バーナム氏が政策構想を発表、英首相官邸の支部設置で地方分権を加速と

画像提供, PA Media
ケイト・ワネル政治記者
英与党・労働党のアンディ・バーナム下院議員は29日、党首選への立候補を表明して以来、初となる演説を行った。自分が次期党首およびイギリスの新首相となった暁には、イングランド北部のマンチェスターに新たな首相官邸チーム「ナンバー10ノース」を置き、「この国に前例のない、最大規模の権力の再分配を監督する」と述べた。
バーナム氏はこの演説で、自身のより広範な政治構想を説明。その中で、「あらゆる郵便番号(の地域)で良い成長を促進する」ため、イギリス全土に権力を再分配する方針を誓った。
また、戦後最大規模の公営住宅建設計画や、教育に関する「完全な再考」、福祉支出の削減も約束した。
これに対し、最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、バーナム氏が地方分権を支持するのは「何をすべきか分かっておらず、問題を他者に押し付けたいからだ」と述べた。
グレーター・マンチェスター市長だったバーナム氏は22日、イングランド・メイカーフィールド選出の下院議員として議会で宣誓した直後、この日に辞任の意向を表明したキア・スターマー首相の後任として党首選に立候補すると発表した。
29日時点の立候補者はバーナム氏のみ。同氏が唯一の候補者だった場合、最早で7月20日にも、新たな首相となる可能性がある。
地方への権力移譲を強化
バーナム氏の演説は、マンチェスターの人民歴史博物館で行われた。リヴァプール市長のスティーヴ・ロザラム氏、ウェストヨークシャー市長のトレイシー・ブラビン氏、サウスヨークシャー市長のオリヴァー・コッパード氏も参加した。
バーナム氏は、自らの政権の方向性の概要を示したが、詳細な計画は提示しなかった。また政治演説としては異例なことに、最後に質疑応答を行わなかった。
同氏の主要なメッセージは、ロンドンの官庁街ホワイトホールの高級官僚から権力を遠ざけ、地域社会に委譲するというコミットメントだった。同氏は、こうした官僚機構がマンチェスターでの進展を「阻んできた」と述べた。
「成長は上からの命令で生み出されるものではなく、下から育まれるものでしかないと、ホワイトホールは認める時だ」
バーナム氏は、どの地域に何が与えられるかを具体的には説明しなかったが、水道、エネルギー、交通といった基幹サービスについて、「より大きな公共の統制」がもたらされる可能性や、ロンドンが教育や住宅についてより大きな発言権を持つ可能性を示唆した。
また、「権力をさらに下層へと移すことで、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでも、地方分権を拡大する新たな機会が生まれる」と述べた。
「(スコットランドの)ダンディーや(ウェールズの)バンガーの人々は、ウェストミンスター(英議会)と同じくらい、ホリールード(スコットランド議会)やセネッズ(ウェールズ議会)にも距離を感じている」
同氏は、国全体に権力を分散させることが「イギリスに必要なサーキット・ブレーカーになる」と主張した。
その実現の手段となるのが「ナンバー10ノース」で、国内に「権力の流れ」を生み出し、基幹公共サービスの改革、再工業化、再生という三つの課題において地方を支援するものになると述べた。この名称は、首相官邸のあるロンドンのダウニング街10番地(ナンバー10)と、南部のロンドンに対して地方を表す「ノース(North、北部)」を組み合わせたもの。
労働党は2024年の総選挙のマニフェストで、地方分権の権限を新たな地域に展開するとともに、すでに市長や統合当局が設置されている地域ではその権限を拡大すると約束していた。
2025年2月、当時地方自治担当相だったアンジェラ・レイナー氏は、チェシャー・ウォリントン、カンブリア、エセックス、ハンプシャー・ソレント、ノーフォーク・アンド・サフォーク、サセックス・アンド・ブライトンの6地域に市長を設置する計画を発表している。
福祉、若者の就労支援、教育制度の見直し
労働党の一般議員とスターマー首相の間で激しい議論になったものの一つは、福祉費削減に関するものだった。バーナム氏は以前、この削減に「ためらいはない」と述べていた。
今回の演説でも、「公正で持続可能な方法」で削減を見いだすと約束し、さらに「若者がメンタルヘルス(こころの健康)への支援を必要とする場合、それは就労支援の一環として提供される」と述べた。
また、就労支援の権限を市長に委譲する可能性や、「人々が恐れる場所ではなく(中略)信頼できる場所としての」草の根組織を通じて、より多くの支援を提供すべきだとも述べた。
以前の労働党政権でバーナム氏と共に閣僚を務めたアラン・ミルバーン氏は現在、若者を就労に結び付ける方法に関するレビューを実施している。
バーナム氏は、その提言を重く受け止めているとし、「次世代の成功をどのように支えるかについて、完全な再考」が必要であり、「それは教育制度から始めなければならない」と述べた。
同氏は、学校制度はもはや大学進学を中心に据えるべきではないとし、職業教育をより重視する方針を約束した。
税制については、パブや商店街の事業者を支援するため、法人税を変更する計画を改めて示した。
「我々の商店街は、イギリスの衰退の象徴ではなく、再生の象徴とすべきではないか」と同氏は述べた。
一方、金融市場を安心させる狙いから、バーナム氏は自らの計画が「健全な財政から生まれる安定」に支えられると強調。「人々の生活水準を引き上げる10カ年のミッション」を約束した。
また、「人々は変化をいつまでも待てない」と認め、「公共財政にリスクを負わせずに、できるだけ早くイギリスに余裕をもたらすよう最善を尽くす」と述べた。
スターマー首相の辞任表明以降、バーナム氏が閣僚の要職、特に首相の右腕となる財務相に誰を起用するかについて臆測が飛び交っている。
演説の中でバーナム氏は、党首選の終了までは人事についていかなる発表も行わないと述べた。
今週、同氏は政権移行に備えるため、官僚機構との会合を開始する予定だ。
公務員との事前協議は通常、総選挙に先立って野党党首に対して認められるものだが、スターマー氏は先週の時点で、党首選の立候補者にこの権利を認めた。
野党の反応は
バーナム氏の演説に先立ち、保守党のベイドノック党首は「多くの政治家は答えを持たないため、地方分権の陰に隠れている」と述べた。
「彼らは『なぜ地域の人々に任せないのか』と言うが、実際の権限を与えてはいない」ともベイドノック氏は述べ、「今、政治家が意思決定を外部に委ねている。それで多くのことがうまくいっていないのを我々は見てきた」とも語った。
野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首は、「こうした話はこれまでも聞いてきたが、何も変わらず、人々は失望してきた。バーナム氏はその誤りを繰り返してはならない」と述べた。
さらに、「もし成長を加速し生活費を下げることに本気なら、労働党は従来のヨーロッパに関するレッドラインを撤廃し、イギリスを単一市場に戻さなければならない」と語った。
リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は、「地方分権は機能し得るが、南に一つ、北に一つの『ナンバー10』があれば、両者は自然に対立するだろう」と述べた。
ファラージ氏は、「地方分権は機能し得る」と述べつつも、「人々が解決を望んでいる大きな国家的課題は、地方分権では解決されない」と付け加えた。
イングランドおよびウェールズの緑の党のザック・ポランスキー共同党首は、「地方自治体により多くの権限を与えても、それを使う余裕がなければ何の意味があるのか」と述べた。
「労働党は、保守党政権下で削減された自治体予算の回復にほとんど取り組んでいない。また、本日のバーナム氏のいわゆる財政ルールを守るとの約束は、緊縮と重要サービス削減の継続を確定させた」
スコットランド国民党(SNP)の英議会代表を務めるデイヴ・ドゥーガン氏は、バーナム氏の提案には「スコットランドにとって実質的な内容が何もなく、人々の生活を根本的に改善するものもない」と述べた。











