脱走犯をロンドン近郊で拘束、テロ罪で起訴の元兵士

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ロンドン警視庁は9日、英ロンドンのワンズワース刑務所から脱走したダニエル・アベド・カリフ被告(21)をロンドン北西部で拘束したと発表した。

カリフ被告は元英軍兵で、テロ罪で起訴され勾留中だった。6日に同刑務所の調理室から脱走。4日間にわたって逃亡していたが、約22キロ離れたノースホルト地域の運河沿いの道で、自転車から引きずりおろされて拘束された。

警察は市内各地の監視カメラ映像を精査し、ヘリコプターを使ってロンドン西部や南西部を捜索していた。

警察は、市民から100件以上の目撃情報が寄せられたとして、市民の協力に感謝した。

カリフ被告は、イランと思われる敵国のスパイとして働こうとしていたとされる。テロ攻撃やその準備をする人物に役立つ情報を収集したほか、偽の爆弾騒ぎを起こそうとした疑いがもたれている。

同被告は今年1月、これらの罪状で出廷し、保釈請求が棄却された。今年11月予定の公判に向けて、ワンズワース刑務所に勾留されていた。

仕事を与えられていた刑務所の調理室を出発点に、被告は脱走を開始。配達トラックの下に自分をくくり付けて逃げ出した。

チジック地区で目撃情報

ロンドン警視庁の対テロ部門を率いるドミニク・マーフィー警視長は記者団に対し、カリフ被告は不法逃亡と合法的な拘束からの逃走の疑いで逮捕されたと説明。自転車に乗っていたところを私服警官に引きずり降ろされたという。

警察は8日、カリフ容疑者が逃亡直後にワンズワース交差点でトラックの下から抜け出すのを確認した。警察はまた、逮捕につながる情報に2万ポンド(約370万円)の懸賞金をかけた。

9日朝には、一般市民による目撃情報のあったロンドン西部のチジック地区とその周辺で、「集中的な捜索活動」に力を注いでいると発表していた。

チジック在住の女性はBBCの取材に対し、8日朝にチジック・ハウス・ガーデンズのベンチに座っていたカリフ被告と少しだけ話したと思うと述べた。

暑い天気について話した後、カリフ被告は除隊したばかりだと言ったという。この女性は、被告は穏やかで優しく、女性が連れていた飼い犬に優しかったと話した。

マーフィー警視長は、「入手した情報を元に、リッチモンド地区で昨夜、捜索を行ったところ、捜査は大きく進展した」と話した。

「その捜索では見つからなかったが、その後1、2時間で、一般市民からさまざまな目撃情報が寄せられた」

イギリスのリシ・スーナク首相は、カリフ被告の逮捕を「非常に喜んでいる」と述べ、警察と一般市民を称賛した。

G20サミットでインドのデリーに滞在中のスーナク氏は、「司法相がこの逃亡の経緯について調査を始めており、継続している」と述べた。

アレックス・チョーク司法相は、刑務所の警備体制と分類(カテゴリー)に関する調査を「徹底的に行う」つもりだと話した。

カリフ被告がロンドン南東部ベルマーシュの刑務所ような厳重警備の施設ではなく、警備の緩やかな刑務所に収容されていたのは適切だったのかどうか、政府内では内々に疑問が投げかけられている。

最大野党・労働党のイヴェット・クーパー影の内相は、「テロや国家安全保障に関わる罪で起訴された人物が、いったいどうしてこのような方法で逃亡できたのか、その答えが必要だ」とソーシャルメディアで指摘した。

カリフ被告は2019年に入隊。国防省のスタッフォードの拠点で偽の爆弾騒ぎを起こした後、今年1月2日に基地から姿を消したが、同月26日に逮捕された。

今年2月にロンドン・ウェストミンスターの治安判事裁判所で開かれた裁判資料によると、爆発または発火する可能性があると他人に信じ込ませる目的で」、偽の装置を置きざりにしたとされる。

また、2021年には「テロ行為を実行または準備する人物に役立つ可能性が高い」とされる兵士らの個人情報を、国防省の統合人事管理システムから「引き出し」たとされる。

7月にロンドンの中央刑事裁判所(オールド・ベイリー)で保釈申請が棄却されたため、カリフ被告は「カテゴリーB」に分類されているワンズワース刑務所に再勾留され、11月のウーリッチ刑事法院での裁判を待っている状態だった。