米最高裁の保守派トーマス判事、共和党支持の富豪が豪華旅行など接待

Clarence Thomas

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画像説明, クラレンス・トーマス米最高裁判事
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米連邦最高裁の保守派判事、クラレンス・トーマス氏が、共和党支持者の富豪から長年にわたり豪華旅行などの接待を受けていたことが明らかになった。トーマス判事は、「個人的なもてなしは報告不要」という認識だと反論している。

非営利の米調査報道サイト「プロパブリカ」は6日、トーマス判事が約20年にわたりほぼ毎年、不動産業界の大物で共和党の大口献金者、ハーラン・クロウ氏から、豪華旅行を提供されていたと伝えた。BBCは報道内容を独自に検証していない。

連邦裁判所の判事は毎年、財務状況を開示する必要がある。審理中の案件に関係する誰からも贈答品を受け取ってはならない。

プロパブリカの報道によると、トーマス判事はクロウ氏の豪華ヨットや自家用飛行機を使った旅行に参加したほか、毎年夏にはクロウ氏が所有するニューヨーク州のリゾート施設に滞在したという。2019年のインドネシア旅行の総費用は最大50万ドル(約6600万円)だった可能性があるという。

報道を受けてトーマス判事は7日、「同僚その他の司法関係者に相談」したところ、「裁判所が取り扱い中の案件とかかわりのない、個人的な親しい友人からのこうした個人的なもてなしは、申告不要」だと説明されていたと反論。「私は在任中、一貫してその説明に従い、(財務状況)開示指針に従うべく務めてきた」と判事は声明で述べた。

トーマス判事はさらに、クロウ夫妻について「25年以上、親しく交際してきた」大切な友人だと述べた。

他方、共和党と民主党の両方の政権のもとで政府の倫理担当弁護士をつとめたヴァージニア・カンター氏はBBCに対して、トーマス判事がこれまで友人夫妻からの接待について、正式に司法当局の意見を求めたという記録はないと話した。

カンター弁護士はさらに、「最高裁判事が誰にどういう意見を求めるべきか、決まったルールはない様子で、判事はそれぞれ誰に助言を求めて自分にどういうルールが適用されるのか、自分で決めているようだ」とも述べた。カンター弁護士はプロパブリカの取材にも応じている。

クロウ氏は共和党のほか、保守派にとって重要な政治課題に取り組む団体に長年にわたり大口献金を重ねてきた人物。そのクロウ氏はプロパブリカの取材に対して、トーマス判事と妻ジニさんに提供してきた旅行は、「ほかの親しい友人たちに提供してきたもてなしと、何も変わらない」と話した。

「トーマス判事とジニさんが、こうした接待を要求したことは一度もない」と、クロウ氏は声明で取材に答えている。

クロウ氏はさらに、自分が提供した旅行中に裁判の内容を話したことは「一度もない」と説明。また、旅行に参加した他の招待客たちが「トーマス判事に対して何か働きかけたり、事件について影響を与えようとしたりした」とは認識していないとも述べた。

「友達同士が集まる機会」を自分は提供していたので、判事に何か働きかけようと誰かが意図していると思ったら「そのような人間は絶対に招待しない」とも、クロウ氏は述べた。

プロパブリカによると、クロウ氏は豪華旅行のほか、カリフォルニア州にある男性限定の会員制高級リゾート「ボヘミアン・グローヴ」にも、トーマス判事を招待している。「ボヘミアン・グローヴ」は政治家や著名人などが多く利用し、中の様子はほとんど外部に知られていない。

民主党の一部議員からは、トーマス判事について調査を要求するほか、最高裁判事の倫理規定厳格化を求める声が出ている。

民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コーテス下院議員(ニューヨーク州)はツイッターで、「これは党や党派性を超えた問題だ。これほどの腐敗は衝撃的で、ほとんど漫画だ。トーマスは弾劾されなくてはならない」と書いた。

最高裁判事の弾劾手続きは、他の連邦政府の役職者に対するものと同じで、まずは連邦下院が弾劾動議の「弾劾条項」を提出する。下院は単純過半数で通過するが、上院では3分の2以上の賛成が必要となる。現在の上院(定数100)は50対50で、民主党と共和党が拮抗しているため、この上院がトーマス判事の弾劾を可決する可能性はきわめて低い。

判事9人からなる連邦最高裁は現在、トーマス判事を含めて判事6人が保守派もしくは保守寄りとされている。最高裁判事の任期は終身。

トーマス判事の個人旅行が問題になるのは、今回が初めてではない。

2004年には米紙ロサンゼルス・タイムズが、クロウ氏からプレゼントや自家用機でのフライトを判事が受け取っていたことを報道している。プレゼントの中には、1万5000ドル相当のリンカーン胸像や、19世紀の奴隷制廃止論者フレデリック・ダグラス所蔵だった聖書(1万9000ドル相当)などが含まれていたという。

判事は当時、報道についてコメントせず、これ以降は旅行につい開示していない。

昨年12月には判事の妻ジニさんが2020年米大統領選の後、トランプ政権幹部に繰り返し、ジョー・バイデン氏が当選した選挙結果を覆すよう、メールなどで促していたことが明らかになった。これを受けて、トーマス判事は2020年大統領選関連の審理への関与から自ら身を引くべきだという批判が相次いだ。

ジニさんは後に、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件を調査した下院特別委に対して、自分が当時書いた「たくさんのテキストメール」を後悔していると証言した。

トーマス判事は1991年、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領に指名され、就任した。上院での指名公聴会では、部下だったアニータ・ヒル氏(現ブランダイス大学教授)が判事によるセクシャル・ハラスメント被害を証言し、判事がこれを否定するという波乱の展開の末、就任に至った。