ヨルダン前皇太子、国家の不安定化を企てた疑い 副首相が発表

Published

中東ヨルダンの前皇太子ハムザ・ビン・フセイン王子に、部族指導者らを扇動して反政府行動を取らせようとしたとした疑いがかけられている。アイマン・サファディ副首相が4日、明らかにした。同王子は嫌疑を否定している。

サファディ副首相によると、ハムザ王子は「外国勢力」と結託して、ヨルダンの政情を乱そうとしたという。

当局は3日、アブドラ国王の元側近の元財務相や王室の他のメンバーら16人を、治安を脅かしたとして拘束した。

ハムザ王子は最近、部族指導者らを訪問していた。部族指導者らは同王子を支持しているとされる。

ハムザ王子はアブドラ国王の異母弟。これまで2本の動画をBBCに送り、自宅で軟禁され、外出や外部との連絡ができなくなっていると訴えていた。

謀略は否定していたが、ヨルダン指導層について、汚職に手を染め、無能だとして非難していた。

同王子の母でアメリカ出身のヌール王妃は、「悪意ある中傷」の無実の被害者のために祈っていると述べた。

ハムザ王子の嫌疑

国営報道機関ペトラによると、サファディ副首相はハムザ王子について、動画を利用して事実をねじ曲げ、共感を呼び起こそうとしたと説明した。

副首相は記者会見で、同王子が外国勢力と結託して政情の不安定化を図っていたとし、しばらく監視対象となっていたと述べた。

同王子は「部族指導者」を扇動し、反政府行動を計画していたとされる。

ペトラの報道では、副首相はこの計画について「芽が摘まれた」と話したという。

副首相はまた、外国情報機関の関係者が、ハムザ王子の妻のバスマ王女を航空機で国外逃亡させる手助けをしようとしていたと述べた。どの国の情報機関かは特定しなかった。

副首相によると、当局は法的措置を取らずに同王子を思いとどまらせようと試みたが、王子は「この要求に否定的な姿勢を示した」という。対話は現在も続いているとした。

エジプト、トルコ、サウジアラビアなどの隣国は、アブドラ国王への支持を表明している。

武装グループ・イスラム国(IS)の掃討作戦でヨルダンと協力関係にあるアメリカも、王政を全面的に支持するとしている。

イギリスもヨルダンは重要なパートナーだとし、アブドラ国王を支持する考えを示している。

背景になにが

ヨルダンのジャーナリスト、ラナ・スウェイス氏は、このところの王室内の緊張は外からも感じることができたとBBCに話した。

「前皇太子は人気があるとみられている。父親のフセイン国王にとても似ており、部族の人たちにも人気が高い」

アブドラ国王兄弟のおじであるムハンマド・ビン・タラル王子の元妻のフィリアル王女は、「少年たちよ、大人になりなさい」とツイート。王位継承権をめぐる争いだと示唆した。

一方、著名コラムニストなど影響力のあるコメンテーターの一部は、ハムザ王子による汚職批判について、多くの国民の共感を得ているとしている。

ヨルダンは天然資源が乏しく、経済は新型コロナウイルスの影響で悪化している。隣国シリアからの難民の流入も問題となっている。

とはいえ、政府上層部が拘束されるのはまれだ。人権団体は、新型ウイルスの流行が始まって以降、情報機関がさらに強大化していると批判している。

ハムザ王子の人物像

ハムザ王子は、故フセイン国王とヌール王妃の長男。イギリスの名門ハロウ校と、サンドハーストにある王立陸軍士官学校を卒業し、米ハーヴァード大学で学んだ後、ヨルダン軍に所属した。

故フセイン国王のお気に入りで、同国王もそれを公言していた。1999年に皇太子に指名された。

しかし、同国王が死去すると、国王の継承者としてはあまりに若く、経験不足だとされた。

結局は、ハムザ王子の異母兄のアブドラ王子が国王に就任。アブドラ国王は2004年、ハムザ王子から皇太子の地位をはく奪し、自らの息子に授けた。

この動きに、ハムザ王子の国王就任を望んでいたヌール王妃は衝撃を受けたとみられている。