絵本「はらぺこあおむし」の作家エリック・カール氏 91歳で死去

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ベストセラー絵本「はらぺこあおむし」(Very Hungry Caterpillar)などで知られるアメリカの絵本作家エリック・カール氏が23日、死去した。91歳だった。家族が26日に公表した。

カール氏の遺族は声明で、「月の光の中で、輝く星をしっかりつかみ、虹の画家はいま夜空を旅している」と書いた。

カール氏の作品で最も有名な「はらぺこあおむし」は、ひどくおなかを空かせたアオムシの物語。1969年に出版され、5000万部以上の売上を記録した。

たった224文字で綴られたシンプルな絵本だが、その色あせない物語は62カ国語に翻訳されている。

カール氏の息子ロルフ氏は米紙ニューヨーク・タイムズ紙に対し、カール氏はマサチューセッツ州ノーサンプトンで腎不全で亡くなったと語った。

「希望の本」

ニューヨーク州シラキュース生まれのカール氏は、30代後半から子供向けの本を作り始めた。

2019年にはBBCの取材に対し、「はらぺこあおむし」が50年にもわたって読まれ続けている理由について語った。

「長い間、私の出版社や編集者、そして私は、『はらぺこあおむし』がこれほど人気を集める理由が分からなかった」

「しかし時がたつにつれ、この本が希望の本であると感じるようになった。そしてこの希望に満ちた気持ちが、幅広い年齢層の読者に愛され、記憶に残る本になったのだと思う」

戦争のトラウマ

ドイツ系移民の両親のもとに生まれたカール氏は子供のころ、母親がホームシックになったため1930年代半ばにドイツ・シュトゥットガルトに引っ越した。しかしそこで、父親は第2次世界大戦中に徴兵され、旧ソビエト連邦の捕虜となった。

そうした戦争でのトラウマが、カール氏が他の人とは異なる世界の見方を持つきっかけとなった。

その後ニューヨークへ戻ると、グラフィックデザイナーや広告代理店などを経て、最初の絵本「くまさん くまさん なにみてるの?」(Brown Bear, Brown Bear, What do you see?)を描いた。

「はらぺこあおむし」の元となった最初の1冊は「A Week With Willi Worm」(虫のウィリーの1週間)というもので、紙の束に穴あけパンチで穴を開けていた際に、本の紙を食べる虫を思い出したことがきっかけで誕生した。

ただ、担当編集者は虫が好きではなく、様々な動物が検討された。最終的にはアオムシとチョウを題材にすることで話がまとまった。

ページ毎に形がばらばらで、穴もあけなければならない本の出版を引き受ける印刷会社はアメリカでは見つからなかった。最終的には日本の印刷会社が請け負った。

現在は15秒に1冊のペースで売れていると言われている。

「はらぺこあおむし」は絵本にとどまらず、アニメ化もされ、さまざまなグッズも発売されている。舞台化もされ、世界中の子ども約100万人が足を運んだ。