スイス、EUとの条約交渉を打ち切り 協定の乱立続く

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スイスは26日、欧州連合(EU)との条約締結に向けた交渉を継続しない意向を示した。

スイスはEU加盟国ではないが、1972年に自由貿易協定を結んで以来、移動の自由など数々のEUの政策に参加している。両者の関係は120以上の協定で成り立っており、これを1つの条約にまとめる努力が長年続けられてきたが、スイスはこれを打ち切った。

欧州委員会は声明で、「長年の交渉の進捗(しんちょく)を鑑みて、スイスの決定を残念に思う」と述べている。

欧州委は、EUとスイスの間で条約が作られなければ、両者の関係は近代化できないと指摘。既存の協定は現状求められる「水準に達しておらず」、スイスの決定の影響を分析すると警告した。

交渉決裂の原因は?

スイス政府は賃金の保護、補助金にまつわるルール、スイスで働くEU市民がスイスの社会保険に加入する権利の3点が問題だったとしている。

イニャツィオ・カシス外相は、EU市民にスイス国民と同じ権利を与えるべきだというEUの要求は、スイスの移民政策に不要な「パラダイムシフト」をもたらすため、受け入れられないと話した。

スイスとEUは現状、さまざまな相互協定に依存して関係を維持しているものの、これらの協定はいずれ期限を迎えてしまう。そうなればスイスは、EU単一市場で変更が加えられた分野や、今後創設される可能性のある電力同盟などにアクセスできなくなる。

今週になり、医療技術機器の貿易に関する相互協定が期限を迎えた。スイスの医療機器関連団体は、これによって業界全体で1億1400万フラン(約140億円)の損失をこうむるだけでなく、毎年7500万フランの追加コストがかかるようになると述べている。

スイス国内の反応は?

与党の右派スイス国民党は、交渉決裂を「スイスの自決権の勝利」と歓迎。労働組合も、賃金保護と社会保険の点が守られたことを評価した。

しかし、スイスの政党の大半は政府の決定に否定的だ。スイス社会民主党のロジャー・ノルドマン院内総務は、「ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)」だと批判した。

ギー・パルムラン連邦大統領は「ブラック・ウェンズデー」という言葉に反発し、EUとの関係を「リセットして実りあるものにできれば」と語った。

その上で、スイスとEUは一級のパートナーだと述べ、条約がなくても「すでに確立された相互関係」を維持するという共通の利益があると話した。

EU離脱時に関税同盟と単一市場へのアクセスも失ったイギリスとは異なり、スイスはEU単一市場と、国境を越えた人の自由な移動を可能にする「シェンゲン協定」に加盟している。

スイス政府によると、同国には現在140万人のEU市民が住んでいる。

政府はまた、経済難のEU加盟国に対する13億フランの補助金を議会で可決させると約束している。補助金はスイスが単一市場に加盟する重要な条件の一つだが、2019年に凍結されていた。