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アメリカとイランが攻撃の応酬、停戦に違反したと互いに非難
アメリカは27日、ホルムズ海峡でパナマ船籍のタンカー1隻がドローンで攻撃されたことを受け、イランに対して新たな空爆を実施した。一方でイランは、中東地域にある米関連インフラに報復攻撃を仕掛けたと発表した。
米中央軍(CENTCOM)は声明を発表し、商業船舶に対する「継続的な攻撃行為」への直接的な対応として、イラン各地の複数の標的を攻撃したと説明した。
これに対し、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は国営メディアを通じた声明で、クウェートとバーレーンにあるアメリカに関連するインフラに対し、複数のミサイルとドローンを発射したと発表した。
アメリカとイランはそれぞれ攻撃した後、停戦に違反したと互いを非難した。
「停戦違反」を互いに非難
米中央軍は声明で、「イランには停戦合意を順守する機会が与えられていた。しかし、イラン部隊はパナマ船籍のタンカー『キク』に一方向攻撃ドローンを発射し、それ(合意順守)に応じないことを選んだ」と述べた。
そのため、米軍の戦闘機がホルムズ海峡周辺の複数地点で、イランの軍事目標10カ所を攻撃したと、米中央軍は説明した。標的には軍事装備、通信システム、防空拠点、ドローン保管施設が含まれるとした。
一方、IRGCは声明で、アメリカは「IRGCの海軍が違反船に対処していたことを口実に」、イラン沿岸の拠点5カ所を攻撃したと主張した。
IRGCは米軍の攻撃への報復として、クウェートのアリ・アル・サレム基地と、バーレーンのポート・サルマンにある米海軍第5艦隊基地の「重要インフラ8カ所」に向けて、弾道ミサイルとドローンを発射し「これらを破壊した」とした。
米政府関係者がロイター通信に語ったところによると、中東でアメリカ側に死傷者が出たり、米関連施設が重大な影響あるいは損傷を受けたりしたという報告は、これまでのところないという。
IRGCは、17日にイランとアメリカが署名し発効された、戦争終結に向けた「了解覚書」(MOU)に基づき、イランがホルムズ海峡における通行・航行管理を担うことになっているとし、今後はこれに違反する船舶に対して、これまで以上に強硬に対処する方針を示した。
「いかなる口実による敵の侵略行為であれ、たとえ昨夜や今夜のように小規模な標的に対するものであっても、破壊的な対応を取ることになる」と、IRGCの声明には書かれている。
さらにIRGCは、アメリカがMOUに基づく停戦に違反したとも非難。「(和平への)プロセスの完全な停止につながる」と警告した。
イラン外務省も、「残忍な攻撃」で停戦に違反したとアメリカを非難したうえで、アメリカは「自らの取り組みについてわずかな価値も信頼性も持たず、約束を破ることがその本質の一部」であることを示していると付け加えた。
イランは「教訓を学ばない」可能性が高いと
アメリカが新たにイランを空爆したことが発表されて間もなく、ドナルド・トランプ米大統領は、イラン政府が「決して教訓を学ばない」可能性は「非常に高い」と、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
トランプ氏は27日夜の投稿で、「我々はもはや理性的に対応できなくなり、我々が非常に成功裏に開始したこの任務を、軍事的に完遂せざるを得なくなる時が来るかもしれない」と述べた。
続けて、「そうなれば、イラン・イスラム共和国はもはや存在しなくなる!」とした。
アメリカがイランを空爆した数時間後、クウェートとバーレーンはいずれも、防空システムが作動したと発表した。
クウェート軍は、「クウェートの防空システムが現在、敵対的なミサイル・ドローン攻撃に対処している」とソーシャルメディアに投稿し、市民に安全のための指示に従うよう求めた。
バーレーン内務省も市民に対し、「冷静さを保ち、最寄りの安全な場所に移動する」よう呼びかけた。
米中央軍は、ホルムズ海峡では商業船舶の航行が維持されていると説明した。
ホルムズ海峡をめぐる状況
ホルムズ海峡をめぐっては、同海峡を航行中のシンガポール船籍の貨物船「エヴァー・ラヴリー」がドローン攻撃を受けたことへの報復として、アメリカが26日にイラン国内の標的を攻撃した。それから1日もたたないうちに、アメリカは再びイランを空爆した。
米中央軍は26日の報復攻撃について、当時声明で、貨物船へのドローン攻撃に対する「強力な対応」だと説明。「イラン軍による、商業船舶に対する不当な攻撃は明らかに停戦に違反している」と述べた。
イラン側は、貨物船を攻撃したのは、「ホルムズ海峡で無許可の航路を航行した」ことが理由だと主張。アメリカの報復攻撃こそ停戦違反にあたると主張した。
イラン外務省は27日朝の声明で、米軍関連の標的に対してさらなる攻撃を仕掛けたと明らかにし、「条約を破る米政権」がこの事態を招いたと非難した。
アメリカとイランは6月17日に、紛争終結に向けた14項目からなる合意に署名した。この合意には、60日以内に最終合意をまとめる間、イランがホルムズ海峡を通る船舶に通行料を課すことなく、商船の安全な航行を確保するよう「最大限努力」することが盛り込まれている。
米・イスラエルによる対イラン攻撃が2月28日に始まって以降、イランは事実上、ホルムズ海峡を封鎖していた。世界の原油・天然ガスの重要な海上輸送路であるホルムズ海峡の封鎖により、原油価格は急騰し、肥料などの重要物資の輸送も停滞した。
トランプ氏や米高官はこのところ、イランとの交渉は順調に進んでいると主張し、イランがホルムズ海峡を通過する船舶に通行料を課す考えを放棄したと述べていた。
トランプ氏は24日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、イランがアメリカに対し「通行料も、保険料も、他のあらゆる料金も求めたり受け取ったりしない」と伝えたと述べた。
一方、「これが偽情報なら、交渉は直ちに終了する」とも、トランプ氏は述べていた。
アメリカは、イランが海峡を通過するタンカーに料金を課しているとの報道を非難している。こうした通行料システムは、国際海洋法に反するという見方が大勢を占める。
23日には、イランとオマーンの当局者がオマーンの首都マスカットで会談し、「航行の将来的な管理」について協議した。オマーンのバドル・アル・ブサイディ外相は、両国が「無料の安全な通航」に引き続き取り組むと述べた。
しかし、 イラン側の協議責任者であるモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長は、国営メディアに対し、「ホルムズ海峡の管理は決して戦争前の状態には戻らないことを誰もが理解すべきだ」と述べた。