トニー・ベネットさんが死去、96歳 伝説的なポップ・ジャズ歌手

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米ニューヨーク出身の伝説的なポップ・ジャズ歌手、トニー・ベネットさんが21日、亡くなった。96歳だった。ベネットさんの代理人は、ベネットさんが亡くなる数日前まで「ピアノの前で歌っていた」と語った。
ベネットさんのツイッターアカウントには21日、「トニーはきょう、私たちの元を去りましたが、ついこの間までピアノの前で歌っていました。最後の曲は、初めて全米第1位を獲得した『ビコーズ・オブ・ユー』でした」と投稿があった。
「トニー、ビコーズ・オブ・ユー(あなたのおかげで)、私たちの心にはあなたの歌が永遠に残ります」
ベネットさんの広報担当者はAP通信に対し、ベネットさんが地元ニューヨークで亡くなったと話した。死因は明らかにされていないが、ベネットさんは2016年にアルツハイマー型認知症と診断されていた。
ベネットさんは「想い出のサンフランシスコや「ブルーベルベット」といったヒット曲で知られる。また、レディー・ガガさんやアリーサ・フランクリンさん、フランク・シナトラさんなどともコラボレーションした。シナトラさんはベネットさんを「この業界で一番うまい歌手」と呼んだ。
80年にわたるキャリアの中で、ベネットさんはレコード数百万枚を売り上げ、グラミー賞を特別功労賞生涯業績賞を含めて20回獲得した。
ソーシャルメディアでは、サー・エルトン・ジョンやヒラリー・クリントンさんなどが追悼の意を表明した。

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本名アントニー・ドミニク・ベネデットさんはイタリア移民の子供として生まれた。9歳で父親を亡くし、貧しい生活を送った。
10代の頃に歌手兼ウェイターとして働いた後、ニューヨークの美術学校で音楽と絵画を学んだ。
1944年にはアメリカ陸軍に徴兵され、第2次世界大戦をフランスとドイツの戦線で戦った。2013年には英紙ガーディアンのインタビューでベネットさんは、「戦争は殺人の合法化だ」と、つらい経験を語っている。
帰国後は歌手活動に復帰したが、初めの頃は「ジョー・バリ」という名前で歌っていた。1951年の「ビコーズ・オブ・ユー」で初の全米1位を獲得し、10代の若者たちに支持されるようになった。その後、友人の人気コメディアン、ボブ・ホープさんの助言を受け、名前をアメリカ的な「トニー・ベネット」とした。
ベネットさんはその後、10年ごとに全米チャート1位を獲得した。「ブルー・ベルベット」のようなスウィングジャズを取り入れたポップ・ヒットから、ミュージカル「キスメット」の挿入歌「ストレンジャー・イン・パラダイス」、ビッグバンドが演奏する「ラグス・トゥ・リッチズ」でも名声を築いた。
1962年には「想い出のサンフランシスコ」で、2つのグラミー賞を受賞している。
ベネットさんは市民権運動の支持者でもあり。1965年にはアフリカ系アメリカ人の選挙権を求めるセルマ大行進に参加したほか、アパルトヘイト(人種隔離政策)を敷いていた南アフリカでの公演を拒否した。
1960年代後半から1970年代には、ビートルズやローリング・ストーンズの台頭により、ベネットさんの人気は衰えていった。この頃には私生活でも、2回の離婚や薬物中毒といった苦難に見舞われた。
しかし、60歳を超えた1980年代から1990年代にかけてベネットさんの人気が復活。数々のグラミー賞を受賞した。

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21世紀に入ると、若いアーティストとのコラボレーションにも力を入れ、エイミー・ワインハウスさんやクイーン・ラティファさん、キャリー・アンダーウッドさんらと共演した。2006年にはデュエット集を発売し、サー・ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダーさん、ジョージ・マイケルさんなどと共に歌った。
88歳の2014年には、レディー・ガガさんとの共作アルバム「チーク・トゥ・チーク」が全米第1位となり、自身が持っていた最高齢での1位獲得記録を更新した。
レディー・ガガさんは、「伝説の人物」とのこの作品は「自分のキャリアで最も重要なもの」だと話していた。
アルツハイマー病の診断を受けて5年後の2021年、ベネットさんはレディー・ガガさんと共に、最後のコンサートを行った。
この時ベネットさんはSNSに「アルツハイマー病であっても、人生は宝物だ」とつづっていた。

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サー・エルトンはインスタグラムへの投稿で、「トニーの訃報をとても悲しんでいる」と語った。
「間違いなく、誰よりも洗練された歌手で男性でパフォーマーだった。あれほどの人はもう現れない。トニーはかけがえのない存在だ。彼のことが大好きで、慕っていた。スーザン、ダニー、そしてご家族に哀悼の意を表します」
歌手のナイル・ロジャーズさんやオジー・オズボーンさん、ビリー・ジョエルさんや映画監督のマーティン・スコセッシさんなども、追悼のメッセージを発表している。
米ホワイトハウスは声明で、「トニー・ベネットさんは傑作を歌っただけではなく、彼自身がアメリカの傑作だった」と述べ、アメリカ国民の生活への貢献をたたえた。
元米ファースト・レディーのヒラリー・クリントンさんは、ベネットさんは「本当の才能の持ち主で、本当の紳士で、本当の友人だった」とツイート。「トニー、あなたがいなくて寂しくなります。たくさんの思い出をありがとう」と語った。





