豪の広大な大地に放射性物質入りのカプセルが落下、どうやって見つけたのか
アントワネット・ラッドフォード、BBCニュース

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鉱山開発大手のリオ・ティントは1月25日、放射性物質「セシウム137」が入ったカプセルを紛失したと、豪・西オーストラリア州に報告した。これにより、当局は一見不可能な仕事に直面した。
州北部のグダイ=ダリ鉱山から州都パース北郊の事務所までの1400キロの道のりから、豆粒ほどの大きさのカプセルを見つけなければならなくなったのだ(訳注:1400キロは高速道路で東京から鹿児島まで移動した距離に相当)。
当局はすぐに行動に移った。専門知識を持つ捜索隊が派遣され、普段の夏季業務から一時的に離れるよう要請され、捜索に加わった中には、複数の消防隊員もいた。
加えて、原子力の専門家や危機管理当局、放射線防護の担当官など、全国から専門家が集められた。
当局は、1月12日にリオ・ティント鉱山からパース北東部郊外の貯蔵施設に輸送された放射線応用計器から、カプセルが落下したとみていた。
輸送中の振動がボルトを緩め、カプセルが機器のケースとトラックの隙間に入ってしまったと考えた。
「セシウム137」は、鉱山開発の現場で、特定物質の密度を図る放射線応用計器で使われている。しかし直接触ると深刻なやけどにつながり、1時間あたりエックス線の10倍もの放射線にさらされる。
この事態が公表される前の26日から、当局はパースと鉱山のあるニューマン周辺の捜索を始めた。
27日には、緊急保健警告が発令され、カプセルによる脅威が発表された。保健当局は、カプセルを見つけたかもしれない人に、「近寄らないで」とストレートに呼びかけた。
西オーストラリア州のアンディー・ロバートソン保健長官は、「ベータ線とガンマ線の両方を放出するので、身近に置いておくと火傷などの皮膚障害を起こす可能性がある」と説明した。
当局はまた、カプセルが道路を走行する車のタイヤに挟まってしまった可能性も懸念した。

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27日までに、捜索隊は全力で小さなカプセル探しに取り組んだ。目で見て探していたわけではなく、使ったのは携帯型のガイガーカウンターだ。半径20メートル以内から発される放射線を検知するものを使っていた。
翌28日、警察の報道官は「我々は小さなカプセルを目視で探そうとしているわけではない。願わくば、放射線用機器でカプセルを見つけ出したい」と説明した。
警察は、GPSで確認したトラックの走行経路と、パースの都市部や人口密集地に近い場所などを集中的に捜索した。
28日には、グレート・ノーザン・ハイウェイのある場所で、ガイガーカウンターで異常な放射線が検出されたと通報があり、警察が優先的に捜索した。
しかし、そこではカプセルは見つからなかった。
翌29日、オーストラリアの連邦政府が要請した追加資源が承認され、捜索本部は次の段階を計画し始めた。
西オーストラリア州に新しい設備が到着し、使えるようになるのは30日。それまでも捜索は拡大された。
同州の緊急サービス部門で現場責任者を務めるダリル・レイ氏は、政府から供給された設備を「特殊な放射線検知設備」とだけ説明した。
地元メディアは、放射線ポータルモニターやガンマ線分光計などが新たに使われると報じた。
放射線ポータルモニターはガンマ線を検出するもので、通常は空港などで放射性物質を持っている人物を探し出すのに使われている。ガンマ線分光計は、放射線の強さを測ることができる。
レイ氏は、新しい検知器を自動車などに取り付ければ、時速50キロで走っても捜索が行えると話した。
「約1400キロの道のりなので約5日間かかる。捜索メンバーはグレート・ノーザン・ハイウェイを南北に行ったり来たりする」
しかし、31日夜になってもカプセルは見つからなかった。
消防・緊急サービスはこの日、「これまでに660キロ以上を捜索した。全ての関連機関の支援に感謝する」と述べた。

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オーストラリア政府は翌2月1日、同日午前11時13分に高速道路からわずか2メートル離れたところでカプセルが見つかったと発表した。不可能だと思われていたことが達成されたようだった。
当局は、捜索チームが「文字通り、干し草の中から針を見つけるような、そんな不可能を成し遂げた」と語った。
消防・緊急サービスのダレン・クレム長官は、「ご想像の通り、ニューマンからパースまでの道のりはかなりがらんとした状態なだけに、機器のメーターが跳ね上がった時に車内の人たちは驚いたはずだ」と話した。
クレム長官は発見場所については詳細を語らなかったが、「考えられる限り最高の結果だ」と述べた。
地元メディアは、カプセルはニューマンから74キロ、鉱山からは約200キロの地点で見つかったと報じている。
当局によると、カプセルによる負傷者はおらず、落下後に動かされた形跡もないという。
クレム長官はまた、連邦政府が提供した機材がカプセル発見の鍵となったと説明した。
当初から使用されていた放射線を検出する調査機器と、カプセルの位置を物理的に特定する特殊な機器を組み合わせたことで、時速70キロで走る車からでもカプセルを発見できたのだという。
その上で、識別番号によって該当のカプセルだと確認できたという。

西オーストラリア州カーティン大学のナイジェル・マークス助教授は、この発見を「科学の勝利」だと評価した。
「カプセルがガンマ線を放出することは分かっていたので、道端で強いガンマ線信号を持つものを探すのは当然だ(中略)そして実際そうやって、カプセルを見つけた」
マークス氏はまた、何らかの理由で管理下に置かれなくなった「身元不明線源」の行方が分からなくなった場合、通常見つかることはないと述べた。
「驚くほど多くのこうした放射性物質が紛失され、二度と見つからなくなっている。今回も規制上の失敗があったが、発見された方法は本当にかっこいいと思う」
オーストラリアの放射線審議会は今後、なぜカプセルが落下したのかを調査していく。
その報告結果によって、リオ・ティントの責任が問われるかが決まる。
カプセル発見後、同社のサイモン・トロット最高経営責任者(CEO)は、調査に「全面協力」していくと発言。また、政府から請求されれば捜索にかかったコストも支払うと述べた。





