北京の最高層ビルに小型機が激突、中国当局は何があったのか説明せず

動画説明, 北京で最も高いビルに小型機が衝突、破片が落下した(※動揺する可能性のある場面が含まれます)
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中国・北京で、市内最高層のビルに小型飛行機が激突し、パイロットが死亡、地上の13人が負傷する事故があった。ただ、同国ではほとんど報じられておらず、発生から数日たっても詳細や経緯は不明なままとなっている。世界的にも管理が非常に厳しい北京の空域にどのように航空機が侵入できたのかについて臆測が飛び交うなか、当局がこの事故に対して神経をとがらせている様子がうかがえる。

事故は6月26日に発生。109階建ての「CITIC(中国中信集団)タワー」に小型機が衝突し、ビル側面に穴が開いた。穴はその後、板でふさがれた。小型機にはパイロットだけが乗っていた。

航空機の位置を追跡する「フライトレーダー24」によると、事故機は中国・山河科技(Sunward Aircraft)社製の2人乗り単発機「オーロラSA60L」。全長6.9メートル、翼幅8.6メートルで、観光や航空写真撮影、レクリエーションなどの飛行向けだという。

この事故について、中国共産党の機関紙・北京日報は、基本的な事実を60語で報じた。今月1日時点で、これが中国当局が出した唯一の公式声明となっている。

事故の衝撃的な映像がインターネットに投稿されたが、のちに削除された。

検閲は中国では珍しくない。党や国の指導者、政府に対する批判がみられるのはまれで、批判的と思われる議論や、政治的な意味合いをもつ議論、デリケートな問題に触れる議論は、すぐに消滅する。

しかし今回は、通常のレベルを大きく超えている。事故とは無関係な、CITICタワーの写真やミームまで、中国のソーシャルメディアから削除されている。

中国について発信する「Eye on Digital China」を運営するマニヤ・コーツェ氏は、今回の検閲がこれほど迅速かつ徹底的なのは、中国の指導部が「何が起きたのかまだ正確に把握していない」からかもしれないと推定。

この事故は「極めて異例な出来事」であり、政府の能力に疑問を投げかけて「重要な党主導の説明」を脅かすものだと付け加えた。

北京中心部の高層ビル群の遠景

画像提供, Getty Images

画像説明, 109階建てのCITICタワー(中央)は、北京の高層ビル群の中でもひときわ目を引く(6月5日撮影)

セキュリティー上の失態との指摘も

BBCが航空関連の会社に取材したところ、少なくとも3社が、軽飛行機の運航を停止するよう指示されたと述べ、この件では話をしないよう指示されているため詳しいことは言えないとした。

北京の飛行訓練学校の女性は、「この件については話さないように言われている。他をあたってください」と話した。

四川省成都の会社も指示を受けたとしたが、それがどこからなのか明かすのを拒み、素早く電話を切った。

北京は、天安門広場や中南海など、国の最高指導者らが暮らし、執務する厳重警備区域を含む政治の中心地約100平方キロメートルの上空を、恒久的に飛行禁止区域に指定している。

今回の事故現場は、中国共産党本部がある中南海からわずか数キロの地点だった。

中国アナリストのビル・ビショップ氏はXへの投稿で、今回の事故を「大規模なセキュリティー欠陥」と表現。「飛行時間がほんの数秒長ければ、(激突は)中南海で起きていたかもしれない」とし、仮にそうなっていたら「北京のセキュリティーシステムにとって激震」だっただろうとした。

北京は最近、安全保障上の懸念を理由に、ドローンに関する規制を強化した。現在、北京でのドローンの持ち込みや持ち出しは、事前登録が必要だ。

米シンクタンク「シカゴ・グローバル問題評議会」のレイモンド・クオ副会長(研究担当)は、「ほとんどのドローンよりもかなり大きい小型飛行機が北京を飛行し、中南海にかなり接近できたという事実は、政治的に恥ずべきことであり、セキュリティー上の重大な失態でもある」と指摘。

パイロットの操縦ミスか機械的な故障だったかもしれないが、「意図的なものだった可能性」もあると付け加えた。

中国国外のソーシャルメディアでは、2001年9月11日の米同時多発攻撃を思い出すとの投稿もあった。

米シンクタンクの研究センター「カーネギー・チャイナ」のチョン・ジャ・イアン非常勤研究員は、今回の事故をめぐり当局者が解任される可能性もあると説明。

「小型機がCITICタワーに衝突したということは、ドローンやミサイルでも同じことができるかもしれないということだ。これは北京のセキュリティー当局にとっては少々恥ずべきことだ」と話した。