ウクライナの遺体収容ボランティアの若者が死亡 BBCが過去に取材

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アンドリュー・ハーディング、BBCニュース(ウクライナ、スロヴィヤンスク)

前線から南や東に発射される砲弾の音がかすかに聞こえる中、人々はゆっくりと通り過ぎるバンの前にひざまずき、バラの花を投げた。車が止まり、後ろの扉が開かれて木製の棺(ひつぎ)が現れると、すすり泣きが始まった。

リュドミラ・ソスネンコさんは娘を抱きしめながら、「私の息子が! なんで?」と叫んだ。

ドンバス北部のこの町ではここ数カ月、思いがけない葬儀が数多く行われてきた。しかしこの葬儀の主は、兵士でもただの民間人でもなかった。

ウクライナのキックボクシング・チャンピオンだったデニス・ソスネンコさん(21)は昨年、慈善団体「ブラック・チューリップ」に遺体収容のボランティアとして参加した。戦争で亡くなった民間人や兵士の遺体を収容する仕事で、対象者にはウクライナ人だけでなく、ロシア人も含まれる。

ソスネンコさんは先週、遺体を収容するために運転していたバンが前線に近い場所で対戦車地雷を踏み、亡くなった。

「デニス、きょうはあなたの肩にたくさんの天使がいる。あなたが家に連れて帰ってきた天使たちだ」と、ブラック・チューリップの地域主任、アレクセイ・ユコフさんは語りかけた。

「あなたの仕事のおかげで、誰も探しに行かないような場所で亡くなった多くの兵士が、家族と再会することができた」

リュドミラさんは、「息子はいつも『これが自分のミッションだ。やらなければならないんだ』と言っていた。危険な仕事だけど、『心配しないで、亡くなった人の魂を守っているのだから』と、安心させてくれていた」と語った。

「いつも楽しげで、戦後に向けて大きな計画を立てていた」

BBCが取材した際、ソスネンコさんはこの仕事の恐ろしさを語っていた。ばらばらになった遺体の一部をひとつずつ拾い上げることや、常につきまとう危険について。周囲で激しくなる戦争そのものだけでなく、撤退したロシア軍が遺体の下に仕掛けたとみられる爆発物にも注意しなければならないことについて。ブラック・チューリップはドローンなどを使い、こうした爆発物を検知していた。

しかし、ソスネンコさんや同僚は熱心に、この仕事の重要さを語っていた。

ブラック・チューリップがこの11カ月で収容したロシア兵の遺体の多くは、前線を越え、行方不明になっていたウクライナ兵の遺体と交換される。

ソスネンコさんと共に活動していたアルトゥル・セメイコさんは取材当時、「その遺体がやっと戦争から戻れるのだと思うと、神の恩恵を感じる」と話していた。行方不明になった親族の葬儀をきちんと開けなかった人々に、安心を与えられるのだと。

ソスネンコさんの葬儀の後、スロヴィヤンスク郊外の雪に覆われた霊園で、セメイコさんは「何も変わらない」と話した。

「(ソスネンコさんを)栄誉と共に埋葬できてよかった。こんなにも短い人生で、こんなにも多くのことを成し遂げた。でも私たちはもっと多くの人々を家に帰す仕事を続けなければいけない」

ユコフさんも、「できる限り早く仕事に戻るつもりだ」とうなずいた。

「命が犠牲になるのだとしても、戻るつもりだ。戦争は続き、多くの若者が死んでいく中で、嘆いている暇はないと気づいた。彼らもまた、家に帰らなければいけない」