【2026年サッカー男子W杯】 日本、ブラジルに逆転負けしベスト32で敗退 後半終了間際に決勝点奪われる

白色ユニホームの選手の胸に黄色ユニホームの選手が右手を当て、左手を頭の後ろに回している

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画像説明, 試合終了後、日本のMF田中碧(右)をなぐさめるブラジルのFWマテウス・クーニャ(写真はすべて29日、米ヒューストン・スタジアム)
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サッカー男子ワールドカップ(W杯)北中米大会は29日午後(日本時間30日未明)、米ヒューストン・スタジアムでノックアウトステージ(決勝トーナメント)1回戦があり、日本は1-2でブラジルに敗れた。初のW杯ベスト8以上を目指した日本は、前半に先制点を挙げたが、W杯5回優勝を誇るブラジルの波状攻撃に抗し切れず、後半に逆転された。決勝トーナメントでの勝利をまた達成できないまま、日本はベスト32で今大会を終えた。

「スター選手」対「システム」の対決と言われた試合で、日本は前半、ブラジルの隙をつきリードを奪った。だが後半、ブラジルの豊富な攻めによってゴールを重ねられ、ねじ伏せられた。

試合開始直後からブラジルがボールを支配し、たびたびゴール前まで攻め込んだ。前半22分までのブラジルのボール支配率は約7割に達し、MFブルーノ・ギマランイスはこの時点ですでにシュート3本を放った。

BBCスポーツの解説を務める元イングランド代表FWのクリス・サットンさんは、日本が自陣深くにとどまり、リズムをつくれていないと評した。

それでも、守備の抜け穴を探るブラジルに対して、日本のディフェンス陣は決定機をつくらせない。GK鈴木彩艶も堅実なプレーでゴールを守り続けた。

そして、今大会から採用されたハイドレーションブレーク(飲水タイム)明けの前半29分、日本に決定的なチャンスが訪れる。

MF佐野海舟が中盤で相手パスのボールを奪うと、自らドリブルでスピードに乗りながらゴールに向かって中央を突進。ブラジルの守備を振り切るようにしてペナルティーエリアの手前で右足を振り抜くと、ボールはゴール左下角に吸い込まれた。

BBCスポーツ解説のサットンさんは、「まさに見事なフィニッシュだ。佐野海舟の正確なプレー。日本はプランがあり、それが機能している」とゴールを称賛。

元イングランド代表DFのスティーヴン・ウォーノックさんも、「中盤からの素晴らしいドリブル突破だった」、「佐野のシュートが正確で、(ブラジルのGK)アリソンにはゴールを防ぐチャンスもなかった」とBBCで評した。

白色ユニホームの選手がボールを蹴ろうとしている。すぐ後ろには黄色ユニホームのブラジル選手がいる

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画像説明, 右足でシュートを放つ佐野。日本の先制点となった

日本にリードを許したブラジルは、攻勢をいっそう強める。ボールをつなぎ、守備のほころびを突こうとする。

しかし、コンパクトにまとまったな日本の守りは大きく崩れない。ブラジルはシュートを打つものの、ゴールを脅かすほどの威力はなく、GK鈴木がしっかり止めた。

このまま前半は日本が1-0でリードして終了。サットンさんは、「ブラジルには多くの努力が必要だ。攻撃では、鈴木彩艶に大きなプレッシャーをかけられていない」とここまでを総括。日本については、「5人が深く下がり、前線に4人を配置する戦術が完璧に機能している。これがブラジルをいら立たせている」と評した。

ブラジル、戦術を変更

後半も開始直後からブラジルがボールを支配し、ゴールチャンスを狙い続ける。ただ、前半から一転し、外からクロスボールを蹴り込み、頭で合わせてゴールを狙う攻めを繰り返す。

日本は決定的な得点機をつくられながらも、守備陣がゴール前で一体となって好プレーを連続。どうにかボールをはじき返し続ける。

しかし後半11分、ついにブラジルにゴールが生まれる。ペナルティーエリア外の左側からのクロスボールを、MFカゼミーロが頭でぴたりと合わると、ボールはゴールネットに突き刺さった。これで試合は1-1となった。

BBC解説のサットンさんは、「ブラジルは後半開始早々、勇敢かつ大胆なプレーを見せていた。日本のペナルティーエリアに選手を集中させ、次々とシュートを浴びせていた」と、ここまでのブラジルの攻めを解説。同点ゴールについては、「ファーポストでの教科書通りのヘディングシュートだった。力強くネットを揺らした」と称賛した。

黄色ユニホームの選手がジャンプして頭を前に傾けている。ボールがその前を飛んでいる。近くには白色ユニホームの選手2人がいる。手前では緑色ユニホームのGK鈴木がボールに反応しようとしている

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画像説明, カゼミーロ(左)がヘディングシュートを放つ。これが同点ゴールとなった

追いつかれた日本は、高い位置でブラジルに圧力をかけ、ボールを奪いに行く。そのぶん守りが薄くなり、ブラジルにカウンター攻撃を許すが、急いで守備に戻ることで対応した。

そうした流れのなか、後半13分、ブラジルのエースストライカーのFWヴィニシウス・ジュニオールが、個人技の速攻から右足でシュートを放つ。ボールはゴール右側に吸い込まれるかに見えたが、GK鈴木が左手をいっぱいに伸ばしてボールに触れると、コースがわずかに変化。ボールはゴール右ポストにはじかれ、得点とはならなかった。

このファインプレーをサットンさんは、「見事なセーブ」と高く評価。「彼(ジュニオール)はゴールを決めたと思ったが、鈴木がどうにかボールをポストへとはじいた。驚異的なセーブだ」とコメントした。

このあともブラジルが押し込み、日本がなんとかボールを外に蹴り出す場面が繰り返される。BBCラジオの解説者アリスター・ブルース=ボールさんは、「日本はポジションを守り、ブラジルの攻撃を食い止めようと、休むことなく懸命に走っている」と、この状況を説明した。

試合は同点のまま、6分のアディショナルタイムに。延長入りが迫るなか、攻め続けるブラジルに決定機が訪れる。

後半50分、ブラジルは奪ったボールをペナルティーエリアでつなぐと、最後はゴール前でFWガブリエル・マルティネッリが右足でシュート。これがゴール右へ決まり、ブラジルが2-1と逆転した。

日本は残りわずかな時間で攻めたが、ゴールにはつながらず、試合終了となった。

この試合のボール支配率は、ブラジル68.6%、日本31.4%だった。シュートはブラジル19本(うち枠内7本)、日本5本(同2本)だった。

マルティネッリが右足を前に出し、その前にボールが飛んでいる。近くには白色ユニホームの日本選手がいる。手前では緑色ユニホームのGK鈴木が反応しようと構えている

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画像説明, マルティネッリ(中央、黄色のユニホーム)が日本のゴール前でシュートを放つ。この得点が試合を決めた

「ここで去るのは本当に残念」

試合直後のインタビューで、日本代表の森保一監督は、「ここで大会を去らなければいけないのは本当に残念だが、選手たちは今日の試合も全力を尽くしてくれた」、「今は悔しいが、さらに力をつけられるようにやっていくという結果を受け入れたいと思う」と話した。

そして、「日本のサッカーは歴史がつながって、間違いないくレベルが上がってきていると思う。ただ、まだ世界を超えていくには、努力しなければならないところ、変えていかなければいけないところがあるということを今大会でも学ぶことができた」とした。

この試合でゲームキャプテンを務めたMF堂安律は、「力不足だった。世界はレベルが高いと思った」と振り返った。

先制ゴールを決めた佐野は、「得点を決められたのはよかったけれども、チームの結果が自分の得点なんかよりすべてなので悔しい」と話した。

元イングランド代表DFのウォーノックさんは、「残酷な試合だった」とBBCにコメント。「ブラジルは前半、日本の守備を崩すのに苦しんだ。ハーフタイムでのカルロ・アンチェロッティ監督の采配が勝負を分けた。日本はペナルティーエリアへのクロスに対応できなかった。終盤の(ブラジルの)高い技術力のゴールが、日本を退けた」と話した。

BBC解説者のサットンさんは、「(日本は)この試合に全力を注ぎ込んだが、結局、土壇場で敗れてしまった。重要なのは打開策を見つけることだ。ブラジルには豊富な経験があり、優れた日本チームをW杯から敗退させるだけの余力が十分にあった」と評した。

この試合を報じたBBCウェブサイトのライブページでは、読者らが日本の健闘をたたえた。「日本が敗退してしまうのは残念だ。素晴らしい戦いを見せたが、結局はブラジルの攻撃力が圧倒的で、プレッシャーが高まっていった」(ホアンさん、アルゼンチン)といったコメントや、「日本について本当に胸が張り裂ける思いだ。彼らは全力を尽くし、勝利に値するチームだ。ただ、ブラジルはどの段階でも決して侮れない」(セブさん、英イーストリー)といった投稿があった。

一方で、「日本は勝利に値したのだろうか?  データはそうは示していない」(ジョンさん、英チェディントン)、「日本は勇敢に戦ったが、サッカーというスポーツは常にゴールで決まるのであり、守備で決まるわけではない。ブラジルの勝利は当然だ。日本には不運だった」(デイヴさん、英ウィラル)という指摘もあった。

白色ユニホームの選手が顔を赤くして、右手を口に当てている

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画像説明, 試合終了直後、口元に手をやるMF中村敬斗
紺色のベストにネクタイ姿の森保監督が胸の前で手を合わせている。白色ユニホームの選手たちが集団で、下を向いたり手を額に当てたりしながら歩いている

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画像説明, ブラジルに敗れた日本代表の森保監督(右)と選手たち
黄色ユニホームの選手たちが肩を組んで笑顔で前上方を見ている

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画像説明, 日本に勝利して喜ぶブラジルの選手たち。これでベスト16入りした

W杯8大会連続出場の日本は、初のベスト8以上の成績を収められるかが注目されてきた。前回2022年カタール大会と前々回2018年ロシア大会はともにベスト16で敗れた。決勝トーナメントで勝利したこともまだない。

昨年10月の親善試合では、それまで13回戦って2分け11敗だったブラジルに初めて勝利。今年3月には強豪イングランドにも親善試合で勝ち、チームとして自信を深めていた。

世界的にも日本の評価は高まり、今大会はダークホースと呼ばれ躍進が期待された。グループステージ(1次リーグ)は強豪オランダと引き分けるなど、2勝1分けの2位で決勝トーナメントに進んだ。

ただ、個の力で相手チームを翻弄(ほんろう)できるブラジルの壁は厚かった。この日のチームは、日本が勝利した親善試合のブラジルチームとは大きく異なり、先発選手でみると、両方で名を連ねたのは4人だけだった。