ボールドウィン氏は「無謀に発砲」 映画ロケ死傷事件で遺族が提訴

画像提供, Getty Images
昨年10月に映画の撮影中に亡くなった撮影監督のハリナ・ハッチンス氏(42)の遺族が15日、撮影関係者を相手に訴訟を起こした。米ニューメキシコ州の第1地区裁判所に提出された書類で遺族は、米俳優アレック・ボールドウィン氏が「無謀にも発砲し、ハッチンス氏を殺害した」と主張した。
ニューメキシコ州で行われていた映画「Rust」の撮影中、ボールドウィン氏が使用した小道具の拳銃から実弾が発射された。この発砲でハッチンス氏が亡くなったほか、監督のジョエル・ソウザ氏(48)がけがを負った。
今回の訴訟では、ボールドウィン氏を含めた複数人が、不法な死亡に関与したとして訴えられている。
ハッチンス氏の夫のマシューさんと息子のアンドロスさんの代理人が提出した書類によると、遺族は損害賠償を求めているが、賠償額は明らかにしていない。
ハッチンス氏の遺族の弁護士は記者会見で、撮影スタッフらが横着をしなければ、ハッチンス氏はまだ生きていたはずだと述べた。
また、発砲当時の状況を再現した動画を公開した。
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訴訟で原告側は、ボールドウィン氏らが「演劇業界の安全性チェックの基準を満たさず、基本的な銃の安全確保ルールにも従っていなかった」と主張。
また、プロデューサーらが「人命が問題となる安全手続きで横着し、スケジュールを優先し、安全性をめぐる数多くの苦情を無視していた」と指摘した。
ボールドウィン氏に加え、デイヴィッド・ホールズ助監督、武器担当のハナ・グティレス=リード氏、小道具担当のサラ・ザックリー氏なども訴えられた。
ホールズ氏とグティレス=リード氏は過去にも、撮影現場で安全対策を順守していないと批判されたことがある。
撮影現場で何があった
ハッチンス氏が撃たれた銃はアンティークのコルト.45口径リボルバーで、偽物の銃弾が装填(そうてん)されているはずだった。
「Rust」の共同プロデューサーも務めていたボールドウィン氏は、撮影のリハーサルで銃を構える練習をしていた。カメラに向かって銃を構えたところ、実弾が発射されたという。
銃弾は、次のシーンの準備をしていたハッチンスさんの胸に当たった。ソウザ監督も肩を負傷したものの、命に別状はなかった。
現場からはその後、約500発の弾薬が、空砲用や偽物、実弾などが混ざった状態で発見されている。
ボールドウィン氏は事件当初、「悲劇的な事故」に「心が張り裂ける思い」だと語っていた。しかし、12月に米ABCニュースが行ったインタビューでは、「引き金は引かなかった」と述べた。
今年1月には、捜査を妨害していると批判されたことを受け、携帯電話を当局に提出している。ボールドウィン氏は今回の訴訟について、まだ声明などは発表していない。
何が行われなかったかが焦点
この問題をめぐっては、すでにいくつかの訴訟が起きている。そのうちの1つでは、ボールドウィン氏は過失の責任に問われている。
まだ刑事訴追はされていないが、警察はその可能性を排除していない。
BBCのソフィー・ロング記者は、不法死亡の裁判では何が起こったのかではなく、何が行われなかったのかに焦点が当たると指摘。
ボールドウィン氏は今後、安全手続きを満たし、監督責任を果たしていたのかを問われることになるが、「Rust」の現場では事件以前から安全性への問題点が指摘されていたこともあり、ボールドウィン氏にとって厳しい訴訟になるかもしれないと分析している。







