英ヒースローの入国審査、7時間待ちは「非人道的」 利用者たち抗議

Heathrow airport

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英ヒースロー空港の入国審査の待機列が、あらためて問題となっている。2月28日の夕方には7時間待ちにまで悪化した。利用者の1人は、女性が床に座って赤ちゃんにミルクを与えているのを見たと語り、「人道的でない」状況だと批判した。

こうした事態について、関係機関の意見は錯綜している。

入国管理官の労働組合は、感染症対策のためにスタッフが不適切な労働環境にあると指摘する。

これに対してヒースロー空港は、内務省傘下の入国管理局が解決に向けた人員確保に乗り出すべきだとしている。

一方で政府は、感染症対策は適切だと主張し、遅延についても過ちを認めていない。

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アリシアさん(26)は、オーストリア・ウィーンで脚の治療を受けたあと、ヒースロー空港に到着した。

BBCの取材でアリシアさんは、2月28日午後6時半に入国審査の列に並び始めたが、審査を通り抜けたのは3月1日午前1時半だったと語った。

「とても不安でした。管理がしっかりしていなくて、女性が床で赤ちゃんにミルクをあげている女性もいました。人道的じゃありません」

「スタッフは椅子を用意してくれないし、ソーシャル・ディスタンシングもできていなかった。審査をする職員はたった3~4人でした」

この日に同空港を利用した人からは、入国審査をする職員が数人しかいないため、5~7時間待たされたという声が聞かれた。

職員の感染症対策に問題

ヒースロー空港の移民管理部門で働く職員(匿名希望)の1人は、空港の状況は混乱していると話した。

「散々な状況です。保健・安全対策を守らないと仕事ができない。もともと人員が少ないのに、何をどうしろと言うんです?」

入国管理職員の労組ISUのルーシー・モアトン会長は、内務省傘下の入国管理局が課す新型ウイルス対策によって、入国審査の待機列が長くなっていると説明した。

モアトン会長によると、職員は互いの感染を防ぐために10人ずつのグループに別れて仕事をしているが、これによって繁忙期に多くの人員を投入できない事態になっているという。

「職員はこの措置にとても不満を抱いています。列が長くなることで、利用者から罵倒されることが増えています」

「そもそもこの対策は不要です。列が長くなるし、入国審査場以外ではスタッフはグループを超えて接しているので、感染抑止につながっていません」

内務省は、こうした意見は事実と異なると回答。内務省によると、ISUはこの対策が健康・安全に役立つと認めていたという。しかし、ISUは内務省の言い分を否定している。

Heathrow sign and plane

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入国管理官はさらに、職務中にマスクを着用しないよう指示されているという。

窓口にはスクリーンが設置されているため、公衆衛生のガイダンスには反していないというが、利用者とのやりとりは15~20分におよび、書類などの受け渡しもあるため、不安に思っているスタッフがいるとモアトン会長は話した。

内務省の職員1万3000人が所属する労働組合PCSは、「10人ずつのグループ体制は柔軟性がなく、受け入れがたい長蛇の列を作ってしまっている。そのため、中止を求めるためストライキを決行すると、可決した」と発表した。

「新型ウイルスの感染リスクを抑える試みには賛成だが、現在のやり方は職員の安全面から見て最善ではない」

「政府の責任」

ヒースロー空港は、「国境管理に感染症対策が加わる際、待機列を最小限に抑えるために入国管理局が十分なスタッフを確保できることを政府に確認した」と説明している。

「到着客を何時間も待たせるのは、全く理不尽なことだ。利用者に距離を空けながら4時間も行列してもらうスペースは、どんな空港にもない」

空港側はさらに、利用者の安全性を保ったまま「入国手続きが正し管理され、効率的に実施されるよう」にするのは、政府と入国管理局の責任だと指摘した。

これに対して内務省の報道官は、「28日に到着した渡航者の多くが、イギリス到着後の隔離で必要な検査キットを買わなかった」のが審査遅延につながったと説明した。

「我々はこれについて謝罪しない。こうしたひとつひとつの検査がイギリスでの新型ウイルスの感染拡大に寄与している。そもそも、検査キットを持っていない人たちの移動を認めるべきではなかった。法律の徹底を、規制当局や航空各社に働きかけている」

イギリスでは、感染拡大を防ぐための水際対策が実施されているが、ブラジルで特定された種類など様々な変異株がイギリス国内で確認されており、従来の新型ウイルスよりも感染力が強い可能性があると懸念されている。