米連邦控訴裁、TikTok禁止法の差し止め請求を退ける

TikTokのロゴとアメリカ国旗の写真

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動画投稿アプリ「TikTok」に事業売却か利用禁止のいずれかを迫るアメリカの法律について、ワシントンの連邦控訴裁判所は6日、TikTokが提出していた法律差し止め請求を退けた。

しかし、裁判所はTikTok禁止法を支持。「これは議会と歴代大統領による広範な超党派行動の集大成だ」と述べた。

TikTokは、今後この問題を米連邦最高裁判所に上告する方針という。

アメリカ政府は、TikTokを運営する中国企業バイトダンスが中国政府と関係があると指摘。連邦議会は今年4月までに、バイトダンスがTikTokのアメリカでの事業を9カ月以内に売却しなければ国内での利用を禁止するとする法案を可決した。

TikTokとバイトダンスは、中国との関係を一貫して否定している。

連邦控訴裁は今回、この法律が「外国の敵対勢力による支配にのみ対処するために慎重に作成されており、中華人民共和国による十分に立証された国家安全保障上の脅威に対抗するための広範な取り組みの一環だ」と認めた。

しかし、TikTokはこれが法廷闘争の終わりではないと述べている。

TikTokの広報担当者は声明で、「連邦最高裁判所には、アメリカ人の言論の自由を保護してきた歴史的な実績がある。この重要な憲法問題についても同様の判断を下すと期待している」と述べた。

また、この法律が「不正確で欠陥のある仮定に基づくもの」だとして、TikTok禁止はアメリカ市民への検閲行為につながるとも主張した。

ドナルド・トランプ次期米大統領の存在も、TikTokにとって救いとなる可能性がある。

トランプ氏は2020年の第1期任期中にTikTokを禁止しようとしたが失敗。今回の選挙では、TikTokを禁止しないと述べていた。

次期大統領が就任する来年1月20日は、TikTokが禁止または売却されなければならないとされる日の翌日に当たる。

しかし、次期大統領が選挙前の公約を実行するかどうかは不明だ。

米コーネル大学のジェイムズ・グリメルマン教授は、次期大統領がTikTokに猶予を与えることは「流れに逆らって泳ぐようなものだ」と述べた。

「米議会における反中感情は非常に強く、現在では共和・民主両党に、TikTokを国内市場で規制したい有力な支持層が存在している」と、グリメルマン教授はBBCニュースに話した。

ユーザーや競合サービスの反応は

この裁判は、TikTokのユーザーや競合アプリの関係者から注目されている。

小規模事業を応援する活動家で、TikTokクリエイターでもあるティファニー・チアンチ氏はBBCニュースに対し、この判決には「驚かなかった」と述べた。また、TikTokのアカウントや投稿したコンテンツを、インスタグラムなどの競合プラットフォームに移すつもりはないと語った。

「当局の望むまま、自分のコンテンツを成功しにくく、検閲されやすく、オーディエンスをコントロールしにくいプラットフォームに移すつもりはない」

ただし、他のプラットフォームはTikTok後のソーシャルメディアの状況を想定して準備している。

フェイスブックやインスタグラム、スレッズ、ワッツアップを所有する米メタは、自社アプリ内でTikTokの短編動画に対抗する機能を構築し、ユーザーがTikTokに似ていると感じるような変更を加えてきた。

調査会社「eマーケター」の主任アナリスト、ジャスミン・エンバーグ氏は、TikTokによる最高裁への上訴が失敗して禁止が実施された場合、「大きな混乱」が生じると述べた。

TikTokが禁止されれば、「メタやユーチューブ、スナップチャットを運営するSnapに利益をもたらす一方で、TikTokに依存して生計を立てているコンテンツクリエイターや小規模ビジネスは打撃を受けるだろう」と、エンバーグ氏は指摘した。

エピストロフィー・キャピタル・リサーチのコリー・ジョンソン市場戦略主任は、TikTokの再現は容易ではないと話す。ジョンソン氏によると、TikTokの推薦エンジンは人工知能(AI)のディープラーニング(深層学習)モデルによって動作しているという。

「TikTokほど巨大な規模で、これほど複雑なAIとビッグデータ処理を実現するには、莫大で高価な技術インフラが必要だ」

ジョンソン氏は一方で、TikTokのハイパーターゲティング(特定のユーザーに精密な広告を届ける手法)と中国のデータ法が重大なリスクをもたらすと指摘。イーロン・マスク氏が、所有する「X」(旧ツイッター)でアルゴリズムを変更した事例が、アルゴリズム操作の危険性をよく表していると述べた。

マスク氏の政治的投稿は米大統領選の最中、Xの公開データセット上のすべてのアメリカの政治広告よりも多くの閲覧数を獲得していたと、ジョンソン氏は言う。

「アメリカは、ソーシャルメディアが特定の声を優遇するようアルゴリズムを調整したという、実際の事例をつい最近経験したばかりだ」