ドイツの連立交渉、その特徴は?

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トビー・ラックハースト、BBCニュース

Giffey and Scholz

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画像説明, ドイツ総選挙では社会民主党が第1党となった。同党は首相候補としてオラフ・ショルツ氏(右)を掲げている

イギリスでは2010年に行われた総選挙で、宙づり議会が誕生した。

このニュースはイギリスに混乱をもたらした。1970年代以降で初めて、単独で過半数議席を獲得した政党がなかったのだから。

1週間にわたるメディアの憶測と政党間の激しい議論の末、労働党のゴードン・ブラウン首相が退任し、右派・保守党と中道派・自由民主党の連立政権が誕生した。

こうした迅速な変節は、欧州では珍しいものだ。

スコットランドのストラスクライド大学のハインツ・ブランデンブルク博士はBBCの取材で、「私にとって2010年は不思議なものだった。メディアの怒り心頭具合も含めて」と語った。

「4日間という大変長い時間で連立政権を作り、何もかもをまとめあげたのだから」

協力体制

ドイツはこの前の日曜日に総選挙を行い、中道左派の社会民主党(SPD)が僅差で勝利を得た

専門家らは、ドイツで新たな連立政権が作られるまでに数カ月かかると見ている。それまでは、アンゲラ・メルケル氏が暫定首相として政治をつかさどる。新たな法案を提出することはできないが、後継者が決まるまで連邦政府を担う。

欧州大陸の民主主義国家、特に比例代表制を取っている国々にとって、連立政権は常識だ。比例代表制では、政党の得票数に応じて議会の議席が割り振られる。

イギリスは単純小選挙区制だ。この場合は、各選挙区で最も多く票を集めた候補者が(たとえ過半数に達していなくても)議席を獲得する。

これに対してドイツは、比例代表制と小選挙区制の両方を組み合わせた方法で、議会の議席を振り分けていく。

だが、連立交渉は簡単ではない。オランダでは今年3月に総選挙が行われたが、まだ政府が成立していない。隣国ベルギーは2010年6月の総選挙後、政権樹立までに541日を費やし、世界記録を打ち立てた。

Elio di Rupo getting out of a car in 2011

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画像説明, ベルギーのエリオ・ディルポ氏は2011年、17カ月間にわたる連立交渉の末に首相になった

ブランデンブルク博士によると、ドイツには連立交渉に関する公式な決まりごとはない。イギリスでは君主が第1党の党首に連立を要請するが、ドイツではすべての政党がいつでも、連立交渉を行うことができる。

「実際にはとても複雑な手続きだ」とブランデンブルク博士は説明する。

一方で、こうした交渉が扉の向こうで行われる「密室協議」と形容されるのは「気に障る」という。各政党は、自党のマニフェストと他党との譲歩案をもとに連立の契約を作り、党員に相談し、それから合意に至る。

「比例代表制の選挙制度のある国、多くの政党と連立政権のある国では当たり前のことだ。各党が要求を掲げた上で、どこが妥協点なのかを探ってく。こうした手続きを密室協議とひとくくりにするのは、とても否定的だと私は思う」

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それでもやはり、連立は難しい。ドイツではこれまで2党による連立政権が誕生してきたが、3党以上になったことはない。28日に発表された世論調査では、26日の総選挙の結果に満足したと答えた有権者はわずか37%だった。一方、58%があまり満足していないか、全く満足していないと回答した。

緑の党のロベルト・ハベック共同党首はドイツの公共放送ZDFに出演した際、リベラル派の自由民主党(FDP)とどれくらい協調できるかみる必要があると話した。

また、「これは大人の政治の予兆だ。(双方が)信頼できる余地を作らなければいけない」と述べた。

前回の2017年の総選挙後、ドイツで新政権が誕生したのは6カ月後、数々の連立交渉が失敗に終わった後だった。ハベック氏は、こうした交渉は「連立を作るやり方ではない」と指摘した。

「最終的には、芸術的にやらなければいけないものだ」

動画説明, スワイプするのは右へ? 左へ? ドイツの選挙デートゲーム

ギリシャのジョルジオス・スタサキス元環境相は、所属する「急進左派連合(SYRIZA)」と保守派のナショナリスト政党「独立ギリシャ人(ANEL)の連立政権で閣僚となった。

BBCの取材でスタサキス氏は、「明らかに大きな違いがあった」と語った。ANELはSYRIZAの掲げる移民やLGBTQ(性的少数者)の権利にまつわる改革に反対していた。この連立は2019年、北マケドニアの改名をめぐるギリシャと北マケドニアの合意をめぐって決裂した。

スタサキス氏は自身の見解として、すべての選挙では有権者から強力かつ直接的なメッセージが送られてくると語った。ドイツの今回の総選挙では、政治スペクトラム全体から支持を得られるような「中道の政府」を求める声が上がった。

「投開票の夜に各政党の党首がテレビに出演し、(投票から受けた)メッセージについて議論していたのが印象的だ」とスタサキス氏は指摘した。

「こうした文化が実地で始まったものも印象的だ。各党がどう動くか、次の日からどの方向へ行くか、解決策を見つけ、政権を作るという議論だ」