モロッコ地震、生存者救出のため時間と競争 素手でがれきを掘る住民も

Emergency workers search a destroyed house in Amizmiz, Morocco

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画像説明, モロッコ・マラケシュ南郊のアミズミズで崩壊した家屋を捜索する救助隊
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北アフリカのモロッコ中部が8日夜にマグニチュード(M)6.8の強い地震に襲われ、現地では生存者救出のため各地で住民や救助隊が時間と競争している。大きな被害の出ている山岳地帯は道路の寸断などで孤立し、支援が到着するのに時間がかかっている。

山間部の村では、住民が素手やシャベルでがれきを掘っている。救助隊は道路の寸断などのため、捜索用の機材を運び込むのに苦労している。

がれきを掘り起こすための重機は今後、地震で亡くなった数千人もの墓所を掘るために必要となるのかもしれない。

被災した村の住民はBBCに対して、「家族はすべてを失った」と話した。「みんなひもじい思いをしている。子供は水を欲しがる。助けが必要だ」と、ハキマさんというこの女性は述べた。

モロッコ政府によると、10日までに少なくとも2122人の死亡が確認された。負傷者は2421人にのぼり、その多くが重体という。

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のキャロライン・ホルト氏はロイター通信に対して、「がれきの下に閉じ込められている人を救出」するには、今から2~3日という時間が「きわめて重要」になると話した。

Three mourners cry during a funeral in Moulay Brahim, Morocco

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画像説明, 被災者の葬儀で悲しむムーレイ・ブラヒムの人たち

地震では、世界文化遺産に登録されている旧市街のあるマラケシュが激しく揺れたほか、約350キロ離れた首都ラバトや、カサブランカやアガディルなどでも揺れが感じられた。

内務省によると、マラケシュの南隣で山岳地帯が広がるアルハウズ州の死者数が最も多く、続いてタルーダント州でも大勢が死亡した。

米地質調査所によると、震源はマラケシュの南西約71キロにあるアトラス山脈の山中で、深さは26.3キロだった。

国王モハメッド6世は、3日間の全国的な服喪を宣言。王宮によると、輸血用血液や飲料水、食料、テントや毛布などの備蓄を増やす措置がとられているものの、特に被害の大きい山間部にたどりつくのはきわめて困難だという。

山岳地帯の道路は平素から整備が不十分で、今回の地震による土砂崩れや落石のため複数の箇所で通行できなくなっている。

Morocco quake
Presentational white space

モロッコがこれほどの地震被害を経験するのは、1960年に南西部アガディールを襲ったM5.8の揺れで1万2000人以上が死亡して以来。

BBCのジョナサン・エイモス科学担当編集委員は、モロッコは本来、大地震が起きる場所に位置していないと指摘する。今回の揺れを引き起こした地殻の緩慢な移動に伴う地震は、イタリアやギリシャ、トルコ方面など地中海周辺で起きるのが通常だという。

今回の地震の震源地から直径500キロの圏内では、1900年までさかのぼってもM6.0以上の揺れは起きていない。その影響で、この地域での地震対策と備えは限定的なものにとどまっていたと、エイモス記者は言う。

動画説明, パニックとカオス、揺れるモスクの塔に悲鳴……2000人超死亡のモロッコ地震

病院の建物自体が危険な状態

マラケシュから南約55キロの谷にある小さなアミズミズの町では、ほとんどの建物が崩壊した。

地元の病院は中に入るのが危険とされ、中には誰もいない。代わりに病院の敷地内に設置されたテントで、被災者は手当てを受けているものの、運ばれて来る人の数に医療スタッフは対応しきれずにいる。

匿名を希望した病院スタッフは、9日に約100人の遺体が運ばれてきたと話した。

「あまりに大勢が死んでしまって、特に小さい子供が死んでしまって、私はずっと泣いていた」、「地震が起きて以来、私は一睡もしていない。ここにいる全員がそうだ」と、この男性スタッフは話した。

町の通りは破壊された建物のがれきだらけで、行きかう車両と、すべてを失った被災者でごった返している。悲しみで泣き叫ぶ女性を、周りの人たちが文字通り支えている。

家を失った人のためのテントが道端に設けられているが、数は足りない。町の中央広場では地面にじゅうたんを敷き、その上で眠る人が何十人もいる。

アブデルカリム・ブルーリさん(63)の自宅は半壊してしまったため、屋外で過ごすしかないのだと言う。

「家には戻れない」とブルーリさんは言い、支援を求めた。「ここに住む者同士がお互いを助けている。外から支援はきていない」。

「毛布でテントを作った」と、住民のアリ・アイト・ユセフさんは話した。「政府が配ったテントでは足りない」。

近くの村では、木の枝や石で覆った簡素な墓に、約100人の住民が埋められていた。

村の人たちは、政府からの支援がまだないため、自分たちで遺体を回収して埋葬するしかなかったのだと話した。その間も、新たに墓を掘る作業が続いた。

マラケシュから南西60キロのテフハフト村では、ほぼすべての建物が揺れで破壊された。

72歳のオマル・ベンハナさんは「孫3人とその母親が死んでしまった。まだがれきの下にいる。一緒に遊んでいたのは、ほんの少し前なのに」と話した。

大西洋岸の都市アガディールでは、ハキマさんという女性が「壊滅的」な揺れで親類4人を失ったため、地元の村から逃れてきたのだと話した。

自分もがれきの下敷きになったが、近所の人に助けてもらったのだという。

自分の村やその周辺の集落には、まだ支援が届いていないとハキマさんは話した。

国際社会の支援

国際社会による支援の動きは、加速している。

イギリス政府によると、支援提供の申し出にモロッコ政府が応じたため、救助の専門家や医療チーム、捜索救助犬や機材を含む、緊急対応チームを派遣する方針という。

スペインとカタールは、すでに正式な支援要請を受けたため、捜索救助隊を派遣すると明らかにした。BBC記者は10日の時点で、アトラス山脈の村でスペインの救助犬を数頭、目にした。

フランス政府は、支援提供に向けて「待機」中で、モロッコからの正式な要請を待っている状態だと話した。エマニュエル・マクロン大統領は、「モロッコからの要請があれば、直ちに派遣する」と述べた。

アメリカ政府は「捜索・救助隊がいつでも派遣できる状態だ」としたほか、「適切な時期に支援金を提供する」としている。

今年2月の大地震で5万人が犠牲になったトルコの政府も、支援のため人員の提供を申し出た。