英半導体大手アーム、米国での上場を申請 今年最大規模か
大井真理子、ビジネス記者

画像提供, Getty Images
英半導体設計大手アームは4月29日、アメリカでの株式公開を申請した。親会社の日本のソフトバンクグループが1日、発表した。今年最大規模の新規株式公開(IPO)になるとみられている。
英ケンブリッジに本社を置くアームは、最大100億ドル(約1兆3700億円)の調達を目指しているとされる。
同社は3月、ロンドン証券取引所への株式上場は計画していないことを明らかにし、イギリスに衝撃を与えた。
同社は2016年、日本のソフトバンクに234億ポンド(現在のレートで約4兆円)で買収された。当時はロンドンとニューヨークで上場していた。
ソフトバンクは1日、米証券取引委員会(SEC)に対してIPOに必要な「登録届出書ドラフトを非公開で提出した」と発表した。
公募の規模や上場の時期は明らかにしていない。
報道によると、アームは今年、ハイテク株中心の米ナスダック市場への上場で80億~100億ドルの資金調達を目指しているとされる。
1月の時点では、ロンドン証券取引所への上場について、リシ・スーナク英首相がソフトバンクと協議を再開したと報じられていた。
しかしアームは今回、米株式市場への単独上場が「最善の道」だと判断したとした。
ソフトバンクの資金調達
今回のIPOに向けた動きからは、世界の金融市場が厳しい環境にある中で、ソフトバンクが数十億ドル規模の資金調達を進めていることが分かる。
ロシアがウクライナを侵攻してから、株式市場の上場件数は急減している。同時に、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、大手テクノロジー企業の株価も下落している。
ソフトバンクは、株式公開は「市場及びその他の状況、並びにSECによる審査プロセスの完了を条件としている」とした。
同社は昨年、アームを米半導体大手エヌヴィディアに400億ドルで売却する計画を中止した。英米両国と欧州連合(EU)の規制が問題となった。
イギリスの「至宝」
英テクノロジー業界の「至宝」とも呼ばれるアームは、1990年にケンブリッジで創業した。
同社の半導体設計は、台湾積体電路製造(TSMC)や米アップル、韓国サムスンなどの企業が自社のプロセッサーを製造する際に使用している。
パンデミックの影響で半導体不足が深刻化して以降、半導体メーカーは需要の鈍化に直面している。
米半導体製造大手インテルは先週、同社で過去最大の四半期損失を計上。ライバル企業のサムスンも90%超の減益を記録した。
アームが株式公開を果たせば、ソフトバンクには歓迎すべきニュースとなる。同社のビジョン・ファンド事業は、新興テクノロジー企業への投資の多くが評価額を下げているため損失を被っている。










