NY地下鉄でホームレス男性の首締めて死亡させた被告、無罪主張

Daniel Penny arrives at the Manhattan Criminal Court on 28 June 2023

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画像説明, マンハッタン刑事裁判所に到着したダニエル・ペニー被告(28日)
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アメリカ・ニューヨーク市の地下鉄車内でホームレスの黒人男性の首を絞めて死亡させたとして、第2級故殺罪と過失致死罪で起訴された元海兵隊員の男性が28日、罪状認否のためマンハッタン刑事裁判所に出廷し、無罪を主張した。

白人のダニエル・ペニー被告(24)5月1日、地下鉄車内で大声を出し続けていた黒人のジョーダン・ニーリー氏(30)を、床に押さえつけ、背後から首を絞め上げる「チョークホールド」を行った。

複数の目撃者によると、ニーリー氏は地下鉄の乗客に向かって怒鳴り、金銭を要求。お腹がすいていて、刑務所に戻るか、死んでも構わないと叫んでいたという。ニーリー氏が誰かを身体的に攻撃した形跡はない。

ペニー被告は、北に向かっていたニューヨーク市地下鉄F系統の列車内での出来事について、自己防衛のために行動したと述べた。

被告は出廷する際、記者団には応じなかった。

マンハッタン地区検察のアルヴィン・ブラッグ検事は28日、声明で、ニーリー氏の遺族が「この悲劇的な死を悼み続けながら、癒やしへの道を進む」ことを望むと述べた。

ペニー被告は5月12日に逮捕され、保釈保証金10万ドル(約1360万円)を支払い保釈されていた。

第2級故殺罪で有罪となれば、最大15年の禁錮刑に処される可能性がある。

事件後、当時の様子を捉えた動画がオンラインに浮上すると、人種差別に反対する抗議行動が発生した。

何があったのか

フリーランスのジャーナリストが撮影した列車内の動画には、ペニー被告がニーリー氏の首を2分55秒にわたって押さえている様子が映っている。

検察は、被告はニーリー氏が動かなくなった後も押さえ続けたとしている。

救急隊員が蘇生を試み、病院に搬送されたものの死亡が確認された。

ニューヨーク市の検視官は、死因は首の圧迫によるもので、殺人と判断された。

Protesters in New York City

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画像説明, ニーリー氏の死をめぐり、ニューヨーク市では抗議行動が発生した

ペニー被告の主張

ペニー被告は今月初め、ソーシャルメディア上で事件について触れ、ニーリー氏を殺すつもりはなかったと主張していた。

「私は身の危険を感じたが、周囲を見ると女性や子どもたちがいた。彼(ニーリー氏)は女性たちの方を向いて脅しの言葉を叫んでいた。とにかく、じっとしてはいられなかった」

Daniel Penny supporters

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画像説明, ペニー被告を支持する人たち

ペニー被告の弁護団はこの日、法廷の外で、最終的に無罪になるだろうと自信を示した。

「あの地下鉄の車内でペニー氏だけでなくほかの人々が経験したのと同じようなことを、マンハッタンで経験したことのない人はいない」

公判前審問は10月25日に予定されている。

自己防衛だったという主張は、ペニー被告にとって最も論理的な方法だと、複数の弁護士はBBCに語った。

刑事事件を担当する弁護士で米ジョン・ジェイ・ロースクールの教授、ドミトリー・シャフネヴィッチ氏は、「被告自身やほかの人への差し迫った危害があったかどうか、そして被告の行動が行き過ぎたものだったのかどうかにかかっている」とした。

「本当にそれ次第だ」と教授は述べた。「この事件の争点は、それ以外にはない」。

元検事で、現在はニューヨークの被告側弁護士を務めるランス・フレッチャー氏は、自己防衛だったと証明するにはハードルがかなり高いだろうと指摘した。

「彼は男性を殺したが、(起訴は)正当なものではないと主張しなければならない。道理をわきまえた人なら、(殺害が)正当なものだとは思わないだろうから、難しいだろう」

フレッチャー氏はまた、感覚というものが「この事件に大きな影響を与えることになる」、「この事件はすべて、正当性をめぐる争いだからだ」と述べた。

母親の死後、精神的な問題あったと

ニーリー氏は、ニューヨークの観光スポット、タイムズ・スクエアでマイケル・ジャクソンの物まねをする人として知られていた。

米メディアによると、ニーリー氏には不正乗車や窃盗、3人の女性への暴行など、42回の逮捕歴がある。

地元紙ジャージー・ジャーナルによると、ニーリー氏の母親クリスティ・ニーリー氏は、2007年にボーイフレンドに殺害された。犯人は2012年に禁錮30年の刑を言い渡されたという。

母親の死後、ニーリー氏は精神的な問題を抱えるようになったと、おばのキャロライン・ニーリー氏は先月、米紙ニューヨーク・ポストに語っている。

ニューヨークのエリック・アダムス市長は、ニーリー氏の犯罪歴は、同氏のような人のために市の精神医療制度を改善する必要性を浮き彫りにしたとしている。

ペニー被告の支持者たちは、弁護費用のために300万ドル(約4億3300万円)近くを集めている。

遺族側の弁護士ドンテ・ミルズ氏は28日、「300万ドルを寄付すれば、この件がどうにか片付くとか、見逃してもらえると考えたみなさん、それはありえない。返金を求めた方がいい」と述べた。