アメリカに背を向ける海外留学生 反移民政策やビザ発行厳格化が影響か
ショーン・コクラン BBC教育および家族問題担当編集委員

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アメリカの大学や短期大学に入学する海外留学生の数が昨年、7パーセント近く減ったことが、11月発表の公式統計で明らかになった。
アメリカの新入留学生数が減少するのは2年連続。昨年の米経済にとって、約420億ドル(約4兆7660億円)相当の損失になったと推計されている。
海外留学生の動向に詳しい英オックスフォード大学のサイモン・マージンソン教授は、この下落傾向がトランプ政権に関係しているのは「ほとんど間違いない」と話している。
反移民のメッセージが出願者を遠ざけたことと、学生ビザ制度厳格化の組み合わせが原因とマージンソン教授は話している。
「政治的な環境」
統計を毎年まとめている米国際教育研究所は、留学生になる可能性がある人に、アメリカで学ばない理由を尋ねた。回答結果では、政治、現実性、費用などが複合的な要因となっていた。

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出願の妨げになる要因は、ビザ申請手続きが単独1位だったが、「アメリカの社会及び政治的環境」も多く挙げられた。
高額な授業料への言及もあったが、「アメリカに歓迎されていない感覚」や「アメリカにおける身体的安全」への懸念も大きかった。
特に落ち込みが激しかったのは、インド、韓国、メキシコ、サウジアラビアからの留学生数だった。ただし、イギリスやドイツ、フランスからアメリカの大学に入学する学生数も減っている。
これまで数十年間続いてきた成長パターンの反転が、特に顕著だ。
ソフトパワー
アメリカは海外留学生市場で世界最大のシェアを持ち、際立った成功を収めてきた。
1960年代前半、アメリカで学ぶ海外留学生数は約5万人だった。この数字は毎年増え続け、2000年までには10倍以上に成長。50万人以上の留学生がアメリカで学ぶようになった。
2015年、アメリカの海外留学生数は100万人以上だった。

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留学生の増加は金銭的な利益ももたらしたが、アメリカの「ソフトパワー」や、国際的影響力の宣伝の一部としても重要とみなされた。
卒業後も働く能力を向上できるよう、留学生が卒業後もアメリカ国内に3年間留まれる制度により、アメリカにおける海外留学生の総数は少しずつ増え続けた。
中国に依存
しかし、直近2年で新入留学生の数は10%も減った。この大きな落ち込みは、何十年も続いてきた人気の失速を示唆している。
落ち込みはさらに大きくなりそうだが、中国人学生は別だ。需要は大きく伸びており、最近ではアメリカで学ぶ海外留学生の中で中国人が最も多い。

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2000年から2018年の間に、アメリカ国内の中国人学生数は6万人から36万人に増えた。専攻するのは科学、技術、数学やビジネスといった教科がほとんどだ。
中国人学生は、アメリカの高等教育に数十億ドルをもたらしている。
イギリスの国際高等教育センターの所長も務めるマージンソン教授は、米中の外交対立や貿易紛争で中国人学生の流入が止まった場合、アメリカの大学収入に「破滅的な結果をもたらす可能性」があると話す。
海外学生との結びつきについて、アメリカの高等教育は西側諸国よりもアジアへ目を向けている。最新の統計は、その期待の大きさを示している。
イギリスからの留学生数は減少
アメリカの海外留学生は、中国人とインド人が全体の半分を占める。イギリスからの学生に比べると、イラン人学生のほうが多い。
イギリスはヨーロッパの国では最も多くアメリカに学生を送っているが、それでもアメリカにいる海外留学生の1%ほどでしかない。

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現在、アメリカの教育システムで学ぶイギリス人学生は約1万1500人。過去数年でわずかに減少した。
イングランドの大学で学費が高くなった時にはアメリカへの留学生数も増えたが、一気に急増するという予測は実現しなかった。
アメリカにとってはさらに、オーストラリアとカナダを筆頭に、他の国の大学に人気が集まっていることだ。
マージンソン教授が今年7月に発表した研究は、オーストラリアがイギリスを抜き、世界で2番目に海外留学生の多い国になったとの調査結果を示している。
カナダも海外留学生の数を大きく伸ばしている。外国人を歓迎するリベラルな北米の国で、アメリカに代わる選択肢だと、カナダは自国を紹介している。
しかし米政府は、留学生の誘致に取り組み続けると話す。
米国務省のマリー・ロイス次官補(教育文化担当)は、海外留学生は「合衆国にとって素晴らしい財産だ」と話す。
「国際教育は我々を国として強くしてくれるというメッセージを、我々は発信したい」とロイス次官補は語った。






