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死者の5人に1人は「敗血症」 死因でがんを上回る
ジェイムズ・ギャラガー健康・科学担当編集委員
世界中の死者の5人に1人が「敗血症」で死亡していることが、過去最大規模の調査・分析で判明した。
科学誌ランセットに掲載された、米ワシントン大学の研究チームの論文は、敗血症による死者が年間推定1100万人に上るとしている。
これは、これまでの推定の2倍で、がんによる死者数を上回る。
低中所得国に多いが、裕福な国でも確認されているという。
敗血症とは?
敗血症は「隠れた殺し屋(hidden killer)」とも呼ばれ、気づくのが難しい場合もある。
原因は免疫機能の過剰な反応。感染に対する防御だけでなく、身体の他の部分への攻撃を始める。
ゆくゆくは臓器の機能不全を引き起こす。生存者には、長期にわたって影響や障害に直面する人もいる。
下痢性感染症や肺疾患の原因となる細菌やウイルスが、敗血症の主なきっかけになっている。
なぜ急増?
過去の世界的な推計では、敗血症の患者は年間1900万人で、死者は500万人とされていた。これは、欧米の一部の国々の調査に基づいていた。
今回の分析では、195カ国の医療記録を分析。患者は年間4900万人に達することがわかった。
1100万人という死者数は、全世界の死者の5人に1人が敗血症で死んでいることを意味する。
「ウガンダの田舎にいたときは毎日、敗血症に遭遇した」と、研究チームのクリスティナ・ラッド助教は言う。
「低中所得国で患者を治療している同僚は毎日、何年間も、敗血症は重大な問題だと言い続けている」
「なのである意味、それほど驚かなかった。一方で、以前の推計の倍に上るとは思っていなかった」
今回の分析における朗報は、敗血症の患者と死者が1990年以降、減っていることだ。
この問題の本当の規模が理解され、人々の認知度が高まり、より多くの命が救われることが望まれている。
影響を受けやすいのは?
患者の圧倒的多数(85%)は低中所得国の人々だ。
最もリスクが高いのは子どもだった。患者10人のうち4人が5歳未満だった。
とはいえ、イギリスにも敗血症の問題はある。敗血症の死亡率は、スペインやフランス、カナダなどの国々より高い。
イギリスでは毎年、約4万8000人が敗血症で死亡していると、今回の分析は示している。
医療界ではこのところ、敗血症のサインをより早く感知し、治療を開始するうえでの大きな進歩がみられる。
何ができる?
感染症を減らすことで、敗血症も減らせる。
これは多くの国にとって、衛生的な環境、きれいな水、ワクチンへのアクセスのよさを意味する。
もうひとつ取り組むべきは、敗血症の患者を素早く見極め、手遅れになる前に治療をすることだ。
抗生物質か抗ウイルス剤を使って早期に治療し、感染症を治すことで、大きな違いを生むことができる。
研究チームのモウセン・ナガヴィ教授は、「敗血症による死者数がこれまでの推計を大きく上回るとわかり、予防も治療も可能な病気だけになおさら懸念を抱いている」と話す。
「新生児の敗血症の予防と、病状悪化の重要な原因である、細菌の薬剤耐性の対策に、改めて注力しなくてはならない」
敗血症の症状は?
<大人の場合>
- ろれつが回らない
- 1日中尿が出ない
- ひどい息切れ
- 高い心拍数、体温の異常(高い、低い)
- 皮膚がまだらになる、変色する
<子どもの場合>
- 皮膚がまだらになる、青白くなる、顔色が青ざめる
- 非常に無気力、起床が困難
- 異常に体が冷たい
- 呼吸がとても速い
- 皮膚を押しても赤みが消えない
- 発作、けいれん