米最高裁、トランプ氏の性的暴行認めた下級審判断を支持 8億円の賠償支払い確定

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アナ・フェイギー(ワシントン)

1990年代に米ニューヨークのデパートで性被害を受けたとして、雑誌コラムニストがドナルド・トランプ大統領(80)を訴えた民事訴訟で、米連邦最高裁判所は29日、トランプ氏の上告を退けた。トランプ氏による性的暴行を認定し、損害賠償の支払いを命じた下級審の判断が確定した。

原告はファッション誌エルの元コラムニスト、E・ジーン・キャロル氏(81)。1990年代にマンハッタンの高級デパート「バーグドルフ・グッドマン」の更衣室で、トランプ氏に強姦されたと訴えていた。

ニューヨーク市マンハッタンの連邦地裁の陪審は、2023年5月9日に性的暴行を認定(強姦は認めず)。また、トランプ氏がキャロル氏の告発を「でっち上げでうそ」と呼んだことを名誉毀損(きそん)だと認め、損害賠償としてトランプ氏に約500万ドル(約8億円)を支払うよう命じた。

トランプ氏はこうした訴えの内容を否定し、民事裁判を監督した裁判官が、自分に対する陪審員の見方に影響を与える証拠の提出を不適切に認めたと、繰り返し主張した。

連邦控訴裁判所は陪審団の評決を支持し、再審を行う正当な理由はないと判断。これを受け、トランプ氏は最高裁に介入を求めた。

最高裁はこの日、本件を審理しないという決定について、慣例にならって詳細を明らかにしなかった。

トランプ氏にとって最高裁の介入は、陪審団全員一致の評決を覆すための最後の望みだった。しかし、この日の決定により、トランプ氏はキャロル氏に対して損害賠償を支払わなければならなくなった。

キャロル氏の弁護人、ロベルタ・カプラン氏は声明で、最高裁の決定は「ドナルド・J・トランプ大統領がE・ジーン・キャロル氏に性的暴行を加え、名誉を毀損したことを認めた陪審団全員一致の評決を決定づけるものだ」と述べた。

「この評決に対して彼(トランプ氏)が繰り返してきた上訴の試みはすべて失敗に終わった。本日の決定により、自分の行動に対する説明責任を回避しようとする彼の探求に終止符が打たれた」

キャロル氏の弁護団はこれまで、トランプ氏が最高裁に上告する決定を下したことについてコメントしてこなかった。

トランプ氏側の反応

最高裁の決定を受け、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に長文を投稿。自分は「名誉毀損というばかげた主張」を含む「武器化や、法律を武器に戦う訴訟」に対して、「全力を尽くして」戦い続けていくとした。

「この訴訟はまさに、アメリカ合衆国と、それが象徴するすべてに対するものだ。(将来の)大統領や大統領候補にこのようなことは決して起きてはならない」

「ニューヨーク州は、何十年も前の一瞬の出来事を理由に私を不当に『捕まえる』ために、法律をつくった。(法律はそのために)仕立てられたものであり、この不当行為を放置してはならない!」

トランプ氏の弁護団は最高裁に対し、トランプ氏が女性を触ったりキスしたりすることについて話している、2005年の米テレビ番組「アクセス・ハリウッド」のテープを、キャロル氏の弁護人は陪審団に見せるべきではなかったと主張していた。

2024年には、ニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁の陪審が、トランプ氏が第1次政権時代の2019年に、キャロル氏を中傷しその名誉を毀損したとして、約8300万ドルの損害賠償の支払いを命じた。トランプ氏は控訴したが、連邦判事からなる合議体はこれを棄却した。

陪審はトランプ氏のキャロル氏に対する名誉毀損や、性的暴行を認定した一方で、ニューヨーク州の刑法で定義される「強姦」については、キャロル氏側の訴えを退けた。

名誉毀損をめぐる訴訟は、トランプ氏が2022年にキャロル氏の告発を否定する内容をソーシャルメディアに投稿したことに端を発したもの。

トランプ氏はキャロル氏について、「私の好みではない」とし、彼女はうそをついているなどと主張した。