ドクター・スースの6作品、人種差別描写で出版停止に

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アメリカの絵本作家、故ドクター・スース(本名セオドア・スース・ガイゼルさん)の権利会社は2日、人種差別描写のある6作品を今後、出版しないと発表した。

出版が中止されるのは「マルベリーどおりのふしぎなできごと」、「ぼくがサーカスやったなら」、「おばけたまごのいりたまご」、「McElligot's Pool」 、 「On Beyond Zebra!」、「The Cat's Quizzer」の6冊。

作品を管理しているドクター・スース・エンタープライズは声明で、「これらの作品には有害で間違った人物描写がある」と説明。今回の判断は専門家や教師などと協議して決めたものだと述べた。

「今回の出版停止は、弊社のラインアップを全てのコミュニティーや家族を支援するものにするという大きな計画の一部に過ぎない」

出版停止が発表された3月2日は、ドクター・スースの誕生日でもある。この日は1998年以降、全国教育協会によって「読書の日(Read Across Ameria Day)」に制定されている。

ドクター・スースの著書はさまざまな言語に翻訳され、点字版も含め、100カ国以上で出版されている。

2000年には「いじわるグリンチのクリスマス」が「グリンチ」として、2012年には「The Lorax」が「ロラックスおじさんの秘密の種」としてそれぞれ映画化された。

しかしこうした人気とは裏腹に、非白人キャラクターの描写にはかねて懸念の声が上がっていた。

たとえば「マルベリーどおりのふしぎなできごと」では、中国人とされるキャラクターの目が2本線で描かれている。このキャラクターは箸とご飯茶わんを持ち、日本風の靴を履いている。

「ぼくがサーカスやったなら」には、シャツを着ないで靴も履かず、草でできたスカートを履いたアフリカ系のキャラクター2人が、動物を運んでいる描写がある。

全国教育協会は近年、読書の日にドクター・スースの作品にスポットライトを当てず、より多様性に富んだ選書リストを公開している。

ドクター・スースの作品を推奨していない学区も出てきている。デイリー・ワイヤーによると、ヴァージニア州ラウドン郡の公立校では「読書の日とドクター・スースをひも付けないよう」教員に通達されているという。

ラウドン郡学校協会は、「多くの学校が、ドクター・スースの誕生日と一部関連付けて読書の日を祝い続けている中、この(人種差別という)点において我々の慣行に対抗する研究があることを認識するのは重要なことだ」と話した。

「文化や人種の問題への意識が高まる中、近年の研究によってドクター・スースの作品に潜在する過激的な要素が明らかになっていることを、全ての教師が把握しておくべきだ」

マサチューセッツ州ケンブリッジでは2017年、前ファースト・レディーのメラニア・トランプ氏が学校にドクター・スースの作品10冊を寄贈したことを、学校司書が批判。ドクター・スースの作品の多くは「人種差別的なプロパガンダや風刺、有害な固定観念」にあふれていると指摘した。

同じ年には、ドクター・スース博物館に飾られていた壁画にアジア系に対する人種差別が含まれているとして、3人の作家がこの博物館でのイベント出演を拒否した。同博物館はこの壁画を撤去している。

ドクター・スースの代表作である「キャット・イン・ザ・ハット」にも批判の声が上がっているものの、現時点では出版停止にはなっていない。

近年、児童文学に含まれている人種差別を指摘する声が高まっている。

イギリスのイースト・サセックス州では、「ぞうのババール」シリーズの「ババールのたびだち」に出てくる「savage cannibals(野蛮な人食い)」といった言葉が人種差別的だという批判が寄せられたため、同作品が図書館から撤去された。

同じような批判は「タンタンの冒険」シリーズにも寄せられており、図書館から撤去されたり、児童書コーナーから一般書コーナーへ移されたりしている。

2018年には、米国図書館協会の児童サービス部会(ALSC)が「大草原の小さな家」シリーズの作者、ローラ・インガルス・ワイルダーの名前を児童文学賞の名称から外すと発表。ALSCは「作品の中に反先住民、反黒人の感情が含まれている」ことを理由に挙げた。