You’re viewing a text-only version of this website that uses less data. View the main version of the website including all images and videos.
米ユダヤ教礼拝所乱射事件、被告に死刑評決 ペンシルヴェニア州
2018年10月に米ペンシルヴェニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で起きた銃乱射事件で、同州の連邦地裁の陪審は2日、被告に死刑の評決を出した。
死刑評決には、陪審員12人全員の賛成が必要だった。検察側は死刑を求刑していた。
この事件では11人が死亡。アメリカ史上最悪の反ユダヤ主義事件となった。
陪審員は、この被告が問われた63件の罪状全てについて、有罪と判断した。
この評決は3日に地区裁判所のロバート・コルヴィル判事に届けられる。コルヴィル判事はこの評決に沿った判決を出すとみられている。
アメリカの連邦検察が死刑を求めることはめずらしい。死刑情報センターによると、1988~2021年の間に連邦裁で死刑が宣告されたのは79人にとどまる。また、ジョー・バイデン大統領の政権下の連邦裁で死刑が言い渡されるのは初めて。
遺族らは「評決に安心」
陪審員は2日間にわたり、計10時間かけて評議した。評決は2日目にまとまった。
ロバート・バワーズ被告(50)は2018年10月27日、ピッツバーグの「生命の木」シナゴーグで銃を乱射し、54~97歳の11人を殺害した。これには、現場にかけつけた警官5人も含まれている。
このシナゴーグには事件当時、「生命の木」を含む3グループが集まっていた。
傍聴席にいた記者によると、死刑の評決が読み上げられた時、バワーズ被告は反応を示さなかったという。
犠牲者遺族の大半はバワーズ被告に対する死刑を望んでいた。しかし事件当時に集まっていたグループの一つ「ドル・ハダシュ」は、反対を表明していた。
2日に開かれた記者会見で、事件の生存者や遺族は、評決に安心したと語った。
生存者の一人でもある「生命の木」のラビ(指導者)ジェフリー・マイヤーズ氏は、陪審員の決定がこのコミュニティーに一つの区切りを与えたと語った。
「私たちはきょう、正義の殿堂から大きな抱擁を受けた。私たちが目撃した最も暴力的な形の反ユダヤ主義を、政府は容認しないと言った」
別の生存者のオードリー・グリックマン氏も、評決は「正しい方向への一歩」だと話した。
「この裁判がなかったら、この犯罪者の所業は歴史の中で覆い隠されていただろう」
この事件の犠牲となったローズ・マリンジャーさんの遺族は、「死刑判決を言い渡すことは簡単な決断ではないが、反ユダヤ主義や憎悪、暴力のような恐ろしい行為を行おうとする者に責任を負わせなければならない」と述べた。
一方、「ドル・ハダシュ」は検察と裁判に参加した人々への感謝の意を声明で発表した。
弁護側は精神疾患を主張
連邦検察は裁判の中で、バワーズ被告がユダヤ人に対する憎悪を抱き続け、襲撃に対して後悔の念を見せないことから、死刑が必要だと論じていた。
ペンシルヴェニア州西部地区検察のエリック・オルシャン連邦検事は、「この事件は、法の下で最も厳しい刑罰である死刑が求められる」と述べた。
被告側の弁護士は、バワーズ被告はメンタルヘルス(こころの健康)に問題を抱えており、そのせいでユダヤ人に対する妄念を抱えていると述べた。
2日の評決で陪審は、被告が精神疾患に苦しんだり、「精神的・感情的な障害の中で」犯行に及んだりしたと弁護側は立証できなかったと、全員一致で結論付けた。
一方で、この事件に関する五つの加重要件はすべて立証されたとした。これには、被告がシナゴーグ内で信者を殺害したことや、生存者に永続的な影響を残したことなどが含まれる。
バワーズ被告は3日、正式に刑を言い渡される。