スエズ運河座礁で、二酸化硫黄濃度が急上昇 船の大渋滞が原因
ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集委員

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地中海と紅海を結ぶエジプトのスエズ運河で先月、大型コンテナ船が座礁して航路をふさぎ、船舶の渋滞が発生した。これが、宇宙から確認できるほどの大気汚染をもたらした。
大型コンテナ船のエヴァーギヴン号(パナマ船籍)がスエズ運河で動けなくなり、数百隻の船舶が通過待ちの列をつくる事態となった。
これにより、運河の地中海側では大気中の二酸化硫黄(SO2)濃度が通常の5倍にまで上昇した。
SO2は船舶の燃料として使われる重油が燃焼されて発生する。
国際海事機関(IMO)は環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があるとして、SO2の排出を制限する活動を行っている。
3月23日から29日まで続いたスエズ運河での渋滞には、350隻以上の船舶が巻き込まれた。

渋滞に巻き込まれた船の大半はスエズ運河の北側入り口にある地中海に停泊していた。また、主エンジンは停止していたものの、補助動力装置やボイラーを稼働させていた。
その結果、大気中にSO2が蓄積。欧州連合(EU)の衛星「Sentinel-5P」によって観測された。
欧州宇宙機関が管理するこの衛星は、Tropomiと呼ばれる高感度の分光計を搭載し、SO2などのさまざまな汚染物質を検出することができる。

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「船舶が移動、つまり実際に航行している時の方が、停泊中よりもSO2排出量は多くなる。ただ今回は、これだけ多くの船が集まって停泊していたため、Sentinel-5Pの衛星データで確認できるほどの量が排出される事態となった」と、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースの地球観測スペシャリスト、マリアム・プルシャムシ博士は説明した。
エヴァーギヴン号が離礁し、運河を航行できるようになると、SO2濃度はすぐに減少した。
IMOは昨年、よりクリーンな燃料の使用を船舶に義務付ける新規制を導入し、年間のSO2排出量を70%以上削減することを目標としている。衛星を使うことで、これが順守されているか確認できる。
6~10年後くらいには地中海でもSO2の排出規制がさらに強化される見通し。地中海は世界的にも船舶の往来が盛んだ。

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世界の貿易の約12%がスエズ運河を経由しており、同運河の重要性はよく知られている。しかし、ジブラルタル海峡やダーダネルス海峡、ボスポラス海峡など、出入り口が狭い他の航路でも船舶の航行量は多い。
地中海の排出規制海域では、IMOの新規制で認められている量の5分の1にまで制限される。
大気中のSO2は呼吸器系や心血管系、肺の疾患の原因となる。大気中の水と結合すると酸性雨となり、農作物や森林、水生動物に被害を及ぼすことになる。
海運業界はSO2対策とは別に、2050年までに温室効果ガスの排出量を、2008年比で50%削減すると約束している。










