UEFA、FIFAが外部投資導入ならW杯ボイコットと決定 FIFAは「サッカー売らない」と

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サイモン・ストーン・サッカーニュース主任記者、ジャック・スケルトンBBCスポーツ上級記者、アレックス・ブラザートン・スポーツ記者
国際サッカー連盟(FIFA)が子会社を設立して株式を投資家に売却するという計画を28日に発表したのを受けて、欧州サッカー連盟(UEFA)は30日、ワールドカップ(W杯)などの運営に外部資本を入れるこの計画が実施されるなら、W杯をボイコットすると決めたと発表した。北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)とアジア・サッカー連盟(AFC)も同様に、ジャンニ・インファンティーノFIFA会長の提案に反対を表明した。FIFAは31日に声明を出し、「誰もサッカーを売り渡してなどいない」と反論している。
UEFAは30日、FIFAの計画発表を受けた緊急会議を開き、FIFAの大会をボイコットすると、UEFA加盟全55協会の全会一致で決めたと明らかにした。
CONCACAFも同日、UEFAと同様に加盟する41の協会が集まり、ジャンニ・インファンティーノFIFA会長の提案を「拒否した」と発表した。消息筋によると、CONCACAF加盟国もインファンティーノ会長への信頼を失っているという。
さらにAFCも31日、欧州および北中米カリブ海地域の連盟と「連帯する」と表明した。
AFCはさらに、インファンティーノ会長の計画について、「前進するために必要な幅広い合意と結束を現実的に達成することはできない」と付け加えた。
AFCは、「FIFAワールドカップは世界サッカーの頂点であり、その力は、すべての大陸連盟と世界の主要なサッカー国の参加によって成り立っている」、「大会の結束と普遍的な性格を損なう危険のあるいかなる提案も再考されなければならない」とした。
AFCの声明を受け、仮にインファンティーノ会長の計画が投票に付された場合でも、FIFA加盟協会に承認される可能性が低いことになった。
インファンティーノ会長の計画が実施されるには、FIFA加盟211カ国の過半数による承認、つまり106票の賛成票が必要となる。UEFAは55票、CONCACAFは35票、AFCは46票をそれぞれ持ち、合わせて136票になる。これがすべて反対票となれば、会長の案は承認されないことになる。

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UEFAは今回の決定に先立ち、インファンティーノ会長案にすでに二つの厳しい声明を発表し、反対姿勢を明確にしていた。加盟する全協会の決定で、その強い意志を改めて表明した。
「ワールドカップを投資商品として扱うことはできない」と、UEFAは30日に強調した。
「ワールドカップは、サッカー界における最も偉大なスポーツ遺産の一つだ。何世代にもわたり、あらゆる大陸の選手、代表チーム、そしてサポーターたちが築き上げてきたものだ。わずかな一部だろうと決して、民間投資家に譲り渡してはならない。ワールドカップは売り物ではない」とUEFAは表明した。
UEFAのボイコットは、男子と女子のW杯、クラブW杯を含むFIFA主催の全大会が対象。FIFA加盟協会がインファンティーノ会長の提案を承認した場合、ボイコットを実施する。
今年10月には女子W杯のプレーオフが始まるため、この時にボイコットが実施されるかが注目される。
UEFAの会議では、イングランド・サッカー協会(FA)のデビー・ヒューイット会長とマーク・ブリンガム最高経営責任者をはじめ、大勢が発言した様子。消息筋によると、FIFAの提案に対する反対意見があまりに強く、会議の雰囲気は険悪だったという。
ヒューイットFA会長は、8人いるFIFA副会長の1人だが、それにもかわらず、子会社化案についてインファンティーノ会長が重ねていた議論は全く知らされていなかった。
インファンティーノ案とは
FIFAは、W杯を含む主要イベントを運営するための商業子会社を設立し、外部投資家がその株式を買えるようにしたいと考えている。
新子会社はFIFAフォワード・エンタープライズ (FFE)と呼ばれる予定で、「少数株主による非支配的な投資」を第三者に呼びかけるとFIFAは発表した。
インファンティーノ会長はFIFA加盟国に対し、自分の案を支持すれば最大4000万ドル(約60億円)の資金を提供すると、書簡で提示した。同会長は、加盟国が最初の2000万ドルを受け取りたいなら、9月19日までに自分の計画を受け入れるよう期限を設けている。
FIFAが29日に公開したビデオで、インファンティーノ会長は子会社計画を擁護し、加盟国に提示しているのは「義務ではなく提案だ」と述べた。
FIFAによると、計画が承認されれば米ベンチャーキャピタル「スライヴ・エターナル」がFFEの投資家らを率いる見込み。スライヴ・エターナルは、ドナルド・トランプ米大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏の弟、ジョシュア・クシュナー氏が設立した。
FIFA関係者はBBCスポーツに対し、FFEの最高経営責任者をめぐって、インファンティーノ氏や他の人の就任が話し合われたことは一切ないと語った。
米ホワイトハウスは、インファンティーノ氏の提案について「現時点では」何もコメントしないと述べた。
UEFAの反応は
UEFAは30日、加盟全55協会の緊急会議をオンラインで実施。アレクサンデル・チェフェリン会長が議長を務めた。会議後に発表した声明の中で、UEFAは全55協会とともに「一つとなって立ち上がる」と述べた。
「我々は、W杯およびその他のFIFA主催大会の所有権を民間投資家に譲渡するというFIFAの提案を、満場一致で断固として拒否する」と述べた。
UEFAは29日にも、FIFAがサッカーを「自分たちや仲間の金もうけのために利用している」と非難していた。
30日の声明はそれに輪をかけて厳しい内容で、「サッカーにとってこれほど重要な提案がひそか」に、そしてサッカー界を統括する人々との「有意義な協議なし」に考案されたことは「無責任で弁解の余地がない」と非難した。
UEFAはさらに、「これは単なる指導力の深刻な欠如ではなく、世界サッカーを任された者として、FIFAが義務を放棄したことになる」と付け加えた。
「世界中の各国サッカー協会は今、究極の選択を迫られている。サッカー界最大の大会が不可逆的に(外部投資家に)支配されることを受け入れるか、不同意に伴う結果を受け入れるかだ」
「これは『民主的な決定』ではなく、威嚇(いかく)による統治であり、世界的な競技の運営を任された組織としてふさわしくない強制行為だ」
FIFA加盟協会のうちUEFA加盟協会は25%に過ぎないが、世界の有力チームの大半が含まれている。
今夏のW杯北中米大会では、優勝したスペインを含め、準々決勝に進出した8チームのうち6チームがヨーロッパのチームだった。2022年大会と2018年大会では、それぞれ5チームと6チームだった。
これまでに開催された23回のW杯のうち、13回はヨーロッパの国が優勝している。残りの10回は南米の国が優勝している。
UEFAのローラ・マカリスター副会長は、今回のFIFA案は「サッカー界にとって真の存亡の危機」をもたらすと述べた。
元ウェールズ代表選手だったマカリスター氏はBBCラジオ・ウェールズに対し、ボイコットは起こらないことを願っていると述べ、「ボイコットは起こらないと楽観的に考えている。なぜなら、世界のサッカー界の原動力になっているのはヨーロッパで、それが現実だからだ」と付け加えた。
また、BBCラジオ4の番組では、UEFA加盟国の間には「真の結束」があり、「FIFA案が私たちのスポーツにもたらす存亡の危機を受け、可能な限り強力な措置を講じる必要性について、速やかに合意できた」と話した。
副会長はさらに、「実のところ、この恐ろしく破滅的な提案に見合う形で、私たちは行動するぞと脅す以外に、選択肢がなかった。(FIFAの)提案は、十分な検討も、適切な組織運営も、協議も行われずに拙速に進められたものだ」とも批判した。
大勢がFIFAを批判
FAの広報担当者は、イングランドはヨーロッパの仲間たちと「肩を並べ」、「(欧州の)全体としての見方を全面的に支持する」と述べた。
さらに、「私たちはFIFAの計画に反対する。FIFAワールドカップはサッカーのもので、今後もずっとそうだ」と強調した。
スコットランド・サッカー協会も、UEFAによるボイコットを支持すると表明。理事会は「十分な協議プロセスや適切な組織運営への配慮もないまま、提案が発表され、期限が設定された方法について、全ての加盟協会が提起した懸念に全面的に同意する」と述べた。
スコットランド・サッカー協会のマイク・マルラニー会長は、FIFAの財務委員会の委員長も務めている。
イギリスのリサ・ナンディ文化相は、「(UEFAの決定は)原理原則に基づいた判断で、我々は強く支持する。サッカーはファンのものであり、億万長者の投資家のものではない。もうたくさんだ。自分たちのスポーツを守るために立ち上がる時が来た」と述べた。
アンディ・バーナム英首相は28日、FIFAの提案を批判し、その実施はFIFAが「魂を売った」ことを意味すると述べた。
CONCACAFは、加盟国が「提案をめぐる適正手続きの欠如」と「人為的に短く設定された期限」について深い懸念を表明したと述べた。
FIFAによると、今年の北中米大会は過去最高の収益を上げるW杯だった。それにもかかわらず、外部投資を導入しようとするFIFA案の必要性についても、CONCACAFは疑問を示した。
CONCACAFは、既存の準備金を地域全体の開発資金として活用する方法についてFIFAと協議するようFIFA評議会メンバーに指示したと明らかにした。さらに、適切な組織運営プロセスの順守をインファンティーノ会長に指示するよう、FIFA評議会メンバーに指示したという。
欧州のサッカーファン団体、フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ(FSE)のロナン・エヴァン事務局長はBBCに対し、UEFAの姿勢は「とても見事」で、「適切な形で自分たちの力を示した」と評価した。
エヴァン氏はさらに、「サッカーはこういう反応を必要としていた。そして、ジャンニ・インファンティーノが受けて当然の反応だ」とも述べた。
アジア・サッカー連盟は、FIFAの計画が公表される前に相談を受けなかったことに「落胆した」と述べた。
アフリカ・サッカー連盟は、パトリス・モツェペ会長が来週、執行委員会の会合を開き、提案内容を「評価・検討する」と発表した。
Jリーグを含む40以上の国・地域が加盟する世界リーグ協会(WLA)は、FIFAに対し、計画の撤回を要請。WLA加盟リーグの英プレミア・リーグもその見解を「全面的に支持する」と表明した。
この先どうなる
現時点では、まだ分かっていないことがたくさんある。
9月5日からポーランドで開催予定のFIFAU-20女子W杯に、どのような影響が出るかも分かっていない。FIFAは各協会に対し、最初の2000万ドルの資金提供を請求する期限を9月19日に設定している。
FIFAが掲げる「民間投資」資金の第一弾を10月末までに確保するという目標に、UEFAの発表がどう影響するかも不透明だ。
「今回は、インファンティーノが引き下がるしかないと思う」と、元FA会長のデイヴィッド・バーンスタイン氏はBBCスポーツに述べた。
「この計画は受け入れられない。資金調達をしたいなら、もっと良い方法があるはずだ」ともバーンスタイン氏は言い、「これが普通の組織なら、これほど重大な問題で引き下がるしかないなら、それはつまり会長を辞めさせることにつながる」とも述べた。
「しかし、FIFAは普通の組織ではない。それなりの数の各国協会が支持すれば、(インファンティーノ氏は)会長として留任するはずだ」
この問題について何らかの解決策が見つからなければ、UEFAはサッカーの国際統括の対象から外れる。
しかし、バーンスタイン氏はそのような事態にはならないと考えている。
「長期的に見て、分裂が起こるとは考えられない。そのようなことになれば、全員が損をするからだ」
「欧州諸国がFIFAの大会に参加しないなど、FIFAにとってあり得ないことだし、率直に言って欧州側も、FIFAの試合に参加しないなど、あり得ないことだ」
FIFA、協議プロセスが「誤った報道で妨げられた」
この状況でFIFAは31日に声明を出し、協議プロセスが「誤ったメディア報道によって妨げられた」と主張した。
FIFAは、「我々は公の場で示された意見や懸念を尊重し、開かれた民主的な協議への取り組みを改めて確認する。我々はこの協議プロセスを継続し、各加盟協会が事実に基づいて投票の意思を表明できるようにする」と述べた。
さらに、「誰もサッカーを売り渡してなどいない。FIFAはそのようなことは、絶対に考えたりしない」とした。
【解説】これは「欧州スーパーリーグ」騒ぎに匹敵する事態
サイモン・ストーン・サッカーニュース主任記者
かつて2021年に、サッカー「欧州スーパーリーグ(ESL)」を作るという話が持ち上がり、その構想は間もなく消えた。今回のFIFAボイコットの件は、サッカー界が直面する一大事として、スーパーリーグの騒ぎに匹敵するものだ。私はそう確信している。
移籍話は大きな話題になるが、ESLと今回の件は、サッカーという競技の本質、そしてそれを支える構造そのものに深く関わる話だ。
FIFA主催大会に外部からの投資が導入されれば当然ながら、大会の規模と開催頻度はいずれ拡大する。論理的に考えればそうなる。そうすれば、大会日程は過密になり、それは各国内のあらゆるレベルのサッカー界に影響を与え、各国のサッカー構造そのものに影響することになる。
クラブ大会の拡大について、UEFAもこれまで批判されてきた。そしてUEFAは、FIFAの計画を阻止する力が自分たちにあると承知している。
欧州チームが参加しないW杯には、今夏大会の準決勝進出チーム4チームのうち3チーム、準々決勝進出チーム8チームのうち6チームが出場しないことになる。前回の女子W杯の準決勝進出チーム4チームのうち3チームは欧州チームだった。昨年のクラブW杯の準決勝進出チーム4チームのうち3チームは欧州チームだった。
欧州からの参加がなければ、FIFAが各加盟協会に提示している金額を支払うのに必要な商業的収益など、生み出すのは不可能だ。
これがいかに大問題か、強調してもしすぎることはない。












