」として核合意からのアメリカの一方的な離脱を発表した。

今後の米・イラン協議は

ヴァンス氏は22日、前日にイラン側から、協議を離脱すると脅されたことを明らかにした。トランプ氏は先に、アメリカが「イランに再び非常に激しい打撃を与える」可能性があると警告する内容を、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿していた。

ヴァンス氏はイランの交渉団に対し、トランプ氏はただ、イラン側の「挑発的な発言」に反応したにすぎないと伝えたという。

トランプ氏は22日、ホワイトハウスの大統領執務室で、イランに向けて改めて警告を発した。

「イランが合意を守らない、あるいは適切に振る舞わないのであれば、私はやるべきことをやる」

イランの主席交渉官らは22日に協議の場を離れたと、イランメディアは伝えた。一方で、当事者間の技術的な協議は継続される見通しだという。

仲介役のカタールとパキスタンが出した共同声明によると、「ホルムズ海峡を通過する商船の安全な航行を確保する目的で、事故や誤解を避けるため」の「連絡ライン」が設けられた。

また、アメリカとイランは、レバノンでの軍事作戦を終了するための、米・イラン・レバノンによる「衝突回避組織」の設置でも合意したという。

イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相は、最初の「真の試金石」はレバノンだとの認識を示した。

イスラエルと、イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラのレバノンでの戦闘は、21日夜以降は静まっており、ぜい弱な停戦が維持されている。