オーストリア首相が辞任 汚職容疑で捜査、首相は疑惑関与否定

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オーストリアのセバスティアン・クルツ首相(35)は9日、辞任を表明した。汚職容疑で強制捜査を受けており、辞任圧力が高まっていた。後任には、アレクサンドル・シャレンベルク外相(52)を推している。

オーストリアの検察当局は、クルツ氏が率いる中道右派の与党・国民党の党本部や首相官邸、財務省などを家宅捜索した後、首相と側近らを捜査対象にした。

自分たちに好意的な報道を大衆紙にさせるために公金を使ったという疑いについて、首相は否定している。

クルツ首相は「いま必要なのは安定だ。事態の膠着(こうちゃく)を解消するため、混乱を回避するため自分は退くことにした」と述べた。国民党の党首と議員の座にはとどまるつもりという。

「そしてなにより、自分にかけられた嫌疑が事実でないと証明していく」とも述べた。

クルツ氏に対する首相不信任決議案が近く採決される予定。国民党と連立する少数党の緑の党が、首相不信任を支持する方向で野党と協議を始めたことから、連立維持が危うくなっていた。

緑の党の党首、ヴェルナー・コグラー副首相は、クルツ首相の辞任を歓迎。後任に推挙されたシャレンベルク外相とは「とても建設的」な関係だとして、協力する意向を示した。

クルツ氏は2017年5月に国民党の党首となり、同年10月の総選挙で勝利。31歳で首相となり、民主的に選ばれた世界最年少の政府首脳の1人になった。

汚職容疑は2016年から2018年にかけてのもので、国民党に有利な世論調査結果を新聞報道させるために財務省資金が使われた疑いが指摘されている。

検察当局は具体的な新聞の名前を公表していないが、大衆紙エステライヒは6日、国民党に有利な世論調査結果を掲載する引き換えに公金を受け取った事実はないと、声明を発表した。これに先立ち経済事案・汚職担当の検察当局は同日、首相官邸や国民党本部、財務省、首相側近らの自宅などを家宅捜索した。

検察は、クルツ首相と側近9人、3法人を「背任や汚職、贈収賄などの疑い」で捜査対象にしたと発表した。

クルツ氏は自分にかけられた嫌疑を「根拠のない」ものだと反論している。さらに、汚職容疑とは別件で、議会委員会に虚偽発言をした疑いについて今年5月に始まった捜査についても、容疑を否定している。

<解説> ベサニー・ベルBBCウィーン特派員

首相ではなくなっても、クルツ氏はオーストリア政界に影響力を維持し続ける。

与党・国民党の党首として閣議に出席し続ける。野党・社会民主党は、クルツ氏が今後も「影の首相」として舞台裏で糸を引き続けるだろうとしている。

首相が自ら後継に推したシャレンベルク外相との緊密な関係に注目する人もいる。外交官出身のシャレンベルク氏は、クルツ氏が2013年に外相に就任して以来、連携してきた。

国民党の中には、今回の辞任は一時的なもので、いずれ復帰すると期待する声も出ている。

一方で国民の間には、2件の刑事捜査の対象になり、2019年には極右・自由党との連立崩壊を経験しているだけに、クルツ氏はもはや政界を離れるべきだという意見もある。