ロックダウン中に妻を絞殺、計画的な殺人罪では無罪 英裁判

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イギリス全土で新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が始まって間もなく、67歳の女性が殺された。「ぷつっと切れてしまった」と理由を供述していた夫が、このほど裁判で計画的な殺人罪については無罪評決を受けた。

ウェールズ地方クンブラン在住の元工場作業員、アンソニー・ウィリアムズ被告(70)は裁判で、自分はいきなり正気を失って妻を絞殺してしまったのだと供述した。計画的な殺人は否認したものの、限定的な責任能力による計画性のない故殺罪については犯行を認めた。

公判によると、ウィリアムズ被告は昨年3月28日午前7時ごろ、結婚46年の妻ルースさんと自宅寝室で口論になった。ルースさんは寝室を出たが、口論は階下でも続いた。

ウィリアムズ被告は妻を襲った後、隣家を訪れ、妻が死んだと伝えた。「警察を呼んでほしい。自分が彼女を殺してしまった」と言ったという。

ルースさんは、手に鍵を2つ握り、玄関ポーチで崩れ落ちるような状態で発見された。検察は、これはルースさんが逃げようとしていたことを表していると主張した。

裁判では、被告が警察に通報した音声が再生された。被告は「彼女が死んでしまった、自分が殺した。口論になって、首を絞めた。すぐ来てほしい」と話していた。

ルースさんはニューポートの病院に運ばれたが、死亡が確認された。検視では、首への圧迫が死につながったとされ、首の骨が3カ所で折れていたとされた。

ウィリアムズ被告は警察署に移送される際、「殺人じゃない。殺すつもりはなかった」と警官に話したという。

また、「ぷつっと切れてしまっただけだ。あんなのは自分じゃない。自分はハエだって傷つけたりしない。あれは自分じゃない。自分はあんな人間じゃない。なんであんなことをしてしまったのか、分からない」と述べたとされる。

精神的に弱っていたか

ウィリアムズ被告は裁判で、責任能力が限られた状態で意図せず妻を殺したことは認めた。一方で、計画的な殺意はなく、殺人罪には当たらないと主張した。

弁護側はウィリアムズ被告について、事件前の数日間は新型ウイルスや金銭、健康などを心配するあまり、十分な睡眠が取れていなかったと主張した。

また、被告は事件の数週間前から、うつ病と不安障害を患っていたとされた。妻から「しっかりしなさい」と言われ「ぷつっと切れてしまった」のだと、裁判で述べた。

ウィリアムズ被告の娘エマさんも、裁判に出廷。エマさんは父親に「手のつけようがない状態」になりつつありそうで、心配だと伝えていたのだと証言した。

エマさんによると、父親は「家を失い、光熱費も払えなくなりそうだ」と話していたという。ただ現実には、被告に住宅ローンはなく、14万8000ポンド(約2200万円)の蓄えもあったという。

精神科医のアリソン・ウィッツ氏は、ウィリアムズ被告の精神衛生は2019年に退職してから急速に悪化し、新型ウイルスの大流行によってさらに悪くなったとの見方を示した。

スウォンジー刑事法院で開かれた裁判では、陪審員は5時間余りの評議の後、ウィリアムズ被告を殺人罪について無罪とした。

同被告の判決の言い渡しは18日に予定されている。