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犠牲者の1人はクルド人女性 英仏海峡で死亡した約30人
英仏海峡で24日にイギリスを目指すボートが沈み、27人が死亡した事故で、犠牲者の身元が26日、初めて公表された。24歳のマリヤム・ヌリ・モハメド・アミンさんはイラク北部出身のクルド系女性で、ドイツを経由してイギリスを目指していた。
イギリスに住む婚約者はBBCに対して、マリヤムさんはゴムボートの空気が漏れて沈み始める最中にもテキストメールを送っていたと話した。当局の救助が来るはずだ、助けてもらえるはずだと、婚約者を安心させようとしていたという。
しかし、救助は間に合わず、ボートはフランス北方の沖で沈み、マリヤムさんのほか女性6人と男性17人、子供3人が死亡した。亡くなった女性の1人は妊娠中だった。生存者はイラク人とソマリア人の計2人にとどまった。
英仏海峡でこれほどの人数が一度に溺死する事故は、近年なかった。
マリヤムさんの婚約者によると、マリヤムさんの愛称は「バラン」。女性親族と共にボートに乗っていたという。マリヤムさんが海峡をボートで渡ろうとするとは事前には知らされていなかったと話した。
通信アプリ「スナップチャット」でメッセージのやり取りを始めた直後にゴムボートの空気が漏れ始め、マリヤムさんたちは水をかき出そうとしていたのだという。
仏カレーの現地情報によると、生存者2人は病院から退院し、ボートの状況について当局から事情聴取を受ける予定。
マリヤムさんのおじはBBCに対して、マリヤムさんは確かに英仏海峡で溺死した1人だと確認した。同行していた2人から連絡があり、遺体がイラクに戻されるのを家族は待っているのだという。
26日夜にはイラク北部の自宅で父親や家族や友人が集まり、マリヤムさんを追悼した。
父親のヌーリ・ハマダミンさんはBBCに対して、「娘はドイツからフランスに入って、フランスで屠畜場(とちくじょう)に入れられてしまった。世界中が欧州は穏やかで素敵な場所だと言うが、これが穏やかということなのか。海の真ん中で30人近くが死んでしまった」と話した。
親友のイマーン・ハッサンさんは、マリヤムさんは「とても謙虚」で「思いやりにあふれた」人だったとしのんだ。
「クルディスタンを出た時、彼女はとても幸せそうだった。自分の夫に会いに行けるのが信じられないと言っていた」と、ハッサンさんはBBCに話した。
「婚約式では、『家を買ってあなたの近所に住むね。一緒に住もうね』と話していた」という。
ハッサンさんは、「誰もこんな死に方をするべきではない」と世界に向けて訴えたいと話した。
「もっと良い暮らしを手に入れようとして、イギリスを選んだけれども、死んでしまった」