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マルコムX氏暗殺、2人の有罪取り消し 判決から55年
米ニューヨーク州の裁判所は18日、1965年の黒人公民権運動活動家マルコムX氏暗殺をめぐり殺人罪で有罪とされ服役した男性2人について、有罪判決を取り消す決定を下した。暗殺事件の再調査を進めていた検察側が起訴を取り下げるとしていた。
ニューヨーク州の裁判所は再調査の結果、「当時、公判が行われていた際には知られていなかった」2人の無罪判決につながりそうな「重要な証拠」が見つかったとした。
エレン・バイベン判事は、新たに見つかった証拠が裁判で提出されていれば、「評決がより有利になっていた」可能性があると述べた。
また、男性2人に対し、裁判所は「この重大な誤審」を完全に元に戻すことはできず、「2人が失った年月を取り戻せないことを遺憾に思う」と述べた。
検察が謝罪
米ニューヨーク市マンハッタン地区の検察当局は17日、マルコムX氏暗殺をめぐり有罪とされたムハンマド・アジズ氏(83)とカリル・イスラム氏(2009年に74歳で死亡)の起訴を取り下げると表明していた。
マンハッタン地区検事のサイラス・ヴァンス・ジュニア氏は、米紙ニューヨーク・タイムズに対し、米連邦捜査局(FBI)と警察がアジズ氏らの無罪判決につながりそうな証拠を隠していたと語っていた。
ヴァンス・ジュニア氏は「重大で容認できない法律違反と国民の信頼に対する裏切り」について謝罪するとし、男性2人は公正な裁判を受けられなかったと述べた。
再捜査の要求
ニューヨークのマンハッタン地区検事局は2020年、マルコムX氏殺害をめぐる有罪判決について見直しを開始した。これは、不当に有罪判決を受けた人の正義を求める非営利組織「イノセント・プロジェクト」との面会を受けてのもの。
今年2月には、マルコムX氏の娘たちが、暗殺に至った経緯について再捜査するよう求めた。暗殺をめぐり、ニューヨーク市警とFBIが共謀して殺害したとする新たな証拠が浮上したためだった。
ニューヨーク市警の元警察官で昨年11月に死去したレイモンド・ウッド氏が遺族に残した手紙には、暗殺の数日前にマルコムX氏の警備チームを逮捕して警備を手薄にすることが、ウッド氏の役割だったと書かれてあった。
マルコムX氏は黒人のエンパワーメント(力づけ)を提唱するカリスマ的存在だった。黒人と白人の分離を提唱する政治・宗教運動組織「ネーション・オブ・イスラム」の著名なスポークスマンとして活動した後、より穏健な路線へと転じた。
マルコムX氏の暗殺事件は、1965年2月21日、アッパー・マンハッタンのハーレムにあるオーデュボン・ボールルームで起きた。マルコムX氏は家族の目の前で射殺された。
翌年、ネーション・オブ・イスラムのメンバーだったアジズ氏、イスラム氏、トーマス・ヘーガン氏(80)の3人が有罪となり、それぞれ終身刑が言い渡された。その後全員が仮釈放された。