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台湾のトンネル内で列車脱線、死者少なくとも50人に
台湾東部の花蓮県の鉄道トンネル内で2日午前9時(日本時間同10時)ごろ、台湾鉄道の列車が脱線した。これまでに少なくとも50人が死亡し、多数が負傷しており、台湾で70年来の規模の列車事故になっている。
検察当局は、事故原因とされる工事車両の線路落下をめぐり、線路近くの工事現場を重点的に捜査している。業務上過失致死傷が疑われている現場監督は3日、約170万円の保釈保証金を支払い、保釈が認められた。
消防当局によると、列車には494人が乗っていた。少なくとも50人が死亡し、66人が負傷して病院に搬送されたという。
列車は8両編成。台湾の中央災害応変センターによると、トンネル内の4車両が大きく破損しているという。
地元メディアによると、整備用の工事車両がトンネル入り口部分の線路内に誤って進入したことが、衝突の原因とみられる。運転士も死亡したという。
蔡英文総統は2日、「中に閉じ込められた人の救出が今は最優先だ」とコメントを発表した。3日には花蓮の病院を訪れ、事故の被害者を見舞った。
台湾各地では事故から3日間、追悼のため旗が半旗で掲げられる。プロ野球の試合前にも1分間の黙祷(もくとう)が捧げられた。
検察当局は、線路近くの工事現場から落下した工事車両と、特急列車が衝突したことが脱線の原因と見て、工事現場の監督者を逮捕する方針とされる。
複数の画像では、黄色い大型の台車のようなものが線路脇に倒れているのが確認できる。
トンネルの北側出入り口付近では当時、工事が行われていた。
この台車のようなものが、線路脇の斜面を滑って落ちてきた経緯は分かっていない。
台北から南東部の台東へ向かっていたこの列車には、約500人が乗っていたとされる。混雑のため、多くが車内で立っていたとみられる。列車の最大速度は時速130キロだという。
台湾はこの日、清明節の連休の初日だった。台湾では清明節に、先祖の墓参りに出かける習慣がある。
報道によると、列車後方の車両の乗客には、無傷で脱出できた人もいた。前方4両の車両からは約100人が救出され、なお約200人が閉じ込められているという。
インターネットに投稿された写真では、破損を免れた車両の乗客が持ち物を手に、列車の脇を線路沿いに歩く様子が写っていた。
「突然激しく揺れた」
救助隊は、トンネル内で激しく破損した車両で生存者を捜索した。一部の乗客は窓ガラスを割って自力で脱出した。
女性の乗客は台湾の聯合報(UDN)に対して、「いきなりがたっと大きく揺れて、床に倒れてしまった」と話した。「窓を割って屋根に上って脱出した」のだという。
「倒れたときに頭を打って血が出た」と、別の女性は話した。
また別の女性(50 )は、香港のタブロイド紙・蘋果日報(アップルデイリー)に対し、大勢の人が座席の下に閉じ込められていたと話した。女性が車両の外に出ると、いたるところに遺体があったという。
担架で運ばれる人も
被害の少なかった車両から脱出した乗客は、荷物を手に線路脇を移動した。
首を固定され、担架で運ばれる人もいた。
台湾の蘇貞昌・行政院長(首相)は2日午後、事故現場を訪れた。
イギリスのドミニク・ラーブ外相は、「今朝(2日朝)、台湾で発生した鉄道事故の被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げる」とツイートした。
今回の事故は、台湾で数十年来の大規模な列車事故。蔡総統は、犠牲者の家族をいたわり、事故の調査を指示した。
前回の大きな列車脱線事故は2018年10月に発生し、18人が死亡した。最も被害が大きかった列車事故は1991年11月の衝突事故で、乗客30人が死亡し112人が負傷した。
<分析>安全性への配慮は十分か――シンディ・スイ記者、BBCニュース(台湾)
台湾には計1000キロを超える鉄道網があり、年間2億人以上の乗客が利用する。
鉄道事故が起きるのはまれだ。しかし今回の脱線事故が、近くの斜面に停車していた工事用車両が線路上に滑り落ちたのが原因だったとするなら、近年相次ぐ、過失や人的ミスが原因とされる事故がまたしても起きたことになる。
2018年の脱線事故は、速度警告システムの欠陥や、司令部とのやりとりに気をとられた運転手がカーブに入る前に減速しなかったことが原因だった。この事故では18人が死亡した。
2019年にはメンテナンスの不備で橋が崩壊し、ボートに乗っていた4人が死亡した。
また、地下のガスパイプラインからプロピレンが漏出して起きた高雄市でのガス爆発事故(2014年、32人死亡)は、化学工業会社の過失が原因とされている。
今回の脱線事故は、台湾が安全性や事故防止策を十分に重視しているのか、改めて疑問を投げかけるものとなった。