メキシコ移民施設火災の映像、職員の様子に国民から怒り

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メキシコの米国境近くの移民施設で38人が死亡した火災で、当時の映像が浮上し、メキシコで怒りが広がっている。

火災は27日夜、メキシコ北部シウダードファレスにある、移民の手続きセンターで発生した。この施設はメキシコ国立移民研究所(INM)が運営している。

映像では、施設内の一角で炎が上がり、制服姿の職員が立ち去る。鍵のかかった小部屋のような場所には、男性の一団が置き去りにされている。

煙が急速に広がる中、男性たちは鉄格子のドアを開けようとするが、うまくいかない。

この32秒間の映像についてBBCがリバース検索を行った結果、28日夜よりも前のコピーは見当たらず、最近撮影されたものとみられることが分かった。

BBCはまた、難民支援の活動で毎週この施設を訪れているアレハンドラ・コロナ氏から、映像は男性収容エリアの入り口の監視カメラが撮影する角度と一致しているとの証言を得た。

コロナ氏によると、この施設には移民の手続きをするオフィスと、移民を収容するエリアがある。男性用の小部屋には通常40~60人が収容され、民間警備員とINM職員の計2人が監視していたという。今回の映像にも、制服姿の男性2人が映っている。

コロナ氏は、「私たちが(収容エリアを)訪れるときはドアは常に施錠されている。話をする時も、移民は出て来られず、私たちは外にいなければならない」、「非常口があったとは認識していない。私が知る限り、映像に映っているドアが唯一の出口だ」と話した。

収容男性がドアを開けようと

映像はツイッターで拡散され、メキシコの多くの新聞も取り上げた。制服を着た職員が行動しなかったことに、多くの人が衝撃を受けている。

とりわけ問題視されているのが、炎が広がる中、鉄格子のドアを開けられないでいる男性を、制服姿の男性の1人が無視しているように見える場面だ。

映像には音声がなく、当時どんなやりとりがあったのかは不明。制服の職員が、映像に映っていない時に何をしていたのかも明らかではない。

映像ではその後、部屋中に煙が充満し、炎以外は視認が困難になる。

火災から逃れたヴェネズエラからの移民男性の妻は、施設職員らが男性移民たちを「鍵のかかった鉄格子の中に」置き去りにして逃げたと記者団に話した。

この女性はAP通信に、「あちこちで煙が出ていた。女性と職員は外に出られたが、男性たちは消防士が到着するまで出られなかった」と話した。

この女性によると、男性たちは収容中、水を与えられないとして抗議していたという。

責任を取らせると大統領

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は27日、「強制送還されると知った」移民がマットレスに火をつけたと説明。翌28日には、徹底的な調査の実施と、「誰も免責されず保護もされない」ことを明言した。

メキシコ当局によると、火災時には施設に男性68人がいた。大半はグアテマラ出身で、ほかにはコロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ホンジュラス、ヴェネズエラからの人々もいた。

当局は全員の名前を公表したものの、誰が死亡し、誰が生存しているのかは明らかにしていない。

当局はまた、死者数を40人から38人に修正した。煙を吸い込むなどして28人が重症だという。

収容されていた人々の親族らは、施錠された部屋に男性たちが収容されていたことを疑問視している。

難民支援をしているコロナ氏によると、シウダードファレスでは移民の拘束が増えており、「通常の方法以外でメキシコに入国した人は、誰でも逮捕される可能性がある」という。

コロナ氏は、施設への収容は犯罪を犯したことを意味するものではなく、メキシコ到着直後に空港やバスターミナル、市内の路上で拘束されるケースも耳にしているとBBCに話した。

米規制の撤廃を期待して

メキシコは近年、移民の流入への対応に苦慮している。

移民の多くは、アメリカとの国境に近いメキシコの都市で数週間、時には数カ月間、キャンプ生活をし、アメリカ入国の機会をうかがっている。

ドナルド・トランプ前政権は2020年、新型コロナウイルスのパンデミックに際し、米国境警備当局が「感染症の拡大を防ぐため」に個人がアメリカに入国するのを拒否できる「タイトル42」と呼ばれる措置を導入。移民らはこれが撤廃されるのを待ち望んでいる。

現在のジョー・バイデン政権は昨年、タイトル42の撤廃に動いたが、連邦最高裁が年末にこれを阻止。そのため現在も続いている。

それでも、中南米やアフリカなどの多くの人々が、タイトル42の撤廃を期待し、アメリカとメキシコの国境を目指す長旅に出続けている。