米俳優ボールドウィン氏「心が張り裂ける思い」 小道具銃で撮影監督死亡

Alec Baldwin outside the Santa Fe County Sheriff's office following questioning over a fatal prop gun shooting, 21/10/2021

画像提供, Jim Weber/The New Mexican

画像説明, 警察の取り調べを終えたボールドウィン氏(21日、サンタフェ郡保安官事務所前)
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米ニューメキシコ州での映画の撮影中、米俳優アレック・ボールドウィン氏(63)が使用した小道具の銃に撃たれ、撮影監督が死亡した問題で、ボールドウィン氏は22日、「心が張り裂ける思い」を明らかにした。裁判所記録によると、ボールドウィン氏は銃を使う前に安全だと知らされていた。

死亡したハリナ・ハッチンス撮影監督(42)は21日、西部劇映画「Rust」の撮影中、胸を撃たれて死亡した。

ボールドウィン氏は「彼女の夫や息子、そしてハリナと知り合いで彼女を愛していた全ての人を思い、私の心は張り裂けている」と書いた。

「妻で母親で、深く敬愛された同僚だったハリナ・ハッチンスの命を奪った、悲惨な事故について、私のショックと悲しみはとても言葉にできない」とボールドウィン氏は書き、「この悲劇がどうやって起きたのか、警察の捜査に全面協力している」と述べた。

ボールドウィン氏はハッチンス氏の夫に連絡をとり、支援する用意があると伝えたという。

裁判所記録によると、ボールドウィン氏に小道具の銃を手渡した助監督は、銃が安全だと伝えていた。記録ではこの助監督の名前は記されていない。助監督も、小道具に実弾が装填(そうてん)されているとは知らず、「コールドガン!」と叫ぶことで、空だと周囲に伝えたという。

BBCが入手した撮影予定資料によると、銃火器の動作確認の担当者は20代女性で、その担当に最近初めてついたばかりだったと記載されている。

米芸能業界紙ヴァラエティによると、ボールドウィン氏が使用した銃には「実弾が一発」込められていたという。

ハッチンス氏はヘリコプターで病院に急送されたが、死亡が確認された。小道具の銃の発砲では映画監督ジョエル・ソウザ氏(48)も負傷した。ソウザ監督は救急車で病院運ばれた。

出演者の1人、フランセス・フィッシャー氏は22日にツイッターで、監督から退院したと連絡を受けたと書いた。

Halyna Hutchins

画像提供, Getty Images

画像説明, 死亡したハッチンス撮影監督

警察は、小道具の銃からどのようなものが発射されたのかを調べているという。現地メディアによると、ボールドウィン氏は現地のサンタフェ郡保安官事務所で取り調べを受け、事務所を出た時には涙を流していたという。

現地の担当検察官事務所はBBCに対して、捜査はまだ初期段階にあり、「起訴するかどうかもまだ分からない」と話した。

ボールドウィン氏は1980年代から数々のテレビ・ドラマや映画に出演。近年ではNBCテレビのコメディ「30ロック」や、長寿コント番組「サタデーナイトライブ」でドナルド・トランプ氏を演じ、注目されていた。

ハッチンス氏はウクライナ出身で、本人のウエブサイトによると、北極圏のソ連軍基地で育った。ウクライナの首都キーウでジャーナリズムを、米ロサンゼルスで映画撮影について学び、2019年にはアメリカの映画撮影技術者の雑誌に「新進気鋭」のスターとして取り上げられていた。

2020年公開の映画「Archenemy」(アダム・エジプト・モーティマー監督)で撮影監督を務めた。

モーティマー監督は「ハリナを失ってとても悲しい。そして、撮影現場でこのようなことが起きて、とても立腹している」とツイートした。

国際映画撮影監督協会は米業界誌ヴァラエティへの声明で、ハッチンス氏の死は「衝撃的なニュース」で、「ひどい損失」だとした。

同協会の幹部は、「詳細は現在まだ不明だが、情報を収集しており、この悲劇的な出来事について全面的な捜査を支持する」と述べた。

ハッチンスさんの所蔵する事務所「イノヴェーティヴ・アーティスツ」は22日にインスタグラムで、彼女は「差し込む光」のような存在だったと追悼した。「とてつもない才能の持ち主で、その才能より大きいのは彼女の家族への愛情だけだった」。

事務所はさらに、今回の件が「撮影現場のスタッフ全員の安全をいかに、よりよく確保するか、新しい学びにつながることを期待する」と書いた。

映画の撮影現場で小道具によるこのような事態が起きるのは、きわめて珍しいが、まったくないわけでない。

撮影では、本物の銃に空砲を装填することが多い。空砲には閃光や発射音を作り出す火薬のみが詰められており、弾丸などは飛び出さない仕組みになっている。

1993年には俳優ブランドン・リー氏が映画「クロウ」の撮影中、小道具の銃で誤って撃たれて死亡した。この時の銃には誤って、模擬弾が込められていた。ブランドン・リー氏は、著名アクション俳優ブルース・リー氏の息子だった。

ハッチンス氏の急死を受けて、ブランドン氏の妹シャノン・リーさんはツイッターで、「ハリナ・ハッチンスとジョエル・スーザと『Rust』での出来事に関係した全員のことを思っています。映画のセットで誰かが銃で撃たれて亡くなるなど、決してあってはいけない。議論の余地などない」と書いた。