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米フロリダ州の水道システムにハッカー侵入、有害物質を大量に加えようと
米フロリダ州オールズマーで5日、水道システムにハッカーが侵入し、人体に「有害な」濃度の化学物質を水に加えようとした。当局が8日に明らかにした。
ハッカーはオールズマーの水処理システムに遠隔操作で侵入し、水酸化ナトリウム濃度を一時的に高めたが、作業員が気付いて元に戻した。
地元紙タンパ・ベイ・タイムズによると、5日朝、施設のオペレーターがシステム内へ侵入しようとする動きに気付いたが、上司が行っているものだと思ったという。
しかし同日午後、ハッカーは再び侵入を試みた。この時は侵入に成功し、処理ソフトウェアにアクセスして水酸化ナトリウム濃度を通常の100ppmから100倍以上の1万1100ppmに引き上げた。オペレーターは直ちに通常値に戻した。
水酸化ナトリウムは酸性度の調整のため、水道水にごく微量添加されるが、多量に加えると大きな問題を引き起こしかねない。
オールズマーのエリック・サイデル市長は、「悪意のある人間がいる」と述べた。
これまでのところ逮捕者は出ていない。ハッキングがアメリカ国内からのものなのか、国外のものなのかは分かっていない。
水酸化ナトリウムは液体配水管クリーナーの主成分だ。腐食性が非常に高く、皮膚や目に刺激を引き起こしたり、一時的に毛が抜けるおそれがある。
飲み込むと口やのど、胃を損傷し、嘔吐や吐き気、下痢の症状などが現れることがある。
ピネラス郡のボブ・ゴルティエーリ保安官は、「私は化学者ではないが、(中略)あの物質をあれだけ大量に飲料水に入れるのが、良くないことは分かっている」と述べた。
「処理された水への有害な影響は一切なかった。何より、市民が危険にさらされたことは1度もなかった」と、保安官は付け加えた。
オールズマーの水処理施設は、複数の企業と住民約1万5000人に水を供給している。
水道システムへの遠隔アクセスプログラムは一時的に無効化されている。
<解説>「厄介者がいる」 ――ジョー・タイディ、サイバー記者
目に見えない手が、自分たちのマウスカーソルを操作し、水に劇物を加えようと電子ダイヤルをクリックして調整している……。こんな光景を水道職員は目にしたわけだ。恐ろしい話だ。
しかしそれより、こうしたハッキングは今回が初めてではないということの方が、もしかすると恐ろしいのかもしれない。
2016年には米情報通信大手ベライゾンが、アメリカ国内の水道施設に対する同様の攻撃について、セキュリティ報告書で詳細を明らかにした。この施設名は公表されていない。
2020年にはイスラエルの水道施設が複数回ハッキング攻撃を受けたが、失敗に終わった。
サイバーセキュリティの専門家たちはもう何年も前から、「不可欠な国内インフラ」と呼ばれる施設が標的にされていると警告してきた。今回フロリダでの攻撃で、その懸念がさらに高まったことになる。
水や電気、原子力発電所、輸送機関は常に、弱点がないか点検を受けている。いざとなれば大規模な混乱につながるからだけでなく、時代遅れで脆弱(ぜいじゃく)なITシステムを使用していることが多いからだ。
これまでのところ、水の供給に対する攻撃は全て回避されている。
しかしサイデル市長が記者会見で述べたように、今回の攻撃は「こういう悪意のある人間が存在し、こうした事案が起きているのだと、警鐘を鳴らす」出来事だったと言える。